ニュース
【新型コロナウイルス】テレワークや外出自粛で運動不足に 少しでも多く体を動かすための6ヵ条
2020年05月07日
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、全国でテレワークの実践や、外出の自粛が要請されている。そのために運動不足におちいっている人が少なくない。
日本運動疫学会は、感染症に対策しながら運動を続けるために、6つの注意点を提唱している。
日本運動疫学会は、感染症に対策しながら運動を続けるために、6つの注意点を提唱している。
運動は感染を予防するためにも必要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する政府の基本方針を受けて、多くの人が外出を自粛している。感染拡大の防止が優先されるが、家の中でじっとしているために、長時間の座り過ぎや運動不足におちいっている人が多い。
運動・身体活動と健康についての研究の推進をはかっている日本運動疫学会は、「少しでも身体活動を増やし座位行動を減らすことが、心身の体調を整え、感染を予防する上で重要です」と呼びかけている。
運動のメリットはたくさんある
運動によりインスリンの効果が高まり、高血糖が改善される。運動を続けていると筋肉が増え、血糖値を下げるインスリンの効きやすい体質に変わっていき、なおも血糖値が下がりやすくなる。
運動には、長期的には体重の適正化や生活習慣病のリスク軽減に役立ち、骨の強度や筋量を維持し、筋力を向上させ、バランス能力や柔軟性、持久力を向上させる効果もある。
子供の健康的な発育発達を促するのに役立ち、運動スキルの発達や、社会性を身につけるために必要だ。高齢者にとっては、バランス能力を改善し転倒やけがを防ぐことにつながる。
また、運動や身体活動には、メンタルヘルスを改善し、うつ病や認知機能低下のリスクを軽減することで認知症の発症を遅らせる効果もある。
COVID-19感染拡大の防止は最優先されるが、パンデミック後には、運動不足が大きな健康問題を引き起こすおそれがある。同学会は「家の中やその周辺で、人と人との距離を充分にとって、実施する身体活動」を推奨している。
今より10分多く体を動かそう
厚生労働省の指針では、全世代に向けて「プラス10(テン)」が推奨されている。これは、「まずは今より10分多く体を動かす」ということ。
18~64歳の働き盛りでは、「1日60分、元気に体を動かすこと」が目標。ウォーキングなどの運動だけでなく、家の掃除や子供と遊ぶことなども立派な身体活動になる。生活のさまざまな場面で活動的に過ごすことが大切。
65歳以上では、「1日40分、ゆっくりでもいいので体を動かすこと」が目標。座り過ぎを避け、人が少ない場所での散歩など、さまざまな場面で体を動かす工夫をしよう。ラジオ体操やテレビ体操を毎日の習慣にするのも良い。
ラジオ体操第一・実演(テレビ体操)
歩く人体操 コロナウイルス対策(歩く人。)
室内で10分でできる運動(PsycheTruth)
歩く人体操 コロナウイルス対策(歩く人。)
室内で10分でできる運動(PsycheTruth)
感染症を防ぎながら運動を続けるための6つの注意点
同学会は、COVID-19に対策しながら行う運動について、次の注意点を挙げている――。
■ 自分の体調の変化に注意する
発熱や咳などの風邪様の症状、だるさや息苦しさ、体調不良がある場合は、運動を控えて安静にしよう。
■ 屋外での運動や散歩は自粛の対象にならない
政府の基本的対処方針では、屋外での運動や散歩などは、生活の維持のために必要なものとされて、外出の自粛の対象となっていない。家の周辺など屋外で運動したり、散歩したりすることには問題はない。
ただし、自らの感染や感染の拡大を防止するために、周りの人との距離(2メートル以上)を保つよう注意するとともに、人が集まらない場所で実施することが大切。
■ 手で顔に触らないことを意識し手洗いもする
屋外で運動する際には、他の人が触れる場所(たとえば公園の遊具など)にできるだけ触らないようにする。ウイルスが付着した手で目や鼻、口などを触ることが感染の原因となるからだ。
顔には触らないという意識が大切。どうしても顔に触れたい場合には、手を洗ってから触れることが原則となる。
また、帰宅したらすぐに手を洗う、あるいはアルコールによる手指の消毒を行おう。
■ 家の中での運動も効果がある 換気に注意
家の中で、階段を上り降りしたり、居間や庭で柔軟運動したりするだけでも身体活動を増やすことができる。
また、家の中で身体活動を促進するゲーム、テレビ番組、ラジオ放送、インターネットの動画を利用するなどさまざまな工夫をしてみよう。
その際、30分に1回以上、数分間程度、窓を全開しよう。複数の窓がある場合は二方向の壁の窓を開放し、窓が1つしかない場合はドアを開けることを心がけよう。
■ 運動中も社会的距離(ソーシャル ディスタンス)を確保する
家の中で運動する場合は、少ない人数で、間隔を2メートル以上離し、十分に換気した状態で行う。
とくに激しい呼気や大きな発声をともなう運動は感染のリスクとなることが指摘されている。そうした運動を行う場合は、1人で行うか、他の人との間隔をさらに空けて行おう。
■ 長時間の座り過ぎに注意
長時間の座位行動(座り過ぎ)をできるだけ減らし、できれば30分ごとに3分程度、少なくとも1時間に5分程度は、立ち上がって体を動かすようにしよう。
日本運動疫学会健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)(厚生労働省)
Be Active during COVID-19(世界保健機関)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「健診・検診」に関するニュース
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月18日
- 人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月18日
- 健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月09日
- 子宮の日 もっと知ってほしい子宮頸がんワクチンのこと 予防啓発キャンペーンを展開
- 2024年04月08日
- 【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査
- 2024年03月18日
- メタボリックシンドロームの新しい診断基準を提案 特定健診などの56万⼈のビッグデータを解析 新潟⼤学
- 2024年03月11日
- 肥満は日本人でも脳梗塞や脳出血のリスクを高める 脳出血は肥満とやせでの両方で増加 約9万人を調査
- 2024年03月05日
- 【横浜市】がん検診の充実などの対策を加速 高齢者だけでなく女性や若い人のがん対策も推進 自治体初の試みも
- 2024年02月26日
- 近くの「検体測定室」で糖尿病チェック PHRアプリでデータ連携 保健指導のフォローアップなどへの活用も