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がん患者の就労支援 働く患者の75%が「産業医」の存在を知らない

 がん患者の7割以上が産業医の存在を認知しておらず、企業の経営者も7割が産業医に相談していない――がんの治療中の社員と経営者などの間に、さまざまな認識のギャップがあることが、アフラック生命保険などが実施した「がんと就労に関する意識調査」で明らかになった。
がん治療と仕事の両立が課題に
 2016年に「がん対策基本法」が改正され、企業に対して「がんに罹患した 社員の就労への配慮」が求められるようになった。

 また、2017年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)で、働き方改革のひとつとして、治療と仕事の両立推進が盛り込まれた。がん罹患と働く環境の整備は大きな課題となっている。

 アフラック生命保険は、キャンサー・ソリューションズと共同で実施した「がんと就労に関する意識調査」の結果を発表。キャンサー・ソリューションズは、がん罹患と就労の両立をはかる政策や解決策の提案などを行っている社会貢献型の会社だ。

 調査は6月29日~7月2日、就労中および退職したがん患者(各103人)と、がん患者の周囲で働く同僚および経営者(各103人)を対象に、インターネットで行われた。

関連情報
診断1年目の平均休暇日数は65.8日
 がん患者206名に対し、「診断から1年以内で治療・体調不良・通院・検査などにより仕事を休んだ日数」を聞いたところ、平均で65.8日という結果になった。2年目以降でも30.9日に及んでいることがわかった。

 診断後1年⽬の体調不良は有給休暇や傷病休暇制度で対処できても、2年⽬以降の体調不良に対応できる休暇制度は少なく、複数年にわたり、分散して休暇取得できる制度の整備が離職予防には⼤変重要となる。

 調査では「がん治療は中⻑期に及ぶ通院が必要であり、2年⽬以降も私傷病で休める社内休暇制度が必要」と指摘している。
復職後のパフォーマンスは7割以下
 続いて、がん治療から復職した際の仕事や体調について尋ねたところ、患者の約5割が仕事のパフォーマンスダウンを感じていることが分かった。

 以前の「5~7割程度」で働けている人は31.1%、「3~4割程度」が17.5%、「3割未満」が6.3%と、仕事のパフォーマンスは「7割以下にダウンした」と感じていることが明らかになった。

 しかし企業側は、「がん治療から復職した部下の働きぶりに対して、何を基準に評価しましたか」という問いに、半数以上が「がんと診断されたことを考慮せず評価する」(54.5%)と回答しており、両者に認識のギャップがあることが浮き彫りとなった。

 この評価ギャップが、居づらさやモチベーション低下、孤⽴感や焦燥感を引き起こす原因になっていると推測される。復職したとしても、「中期的な⾒守り、落ち込み⽅に応じた⽀援」が必要だ。
患者の6割が「会社の支援はなかった」と回答
 次に、全回答者に対し、「がん治療をしながら仕事を続けるために、どのような支援が会社からありましたか?」と尋ねたところ、がん患者の6割超が「特に支援はなかった」と回答した。

 一方で、同僚や経営者では、「支援はなかった」と回答したのはそれぞれ2割強、1割未満にとどまった。企業経営者、同僚は、患者に対して「⽀援した」と考えている割合が⾼いが、当の本⼈は「特に⽀援がなかった」と回答しており、周囲と本⼈の、⽀援ニーズや⽀援のコミュニケーションにギャップが⽣じていることが示された。
患者の75%が産業医の存在を認知せず
 調査対象者が勤める企業の約65%が産業医を有すると推定されたが、「産業医がいる」と認知している患者は約25%にとどまった。

 患者対象の調査では、就労を継続した割合は、「産業医がいる」企業では約7割、「産業医がいない」「分からない」企業では約4割と差があり、産業医が両⽴⽀援に寄与していることが伺える。

 両⽴⽀援に産業医が関与することが効果的であることが示唆されているが、社員からの「認知」は低い。とくに従業員50⼈以上の規模の会社では、産業医が認知されているのは約3割程度。産業医がいても社員に認知されていない可能性が⾼い。

 特に、⽉に1回程度しか出社しない嘱託の産業医や、専属であっても⼈事とうまく連携ができていないケースでは、関与が低いと考えられる。

 「産業医の活⽤⽅法を紹介するセミナーや、好事例の共有や育成、⼈材バンク、スーパーバイスなど、産業医を活⽤する提案が必要」と調査では指摘している。
経営者も産業医を活⽤できていない
 経営者も産業医を活⽤できておらず、産業医または産業保健総合⽀援センターに相談していない経営者は約7割、がん患者の就労相談についても話し合ったことがない経営者は約6割に上った。

 経営者においても、産業医を活⽤できておらず、いざというときの相談相⼿になっていない現状が浮き彫りになった。

 「産業医は、社員の⽇常的な健康管理、両⽴⽀援の要であることを知り、その活⽤⽅法に関する他社のノウハウを共有するようなセミナー、企画が⼤切」と指摘している。

 経営者のがん患者の雇⽤に対する不安は⼤きく、「経営者に対する情報提供や相談窓⼝の啓発も必要」と、アンケートでは指摘している。
がん患者への支援も「個別化」が必要
 今回の調査では、がん患者が職場で相談した相手は、直属上司が56%と最多だが、相談しなかったとする人も約3割に上った。その理由は、「相談しても何も変わらない」「心配をかけたくない」「相談窓口がなかった」などが多かった。

 これらの調査結果について、NPO法人「HOPEプロジェクト」の理事長を務めるキャンサー・ソリューションズの桜井なおみ氏は「両立支援には"制度の充実"だけでなく、個々に配慮した"運用"も重要です。がんと仕事の両立支援も、個々に配慮して制度を運用する"個別化支援"が大切です」と述べている。

アフラック生命保険
キャンサー・ソリューションズ
HOPEプロジェクト
[Terahata]

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