ニュース
市販薬の適切使用とヘルスリテラシーの関連を明らかに〜筑波大の研究グループ
2023年08月10日

研究グループは、ヘルスリテラシー向上をうながすとともに、薬局スタッフが利用者に対して説明や注意事項の啓発などで、より積極的に介入する必要があるとしている。
販売者による積極的なコミュニケーションも大切
医薬品の適切な利⽤には、⾃分の病状を理解したうえで、添付⽂書に記載の指⽰を守れるか、薬剤師の指⽰に適切に従えるか、といった「ヘルスリテラシー」が必要とされる。ヘルスリテラシーとは、人々の健康に関する知識を測定する指標として使われる概念のこと。
国内では2017年からセルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)が始まり、個人がスイッチ要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けられるようになった。
これにより、不要な医療機関への受診や医療費が抑制されるメリットがある一方、医薬品の誤使用や乱用、処⽅薬との相互作⽤や副作⽤などが発生する恐れもあり、ヘルスリテラシーが問われると言える。
一方、これまでに慢性疾患の患者については、代替医療(通常医療以外の治療)による副作用への適切な対処にヘルスリテラシーが重要であるとの報告があったが、市販薬利⽤者のヘルスリテラシーの状況と、添付文書理解能⼒や副作⽤出現時の対処能力について関連を明らかにした結果は国内ではなかった。
そのため、同研究は2020年1月から2月、関東地方14カ所の薬局店舗で、市販薬を購入した20歳以上を対象にアンケート調査を実施。140人の回答データを解析した結果、ヘルスリテラシーが高い人ほど添付文書をよく理解し、副作用が発生したときは医療者へ相談するなど適切な対処につながっていることが分かった。

そのため研究者らはセルフメディケーションの適正利⽤のためには、人々のヘルスリテラシー向上とともに、店舗での販売者(主に薬剤師や登録販売者)による積極的なコミュニケーションと情報提供を含めた⽀援が求められる、としている。
筑波大学「健康に関する知識が高いほど、市販薬を適切に使用できる」
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「調査・統計」に関するニュース
- 2025年06月10日
- 【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
- 2025年06月09日
- 【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
- 2025年06月09日
- 健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
- 2025年06月02日
- 【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
- 2025年06月02日
- 【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
- 2025年06月02日
- 女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
- 2025年06月02日
- 自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
- 2025年05月30日
- 都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
- 2025年05月27日
- スマホアプリを活用し社会人のメンタルヘルスを改善 スマホで学ぶ認知行動スキルがうつ状態を改善 睡眠改善を支援するアプリも
- 2025年05月27日
- 女性の月経にともなう困難症状は運動習慣によって異なる 生活習慣に応じた対策・支援が必要