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「都市の緑化」はメンタルヘルスを向上 睡眠が改善しストレスやうつ病も減少 緑を増やすと熱中症対策にも
2024年04月01日

都市の緑化を推進することは、住民の睡眠の質の向上につながることが、大規模な調査で明らかになった。
都市部の緑地の多い地域に住んでいる人は、メンタルヘルスが良好である傾向があることも示された。
都市に公園や緑地などを整備することは、夏の熱波を冷やすことにつながり、熱中症の対策にもなる。
「自然が豊かな環境を整備する"緑の回廊"が注目されています。緑化プロジェクトは、住民の健康を守るだけでなく、二酸化炭素の削減や、河川の氾濫などの災害の防止にも役立ちます」と、研究者は指摘している。
緑が豊かな環境に住む人は良い睡眠をとれている
都市の緑化を推進することは、住民の睡眠の質の向上につながることが、英エクセター大学による研究で明らかになった。 「緑が豊かな環境に住んでいる人は、メンタルヘルスが良好であり、睡眠も十分にとれている傾向が示されました」と、同大学欧州環境・人間健康センターのリアン マーティン氏は言う。 「これまでの研究でも、樹木や草花などの緑の豊かな環境と睡眠の質は関連があることが示されています。睡眠不足は、先進国では深刻な公衆衛生上の問題になっており、環境整備は重要です」としている。 研究グループは、欧州環境センターなどが実施している、地域の自然環境と健康などとの関連を調べている「ブルーヘルス国際研究(BIS)」の一環として、欧州や米国、香港などの18ヵ国の住民1万6,000人以上のデータを解析した。 その結果、自然が豊かな環境や、家から緑が見える環境に住んでいる人は、睡眠時間が6時間未満と短い割合が17%で、そうでない人の22%より少ないことが分かった。 睡眠不足は、先進国で深刻な公衆衛生上の問題になっており、日本でも4割は睡眠時間が6時間未満の睡眠不足という報告がある。睡眠不足は、肥満・糖尿病・心血管疾患や死亡リスクを上昇させるなど、健康に悪影響をもたらす。緑が豊かな環境に住む人はメンタルヘルスが良好
都市部の緑地の多い地域に住んでいる人は、メンタルヘルスが良好である傾向があることは、米テキサスA&M大学による別の研究でも明らかになっている。 研究グループは、衛星赤外線測定や地理情報システム(GIS)などのデータをもとに、都市の緑化をスコア化している「NatureScore」を使用し、テキサス病院に通院しているストレス・うつ病・不安症・双極性障害の患者などの6,139万人超の医療記録と突き合せた。 その結果、緑化スコアの高い、自然が豊かな地域に住んでいる人は、そうでない人に比べ、メンタルヘルス不調を経験する割合が50%減少することが分かった。 「緑の豊かな地域に住んでいる人は、メンタルヘルスが良好である傾向があり、そうでない人に比べ、うつ病を経験する可能性が51%低く、気分が高まったり落ち込んだりを繰り返す双極性障害を経験する可能性が63%低いことが示されました」と、同大学で環境・労働衛生学を研究しているジェイ マドック教授は言う。 「都市に緑地を増やすことは、住民のメンタルヘルスと幸福を促進するのに有用である可能性があります。米国の成人の22%以上がメンタルヘルス不調に悩まされていることを考えると、都市の緑地を整備することは重要です」としている。都市の緑化は熱中症対策にも有用 緑が都市を涼しくする

Mechanisms underlying the associations between different types of nature exposure and sleep duration: An 18-country analysis (Environmental Research 2024年6月1日)
Study Suggests People In Urban Areas With More Green Space Have Better Mental Health (テキサスA&M大学 2024年2月22日)
Nature and Mental Health in Urban Texas: A NatureScore-Based Study (International Journal of Environmental Research and Public Health 2024年2月1日)
Wetlands, parks and even botanical gardens among the best ways to cool cities during heatwaves (サリー大学 2024年2月22日)
Urban heat mitigation by green and blue infrastructure: Drivers, effectiveness, and future needs (Innovation 2024年2月28日)
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