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「低カロリー甘味料」が過体重や肥満の人の体重管理を改善 甘い食品への欲求も低下 欧州肥満学会議が発表

 過体重や肥満のある成人が低カロリー甘味料を利用すると、体重管理を長期にわたり改善でき、糖尿病のリスクも高めないという長期のランダム化比較試験の結果を、欧州肥満学会議(ECO)が発表した。

 低カロリー甘味料を使用したグループは、より多くの体重減少を達成し、食事満足度が高く、甘い食品への欲求が低いなどの傾向もみられた。

 「多くの人は減量に成功しても、その後に適正な体重を維持するのが困難ですが、今回の研究では、低カロリー甘味料を利用することが、過体重や肥満のある成人の体重管理を助けることが裏付けられました」と、研究者は述べている。

低カロリー甘味料は体重管理に役立ち糖尿病リスクを高めない

 過体重や肥満のある成人が低カロリー甘味料を利用すると、体重管理を長期にわたり改善でき、糖尿病のリスクも高めないという長期のランダム化比較試験の結果を、欧州肥満学会議(ECO)が発表した。

 糖質の含まれる飲料や食品を、低カロリー甘味料を使用した食品や、無糖の食品に置き換えると、食事の満足度が高くなり、甘い食品への欲求も抑えられることも示された。

 「低カロリー甘味料の利用は、少なくとも1年間は体重管理に役立ち、2型糖尿病や心血管疾患のリスクを高めないことが示されました」と、研究者は述べている。

 アスパルテーム、エリスリトール、ステビア、サッカリンなどを原材料とした低カロリー甘味料は、エネルギー摂取にほとんど寄与しない。糖質を減らすために、多くの食品に使われており、世界中の数百万人もの人々が利用している。

 詳細は、5月にイタリアのベニスで開催される第31回欧州肥満学会議(ECO 2024)で発表される。

低カロリー甘味料を使用した1年間のランダム化比較試験を実施

 デンマークのコペンハーゲン大学などは今回、デンマーク・スペイン・ギリシャ・オランダの過体重と肥満の成人341人(18~65歳、女性 71%、体格指数(BMI)25以上)と、過体重の範囲にある子供38人(6~12歳、女子 60%、小児肥満の判定で85パーセンタイル値を超過)を対象に、1年間のランダム化比較試験を実施した。

 試験の最初の2ヵ月月間は、成人には5%以上の体重減少を目標に、エネルギーを適正に調整した食事をとるよう指導し、小児には健康的な体重を維持するための食事指導を受けてもらった。

 続く10ヵ月間は参加者を、低カロリー甘味料を使用し、単純糖質のエネルギー比を10%未満に調整した健康的な食事をとるグループと、同じカロリーの通常の食事をとるグループに無作為に分けて比較した。

 その結果、12ヵ月後に低カロリー甘味料を使用したグループでは体重が7.2kg減少し、使用しなかったグループの5.6kg減少よりも優れていた。

 また、血糖値やHbA1c値、コレステロール値など、2型糖尿病と心血管疾患に関連するマーカーについては、両グループで差がなかった。

低カロリー甘味料の使用により食事満足度が高く甘いものへの欲求は少なく

 参加者の食行動を詳しく分析したところ、低カロリー甘味料を使用したグループは、6ヵ月後の時点で外食での食事満足度が高く、甘い食品への欲求が低く、積極的な気分も高い傾向がみられた。

 一方、低カロリー甘味料を利用しなかったグループは、6ヵ月後と12ヵ月後の時点で、甘い食品や塩味のきいた食品に対する欲求がみられた。身体活動や生活の質などについては、グループ間で差はなかった。

 なお、試験を完了した22人の小児では、肥満傾向などの結果に差はみられなかったものの、低カロリー甘味料を利用した小児は、食事の調整の失敗が少ない傾向がみられたという。

 「子供が、食べ物においしさを求め、それに応じて食べすぎ・飲みすぎてしまうことが多いのを考えると、低カロリー甘味料は有益と考えられます」と、英リーズ大学の食欲制御・エネルギーバランス研究グループのクラリッサ デーキン氏は言う。

 「低カロリー甘味料の潜在的な影響を明らかにするために、より多くの子供たちを対象とした大規模な研究が必要です」としている。

低カロリー甘味料は過体重や肥満のある人の体重管理を助ける

 清涼飲料や菓子類などの加工食品に使用されることが多いのは、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)を主成分とする異性化糖だ。甘味度が高く、工業的に安定して生産でき、価格が安いので、多くの食品に利用されている。

 しかし、こうした糖質は食品のカロリーを高めるだけでなく、肥満や2型糖尿病、心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などの発症リスクも高めることが指摘されている。

 「多くの人は減量に成功しても、その後に適正な体重を維持するのが困難ですが、今回の研究では、低カロリー甘味料を代替として利用することが、長期的に過体重や肥満のある成人の体重管理を助けることが裏付けられました」と、コペンハーゲン大学の栄養健康学部のアン レーベン教授は言う。

 「研究結果は、低カロリー甘味料による潜在的な健康への影響に関する論争に対処するために、重要な情報も提供するものです。これまで、低カロリー甘味料を使用したランダム化比較試験(RCT)は、あまり行われていませんでした」としている。

より健康的で低カロリーの食品の開発を

 なお、世界保健機関(WHO)は2023年に、低カロリー甘味料は長期的な体重管理に有用ではなく、低カロリー甘味料の利用と疾患の転帰とのあいだにエビデンスの不確実性はあるものの、健康上のリスクを高める可能性があると指摘する報告書を公表したが、今回の研究発表はこれを覆すものだ。

 食品添加物が食欲と体重管理にもたらす影響と安全性については、多くの議論がされているものの、人々の食行動におよぼす長期的な影響についてはよく分かっていないことが課題になっている。

 「今回の長期試験の結果は、体重管理を助けるために、低カロリーの食品や飲料を使用する正当性を示すものです。低カロリー甘味料の利用について、甘味に対する嗜好・食欲・血糖管理などに対して、懸念すべき根拠がないことを示唆しています」と、英リバプール大学の心理学部のジョー ハロルド教授は言う。

 「これらの結果は、低カロリー甘味料を上手に使用することが、体重管理で積極的な役割を果たすというエビデンスを追加するものです。より健康的で低カロリーの食品の開発を妨げる政策や規制などの見直しが必要であることをほのめかしています」としている。

Replacing sugar with sweeteners can improve weight loss control over the long-term in adults in the overweight range, finds European randomised controlled trial (欧州肥満学会議 2024年3月21日)
Sweeteners can improve weight loss maintenance, new research suggests (リーズ大学 2024年3月24日)
[Terahata]
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