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母親の産後うつをケアすれば「対児愛着(ボンディング)」を改善できる可能性 エコチル調査

 8万3,000人の母親の産後うつと子どもへの愛着指標の関連を調べた「エコチル調査」で、産後うつに対して適切なケアを施すことで、その後のボンディングの改善に結び付けられる可能性が示された。
 産後うつに対して早期の対応をすることによって、母子の良好な関係を築ける可能性がある。
8万人超の母親の産後うつと対児愛着との関連を調査
 研究は、環境省が実施している「エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)」を担当している富山ユニットセンターの調査として行われた。

 エコチル調査は、環境省が2010年度にスタートさせた、全国10万組の子どもとその両親が参加している大規模な健康調査。

 研究は、富山大学エコチル調査ユニットセンターの笠松春花研究支援員らのグループによるもの。研究成果は「Psychological Medicine」に掲載された。

 「対児愛着(ボンディング)」は母親から子どもに向けられる情緒的な関心や愛情のことで、母親が子どもの世話をしたり、守ったりする動機づけにもなるもの。

 一方で、自分の子どもに対して愛情がわかず、世話をし、守りたいという感情が弱く、イライラしたり敵意を感じたり攻撃したくなるような「ボンディング障害」の症状に苦しむ人もいる。

 「ボンディング障害」は虐待を含むマルトリートメント(不適切な養育)につながる危険性も示唆されており、子どもの成長や発達に悪影響を与える場合もある。

関連情報
母親の産後うつがボンディングの悪化に関連
 研究グループは以前に、産後1ヵ月時点の産後うつとボンディングの程度を評価し、産後うつに関連してボンディングが悪くなることを明らかにしている。

 産後、10~15%の母親にうつ病の症状があるとされ、産後うつと呼ばれる。とくに産後1ヵ月ごろに多く発症するとみられている。

 研究グループは、エコチル調査に参加している母親約8万3,000人の産後1ヵ月および6ヵ月の産後うつを調べ、調べた時点から時間経過した産後1年時点のボンディングの程度を評価し、両者の関連をより詳細に調べた。

 赤ちゃんへの気持ち質問票と、産後うつについてはエジンバラ産後うつ病質問票を用いて、ボンディングを評価した。

 各質問は赤ちゃんへの肯定的・否定的な気持ちを尋ねるもので「赤ちゃんの世話を楽しみながらしている」「赤ちゃんの事が腹立たしく嫌になる」といった質問で構成されている。

 赤ちゃんへの気持ち質問票と同様に0,1,2,3点の4件法で回答し、各回答からの得点で評価する(点数が高いと抑うつ的な感情が強いとみなされる)。

 その結果、産後1ヵ月および産後6ヵ月の産後うつは、いずれも産後1年のボンディングが悪い状態と関連していることが分かった。
産後うつに対して適切なケアを施すことが必要
 これまで、産後うつの質問票からは「不安」「快感消失」「抑うつ」の気持ちの傾向を、ボンディングの質問票からは「愛情の欠如」と「怒りと拒絶」の気持ちの傾向(因子)を読み取れることが示されている。

 今回の研究では、これらの因子について調べたところ、すべての因子が互いに統計的に意味のある関連をもつことが分かった。中でも、「快感消失」と「愛情の欠如」、「不安」と「怒りと拒絶」の関連が強かった。

 今回の研究より、産後うつに対して適切なケアを施すことで、その後のボンディングの改善に結び付けられる可能性が示唆された。

 産後うつ特有の症状である「不安」因子が「怒りと拒絶」因子と特に強い関連を示したことから、産後の「不安」のケアによって、子へのネガティブな感情を抱くことを避けられる可能性が高い。

 「今後は、産後うつをケアする早期介入プログラムを提供するといった研究を積み重ねて、さらに検証していく必要があります」と、研究グループは述べている。

子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)(環境省)
富山大学 エコチル調査
Understanding the relationship between postpartum depression one month and six months after delivery and mother-infant bonding failure one-year after birth: results from the Japan Environment and Children's study (JECS)(Psychological Medicine 2019年9月2日)
[Terahata]

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