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【新型コロナ】自然や緑とふれあうとストレスを緩和できる メンタルヘルスを改善 コロナ禍から心と体を守るために
2020年12月16日
新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、多くの人が強いストレスにさらされている。
自然や緑に接することで、ストレスを軽減する効果を期待できるという研究が、相次いで発表されている。
自然とふれあい、体を動かすことで、うつや不安、孤独感などのメンタルヘルスを改善できる。
自然や緑に接することで、ストレスを軽減する効果を期待できるという研究が、相次いで発表されている。
自然とふれあい、体を動かすことで、うつや不安、孤独感などのメンタルヘルスを改善できる。
コロナ禍でストレスが深刻に 自然はメンタルヘルスに良い
新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、多くの人がストレスの強い状況にさらされている。
毎日繰り返される新型コロナウイルス感染症についてニュースや、感染への恐怖、外出自粛、日常での行動の制限、経済的な心配など、日常で経験する些細な出来事もストレスの原因になる可能性がある。
そうしたなかで、近所の緑地で木々に接したり、自宅の窓から緑を眺めることが、メンタルヘルスに好ましい影響を及ぼすことが分かった。
研究は、東京大学大学院農学生命科学研究科の曽我昌史氏らの研究チームが、東京の緊急事態宣言が解除された直後に行った都民対象の調査によるものだ。
研究グループは、3,000人の都民を対象に、6月初旬の3日間、うつや不安レベル、生活満足度、主観的幸福感、孤独感などを評価した。
自然とのふれあいの状況と、メンタルヘルス状態の関連を解析した結果、緑地の利用や、自宅の窓から緑が見えることは、生活満足度や主観的幸福感を高め、うつ・不安レベルや孤独感を減らす傾向がみられた。
「都市における自然は、今回の新型コロナのような、ストレスの大きい出来事によってもたらされる悪影響を減らすための、バッファ(緩衝材)として役立てられる可能性があります」と、曽我氏は述べている。
「都市部の自然環境を保護することは、生物多様性の保全だけでなく、人間の健康を守るためにも重要です」としている。
緑豊かな公園でウォーキング たった20分でもメンタルヘルスに良い効果が
緑豊かな公園でウォーキングなどを習慣として行うと、高血圧や脂質異常症、2型糖尿病などのコンディションが改善する。それに加えてメンタルヘルスにも良い効果を及ぼすという研究が発表されている。
ウォーキングをする余裕がない場合でも、公園でたった20分間を過ごすだけでも、メンタルヘルスが向上し、幸福感を得られやすくなるという。
アラバマ大学作業療法学部のホン ユェン教授らは、平均年齢42歳の男女94人に、バーミングハム近郊の3ヵ所の都市公園を訪れてもらい、主観的幸福度にどのような変化が起こるかを測定した。参加者はみな、血圧値が高い、血糖値が高いなど、健康上の問題を抱えていた。
研究は6ヵ月間続けられ、参加者の公園での滞在時間は平均32分で、30%の人がウォーキングなどの中強度以上の運動を行っていた。
その結果、公園にいることで、60%の人の健康状態のスコアが上昇し、主観的幸福度が向上することが分かった。
これまでの研究でも、自然が豊富にある環境にいることで、身体活動が促進され、気分が改善するなどメンタルヘルスが向上し、ストレス、血糖値、血圧、心拍数などがそれぞれ低下することが報告されている。
「自然の豊かな場所にいる時間は長いほど良く、ウォーキングなどの運動を含めるとさらに効果的です。でも、その余裕がないときでも、たった20分間を静かに過ごすだけでも、ストレスを軽減する効果があることが示されました」と、ユェン教授は言う。
緑が豊かな地域に住むと心筋梗塞リスクが低下
自然とふれあうことは、心にとって"緑の処方箋"になる
英国のエクセター大学の研究によると、自然にふれあうことが、うつ病や不安症などの精神的な問題を抱える人々の症状軽減に役立つ可能性がある。
ただし、自然にふれあうことで得られる利益が最大になるのは、ストレスを抱えていたうつ病の人が、自分の意志で自然の豊かな場所を訪れるときだという。他人から圧力をかけられてそうした行動をとると、効果は半減してしまう。
都市の緑化や水生環境が身体や精神にどのような影響をもたらすかなどを調べる目的で、「ブルー ヘルス プロジェクト」(BlueHealth Project)が、欧州の9つの研究機関から90人以上の研究者が参加して行われている。
同大学は、このプロジェクトで収集された18ヵ国の1万8,000人超のデータを調べた。その結果、うつ病や不安症の人の多くが、自然の豊かな場所をすでに頻繁に訪れており、自然にふれあうことでリラックスできたり、幸福を感じやすくなることを知っていることが分かった。
「この研究では、都市における自然環境を、人々にリラックスして、ストレスから回復するための空間として役立てられることが示されました。ただし、自然とふれあうことを、プレッシャーをかけて促すのはあまり効果的とは言えません。当人の気付きをもたらすことが大切です」と、同大学のミシェル テスター-ジョーンズ氏は言う。
「ブルー ヘルス プロジェクト」の概要
エクセター大学が公開しているビデオ
エクセター大学が公開しているビデオ
「市民農園」での野菜作りがメンタルの健康を改善
急速な都市化やライフスタイルの変化にともない、多くの人は日常的に自然とふれあう機会を大きく減らしている。そうした人と自然との関わり合いの減少は「経験の喪失」とも呼ばれ、日本をはじめとする多くの国で課題になっている。
先述の曽我昌史氏らは、この現象が起きる背景や、それにともなう健康への影響なども研究している。
研究グループは、手ぶらで野菜作りができるサポート付き市民農園の利用による健康効果について調査し、5月に発表した。それによると、市民農園を利用している人では、利用していない人に比べ、メンタル面の健康レベルに差があるという。
調査は昨年7月、市民農園のある7都府県で、利用者344人と非利用者で家庭菜園なども行っていない200人の男女を対象に、インターネットを通じて実施。
その結果、精神的健康度の不健全性を示すスコアは、市民農園の利用者で2.0点、非利用者で4.5点となり、2.3倍の違いがあることが分かった。
「土を耕したり苗を植える作業が、適度に体を動かすことにつながり、ストレス発散効果が期待できます。また、野菜や自然とふれあうことによりリラックス効果を、家族や利用者同士でコミュニケーションをとることで健康促進効果を、それぞれ期待できます」と、曽我氏は指摘している。
「コロナ禍による長期間の自宅待機によって、私たちの暮らしには多大な精神的ストレスがかかっています。市民農園を利用することで、こうした社会課題の解決につながる可能性があると考えられます」としている。
東京大学大学院農学生命科学研究科東京大学 曽我昌史研究室
A room with a green view: the importance of nearby nature for mental health during the COVID‐19 pandemic(Ecological Applications 2020年11月17日)
A regular dose of nature may improve mental health during the COVID-19 pandemic(Wiley 2020年11月18日)
Urban parks could make you happier(アラバマ大学 2019年2月25日)
Factors associated with changes in subjective well-being immediately after urban park visit(International Journal of Environmental Health Research 2019年2月13日)
If it's Green, it's Good - For Your Hear(マイアミ大学 2019年3月13日)
Relationship of Neighborhood Greenness to Heart Disease in 249 405 US Medicare Beneficiaries(Journal of the American Heart Association 2019年3月5日)
Green prescriptions could undermine the benefits of spending time in nature(エクセター大学 2020年11月6日)
Results from an 18 country cross-sectional study examining experiences of nature for people with common mental health disorders (Scientific Reports 2020年11月6日)
ブルー ヘルス プロジェクト
【東京大学×シェア畑 共同調査】市民農園の利用が健康によい影響を及ぼすことが分かりました/シェア畑利用者と非利用者を比べた場合、精神面の健康レベルに2.3倍の違いがあることが判明(アグリメディア 2020年5月26日) 「いまここケア」(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野)
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