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コーヒーに脂肪燃焼を促す効果 体重減少やエネルギー消費の増加を促進
2019年07月17日
「コーヒーが脂肪の燃焼に役立つ」という研究が発表された。コーヒーに含まれるカフェインが褐色脂肪細胞の熱産生機能を高めるという。
コーヒーが体重減少やエネルギー消費の増加に関連
体にある脂肪細胞は大きく「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」に分かれる。白色脂肪細胞は皮下や内臓にあり、体内の余分なエネルギーを脂肪として蓄積する。一方、褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼し熱を産生する働きを担っている。
最近の研究で、熱産生を介してエネルギーを消費する褐色脂肪組織の活性は、BMI(体格指数)と負に相関すること、また加齢にともない褐色脂肪組織の活性が低下することが分かってきた。
白色脂肪細胞の蓄積は肥満や2型糖尿病などの代謝性疾患につながり、褐色脂肪組織の数や働きを高めることが健康的な体重の維持につながり、健康維持に役立つと注目されている。
白色細胞を褐色組織に変えることが、肥満や2型糖尿病を改善するための近道であり、脂肪燃焼のプロセスを促すために必要だ。では、どんな食品が脂肪燃焼を促すのに効果的なのだろうか?
英国のノッティンガム大学の研究チームは、コーヒーの摂取が体重減少やエネルギー消費の増加に関連することに着目。
関連情報
コーヒーが脂肪の燃焼を促進 ヒト対象の試験で確認
褐色脂肪のミトコンドリアにある「脱共役タンパク質(UCP)1」は、エネルギーを熱に変換する分子。UCP1を活性化することが、エネルギーの消費を増やす。
研究チームは、コーヒーの成分がUCP1の活性化を促しているのではないかと考えた。そこで、褐色脂肪熱の発生または熱発生に対するカフェインの効果を調べるために、in vitroおよびin vivo実験の両方を実施した。
研究チームはまず、マウスの幹細胞から脂肪細胞の培養物を作り、それをカフェインに暴露した。すると、細胞の代謝や活動が促進されていることが確認された。UCP1やミトコンドリアの発現の促進がみられ、より多くの酸素を消費し、活性酸素を漏出させていた。
つまり、マウスの幹細胞から作られた脂肪細胞は、コーヒーのカフェインにより多くの脂肪を燃焼するようになった。
研究チームはさらに、ヒトを対象に試験を行った。9人のボランティアにカフェイン入りの飲料と水のどちらかを飲んでもらい、産生される熱の測定を行った。
9人の平均年齢は27歳、体格指数(BMI)は平均23。ゆったりとした服を着てもらい、実験中の9時間は、激しい運動やその他のカフェイン摂取、飲酒、薬の服用を禁止した。
研究チームは赤外線画像装置で9人の頸部から肩にかけての熱の放射量を測定。コーヒーか水のどちらかを飲んでもらった後で、カフェインが吸収されるまで30分待ち、再び同じ測定を行った。
褐色脂肪細胞は主に頸部に集まっている。実験の結果、カフェインを摂取した人たちだけに熱発生の変化がみられた。コーヒーには脂肪の燃焼を促進する可能性があることが示された。
褐色脂肪を活用する方法の開発に期待
「ただし、コーヒーの成分のひとつであるカフェインが作用して刺激を与えるのか、それとも褐色脂肪細胞の活性化に役立つ別の成分があるのかは、現時点では明らかになっていません」と、ノッティンガム大学のマイケル シモンズ教授は言う。
褐色脂肪細胞の活性を促せば、血糖コントロールを改善し、血中脂質レベルを改善し、余分なカロリーの消費を促進し体重減少を行いやすくなると考えられている。
「1杯のコーヒーが私たちの褐色脂肪の機能に直接を影響を与えている可能性があります。肥満や2型糖尿病の増加は社会にとって大きな健康上の課題で、褐色脂肪を活用する方法の開発には期待がかかります」と、シモンズ教授は言う。
「体重減少にコーヒーが最適と結論づけるのは時期尚早ですが、脂肪燃焼を促進する成分が明らかになったら、血糖値の上昇を抑え、体重コントロールや2型糖尿病を予防・改善するプログラムとして取り入れられるようになる可能性があります」。
Could coffee be the secret to fighting obesity?(ノッティンガム大学 2019年6月24日)Caffeine exposure induces browning features in adipose tissue in vitro and in vivo(Scientific Reports 2019年6月24日)
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