統括保健師のいる職場で仕事にやりがい、継続就労にも―保健師の活動基盤に関する基礎調査

現在、就労している全ての保健師個人を対象にwebで行う国内唯一の調査で、今年度で4回目。今回は保健師の人材確保や定着、統括保健師の果たしている役割などについても初めて調査が行われた。
その結果、統括保健師のいる職場で働いている人の方がやりがいを感じたり、満足感を持ったりしている傾向があり、同じ職場での継続就労につながっている可能性が明らかになった。
今回の調査に回答した保健師は18,775人で平均年齢は42.5歳(女性97%、男性3%)。保健師国家試験受験資格を取得したのは「四年制大学」が41.7%、「専門学校」が48.8%で、初めて「専門学校」が5割を下回った。また保健師としての通算経験年数は平均で16.7年目、現在の組織に就職してからの保健師経験年数は平均で12.6年目だった。
雇用形態は「正規職員」が87.5%と高い割合を占めた。行政領域における保健活動の体制は、「地区担当制と業務分担制」を併用している職場で働いている人が50.6%で最も多く、次いで「業務分担制」が39.7%、「地区担当制」が9.6%だった。
同様に産業領域における保健師の体制も、「地区(職場)担当制と業務分担制の併用」をしている職場で働いている人が37.6%で最も多く、次いで「業務分担制」が34.3%、「地区(職場)担当制」が28.1%だった。
業務内容については、行政領域の保健師の多くが従事している業務は「母子保健」が46.5%と最も多く、次いで「生活習慣病予防(がん対策含む)」が35.9%、「高齢者保健・介護予防」が24.1%、「精神保健(自殺対策含む)」が20.7%。
一方、産業領域の保健師については「各種健康診断と事後措置支援」が68.3%で最も多く、次いで「特定健診・特定保健指導等の保健指導」が43.6%、「メンタルヘルス対策」が40.5%だった。
今回の調査では行政領域で働く保健師に対して、所属組織に統括保健師がいるかどうかについても尋ねた。このうち「自分が統括保健師である」と回答したのは5.3%、「いるが、自分は統括保健師ではない」と回答した人が58.1%で、合計63.4%の組織に統括保健師が配置されていることが分かった。このうちの66.3%は「統括保健師は1人のみ」と回答していた。
「統括保健師が配置されている」と回答した施設で働く人のうち、統括保健師の役割が「事務分掌に記載されている」と回答したのは42%。
統括保健師が果たしている役割について尋ねた質問では、「組織内の全保健師の人材育成に係る統括」が74.5%と最多だった。
次いで多かったのは「組織全体における保健師の活動推進のための保健師間の横断的な調整」で72.4%、さらに「保健師の代表としての所属組織内での部署を超えた対応・連絡調整や連携」が64.4%と続いた。
一方、低い割合だった役割は「人材育成を目的とした人事異動への提案」(36.4%)や「人材育成を目的とした人事異動への意見反映」(31.9%)、「全世代型の地域包括ケアシステムの構築・推進のための調整や連携」(20.3%)。
また回答者に現在の職場での就業継続理由を尋ねた質問では、統括保健師の「いない職場」より「いる職場」で働いている場合の方が「保健師配置の状況に満足している」と回答した人の割合がやや高かった。
同様に「保健師らしく活動できる」や「保健師としてのやりがいがある」と回答した人も、統括保健師のいる職場の方がやや高い割合を示した。
これらのことから、統括保健師がいることで保健師の配置に満足し、保健師らしく活動できたり、やりがいを持てたりしており、そのことが継続就労につながっている可能性が示唆された。
同協会では今回得られた結果をもとに、保健師の活動基盤の強化や体制づくりに活用していく考え。
「産業保健」に関するニュース
- 2021年12月21日
- 特定健診・保健指導の効果を10年間のNDBで検証 体重や血糖値が減少し一定の効果 ただし体重減少は5年後には減弱
- 2021年12月21日
- 【子宮頸がん】ワクチン接種を受けられなかった女性へのキャッチアップが必要 子宮頸がん検診で異常率が上昇
- 2021年12月21日
- 肥満や糖尿病の人ではFGF21の抗肥満作用が低下 朝食抜き・毎日飲酒・喫煙といった生活スタイルが影響
- 2021年12月21日
- 【申込開始】今注目のナッジ理論、感染症に関する教材が新登場!遠隔指導ツールも新作追加! 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2022年版」
- 2021年12月20日
- 牛乳を毎日コップ1杯飲んでいる女性は脳卒中のリスクが低下 牛乳に血圧を下げる効果が?
- 2021年12月20日
- 「住環境」は健康増進にも影響 「断熱と暖房」が血圧や住宅内での活動量に寄与 足元が暖かいことも大切
- 2021年12月13日
- 早食いは肥満や体重増加につながる ゆっくり味わってよく噛んで食べるとエネルギー消費量を増やせる
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】子供の心の実態調査 食事を食べられなくなる「神経性やせ症」の子供がコロナ禍で増加
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】ファイザーのワクチンの3回目接種はオミクロン株にも効く? 抗体価は半分に減るものの2回接種より25倍に増加
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】日本人はなぜ感染・死者数が少ない? 風邪でつくられた免疫が新型コロナにも有効に働いている可能性 理研
最新ニュース
- 2022年05月23日
- 【新型コロナ】保健師がコロナ禍の拡大を食い止めている 保健師の活動が活発な地域では罹患率は減少
- 2022年05月23日
- 【新型コロナ】起床・朝食が遅くなった子供で運動不足や栄養バランスの乱れが 規則正しい食事・睡眠が大切
- 2022年05月23日
- 【新型コロナ】コロナ禍で結婚数と出生数が減少 将来に対する不安や経済的な悩みが原因?
- 2022年05月23日
- 【子宮頸がん】HPVワクチンの予防効果は優れている 接種9年後の感染率は0% ワクチンの有効率は100%
- 2022年05月23日
- 余暇に軽い身体活動をするほど健診結果は良くなる 活動量の実測データにもとづく世界初の研究
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ