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月経にともなう身体・精神の症状はどうすれば抑えられる? 女性の生活の質を下げ社会進出を妨げる原因に

 月経中に発現する月経困難症と、月経前に発現する月経前症候群を総称した「月経随伴症状」は、月経のある若年女性の90%に発現し、そのうち30%は日常生活にも影響を及ぼすことが報告されている。月経随伴症状を改善することは、女性の生活の質の向上につながると期待される。

 筑波大学は、月経随伴症状について調査し、月経中の症状について、▼年齢が20歳以上であること、▼BMI(体格指数)が18.5未満と低いこと、▼月経期間が長いこと、▼月経周期が不規則であること、▼月経随伴症状の家族歴があること、▼ストレスレベルが高いこと、▼睡眠時間が7時間未満であること、▼就寝時間が23時以降であること、と関連していることを明らかにした。

 「これらの関連要因のうち、修正可能な要因を改善することで、月経随伴症状の発現や重症度が抑えられる可能性があります」と、研究者は述べている。

多くの女性が月経随伴症状を経験している

 筑波大学は、「月経随伴症状」の有無、および重症度に関連する要因について検討された論文を検索し、解析した結果を発表した。

 女性の体内では、月経初日から次の月経の前日までの月経周期で、女性ホルモンの著しい変動と出血をともなうことから、身体にさまざまな変化が生じる。これにともなう精神的・身体的な症状は、多くの女性が抱える健康課題のひとつになっている。

 月経中に発現する月経困難症と、月経前に発現する月経前症候群を総称した月経随伴症状は、月経のある若年女性の90%に発現し、そのうち30%は日常生活にも影響を及ぼすことが報告されている。したがって、これを改善することは、女性の生活の質の向上につながると期待される。

 月経随伴症状の有無や重症度に関連する要因は複雑に絡み合っている。しかし、これまでの研究は、それぞれが独立した報告にとどまっており、有効な予防策の構築にはいたっていなかった。

 「月経前や月経中の精神的・身体的症状は、月経随伴症状と呼ばれ、多くの若年女性が経験し、重度の場合は日常生活にも影響を及ぼすことが知られていますが、有効な予防策はつくられていません」と、研究者は述べている。

 「そのため、これまでに行われた研究の知見をまとめ、症状の有無と重症度に関連する要因について整理する必要があると考えられます」としている。

月経随伴症状はどんな女性に多いかを調査

 月経困難症は、月経期間中に月経に付随して起こる病的症状で、下腹部痛や腰痛を主症状とし、臓器の疾患をともなわず発現する原発性(機能性)月経困難症と、子宮内膜症や子宮筋腫などの臓器疾患が原因となって発現する続発性(器質性)月経困難症がある。

 また、経前症候群(PMS)は、月経前に3~10日間程度続く、精神的あるいは身体的症状で、月経の発来とともに減退あるいは消失する。なかでも精神的な症状が顕著な状態を、月経前不快気分障害という。

 解析した結果、月経中の症状については、▼年齢が20歳以上であること、▼BMI(体格指数)が18.5未満と低いこと、▼月経期間が長いこと、▼月経周期が不規則であること、▼月経随伴症状の家族歴があること、▼ストレスレベルが高いこと、▼睡眠時間が7時間未満であること、▼就寝時間が23時以降であること、と関連していることが分かった。

 月経中の症状の重症度は、BMIや喫煙習慣と関連し、月経前の症状は、喫煙習慣と関連することも分かった。

 「これらの関連要因のうち、修正可能な要因を改善することで、月経随伴症状の発現や重症度が抑えられる可能性があります。さらなる検討により、女性の健康支援に役立つ知見が得られると期待されます」としている。

月経随伴症状の身体特性や生活習慣を明らかに

 研究は、筑波大学大体育系の中田由夫准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載された。

 研究グループは今回、2つの論文検索データベース(PubMed・医中誌)を用いて、2021年1月までに発表された月経随伴症状の有無および重症度に関連する要因について検討された論文を、システマティックレビューにより検索した。

 1,479件の論文がみつかり、これらについて、1次スクリーニングとして論文の表題と要約を精査し、1,109件の論文を除外、残った370件の論文の本文を、2次スクリーニングとして精読して、238件の論文を除外し、131件の論文を得た。

 その後、各論文の研究の質を、論文の質を評価する指標である「JBI」により評価し、JBIスコア≧50%の論文を選択した。これにより、131件の論文のうち77件が最終的な分析対象となった。

 これら77件の論文から、月経随伴症状の有無および重症度に関連する要因として、身体特性、月経特性、生活習慣のデータを抽出し、メタ解析を行った。

筑波⼤学体育系
Factors Associated with the Prevalence and Severity of Menstrual-Related Symptoms: A Systematic Review and Meta-Analysis (International Journal of Environmental Research and Public Health 2022年12月29日)
[Terahata]

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