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脳卒中は夏にも多い? 特定健診でも早期発見が焦点に 5月25日から「脳卒中週間」
2019年05月15日
日本人の死亡原因の3位になっている脳卒中の危険因子は、糖尿病や高血圧などだ。
日本脳卒中協会は、一般市民の脳卒中に関する知識を高め、予防や早期受診につなげようと、毎年5月25~31日を脳卒中週間とし、啓発活動を行っている。
日本脳卒中協会は、一般市民の脳卒中に関する知識を高め、予防や早期受診につなげようと、毎年5月25~31日を脳卒中週間とし、啓発活動を行っている。
脳梗塞は6~8月から増加
日本脳卒中協会は、一般市民の脳卒中に関する知識を高め、予防や早期受診につなげようと、毎年5月25~31日を「脳卒中週間」とし、啓発活動を行っている。2019年度の標語は「まさかより もしやで受診 脳卒中」。
5月を選んだ理由は、厚生省研究班の調査で、脳卒中の大部分を占める急性期の脳梗塞の発症が年間では6~8月から増加することが明らかになったことだ。
「脳卒中は冬に多い」というイメージがあるが、実際には夏に入る前にも注意しなければならないことを啓発するために、5月の最後の1週間を「脳卒中週間」として設定したという。
脳卒中週間中には、各地で市民公開講座が開催される。詳しい情報は日本脳卒中協会の公式サイトでみることができる。
関連情報
高血圧、糖尿病は脳卒中の危険因子
脳卒中の患者数は112万人に達しており(2017年患者調査)、日本人の死因の第3位を占める。
脳梗塞は発症すると脳に重い障害が残ることもある病気だ。脳卒中の後遺症に悩む患者・家族は多く、寝たきり老人の3割、要介護者の2割を脳卒中患者が占めており、社会的負担も大きい。
一方で、一般市民の脳卒中に関する知識は乏しく、脳卒中の危険因子となる高血圧、糖尿病などの治療は十分に行われていない。日本脳卒中協会の調査によると、一般市民の6割は脳卒中の危険因子をまったく知らない。
脳卒中の多くを占める脳梗塞は動脈硬化が原因で引き起こされる。動脈硬化の原因となる糖尿病や高血圧、脂質異常症の治療や、生活習慣の改善が予防のめたに欠かせない。
心臓でできた血栓が脳の血管を詰まらせる
脳梗塞と心臓の関連が深いことも、十分に知られていない。しかし、脳梗塞のおよそ3分の1は心臓でできた血の塊(血栓)が詰まることが原因で発症するとみられている。
心臓病が原因で起こる脳梗塞を「心原性脳塞栓症」と呼ぶ。主な原因は高齢者に多い「心房細動」というタイプの不整脈だ。心房細動になると、血液が入ってくる心房が細かく震え、血液がよどみ固まりやすくなり、血栓ができやすくなる。心房でできた血栓が心臓から流れ出て脳まで運ばれると、脳の血管が詰まり脳梗塞が起きる。
心原性脳塞栓症の8~9割は心房細動が原因となって引き起こされる。脳の太い血管で詰まり、重症になりやすいことが分かっている。心房細動をいち早く見つけることが予防につながる。
特定健診でも心電図検査、眼底検査を実施
日本脳卒中協会とバイエル薬品の共同事業として展開されている「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト(TASK-AF)」は、「特定健診における心電図検査、眼底検査の実施に関するガイダンス」を公開している。
74歳の国民健康保険加入者を対象とする特定健診での心電図検査、眼底検査の実施基準が、2018年から改訂された。心電図検査の選択基準が大きく変更され、高血圧の重症度評価、脳卒中の重要な危険因子である心房細動のスクリーニングなどに焦点を当てている。また、高血圧の重症度評価の一部として、眼底検査の扱いが拡大された。
心電図検査を行うことで、効果的に心房細動を見つけることができる。心電図検査で「心房細動が疑われる」と判定された場合、医療機関を受診し、詳しい検査や治療を受けることが推奨される。不整脈がある人は、ない人と比べて、脳梗塞になる危険性が約5倍、心房細動が原因の脳梗塞の危険性は10倍以上になると報告されている。
また、高血圧の人や血糖値が高い人は眼底検査の対象となる。網膜に眼底出血などが認められた場合は、早急に医療機関を受診することが勧められる。この眼底変化がある人は、ない人に比べて、脳卒中を含む循環器病になる危険が2倍以上高くなるという報告がある。
医療機関を受診して、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの危険因子をしっかりと管理することが重要だ。
脳卒中予防のための「脳卒中予防10ヵ条」
お役立ちツール
特定健康診査(特定健診)における心電図検査、眼底検査の実施に関するガイダンス 平成30年度からの標準的な健診・保健指導プログラム(厚生労働省)
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