ニュース

大腸がん検査は40代から受けると効果が大きい 大腸がん検診は死亡リスクを大幅に減少 検査を受けることが大切

 50歳ではなく40代から大腸がん検査を受けるのは有益だという、大規模な調査結果が発表された。

 大腸がん検診は、大腸がんによる死亡リスクを最大で45%減少する効果があることも示されている。

 「大腸がんのスクリーニング検査と大腸内視鏡検査を受けないでいると、リスクは大幅に膨れ上がります」と、研究者は指摘している。

 大腸がんは日本でも、食生活の欧米化、肥満、アルコールのとりすぎ、運動不足などを背景に増えており、死亡数は肺がんに続き2番目に多く、女性ではもっとも多いがんだ。

大腸がん検査を40代から受けると効果が高い

 50歳ではなく40代から大腸がん検査を開始することを推奨する最新のガイドラインは、50歳未満の年代の人にとって有益だという調査結果を、米国の大手の健康保険システムであるカイザーパーマネンテが発表した。

 「米国予防サービスタスクフォースは、45~49歳の成人の大腸がん発症率が上昇していることを示す調査結果を受けて、大腸がんのスクリーニング開始の年齢を引き下げました」と、同グループ研究部門の消化器科医でもあるセオドア レビン氏は言う。

 「今回の調査により、40代から大腸がんのスクリーニング検査を開始するのは効果的であることが裏付けられました」としている。

 大腸がん検診では、便を採取し、便に混じった血液を検出する便潜血検査がまず行われ、がんの疑いあり(要精密検査)と判定された場合には、大腸内視鏡検査などが行われる。

40代の大腸がんリスクは50歳と同程度 検査を受けることが大切

 研究グループは今回、大腸がん検診と便潜血検査キットの最初の案内を2022年1~9月に受け取った、米国在住の45~50歳の成人26万7,000人以上を対象に調査した。

 その結果、検査で陽性の結果が出たのは、45~49歳のグループでは3.6%、50歳のグループでは4%で、どちらのグループも陽性の結果を受けた人の約3分の2が、結果を受け取ってから90日以内に大腸内視鏡検査を受けていた。

 大腸内視鏡検査中のポリープ検出率は、45~49歳のグループでは58.8%で、50歳のグループの67.7%に比べてわずかに低かったものの、大腸がんの検出率は同程度であることが示された。内視鏡検査後にがんの診断を受けたのは、45~49歳では2.8%、50歳では2.7%で、こちらも同程度だった。

 同グループの大腸がん検診プログラムでは、便潜血検査キットを、2008年以来は50歳以上のすべての対象者に毎年提供してきたが、2022年からは新しい検診の推奨事項を採用し、対象を45~49歳に拡大した。

 「今回の研究で、40代の成人の大腸がんリスクは、50歳の成人にみられるリスクと同程度であることが示されました」と、同グループの消化器科医でもあるジェフリー リー氏は言う。

 「若い年代の人は、発見されるがんの数は比較的少ないことから、便潜血検査などの非侵襲の検査を最初に提供し、陽性が出た人に大腸内視鏡検査を受けてもらうのは効果的と考えられます」としている。

大腸がん検診は大腸がんによる死亡リスクを45%減少

 大腸がん検診は、大腸がんによる死亡数を最大で45%減少する効果があることが、オーストラリアの南オーストラリア大学による別の研究で示されている。

 大腸がんによる死亡者数は、オーストラリアでは肺がんに次いで2番目に多いが、早期発見して治療すれば、90%は治癒できるという。

 研究グループは、大腸がん患者1万2,906人のデータを解析し、便潜血検査によるスクリーニングと、大腸内視鏡検査によるフォローアップは、症状があらわれる前に大腸がんを早期に発見するために重要な役割を果たしていることを確かめた。

 「大腸がんのために、全世界で毎年70万人が亡くなっており、オーストラリアだけでも6,000人以上が亡くなっています」と、同大学医療・人間パフォーマンス部のミン リー氏は言う。

 「診断前の大腸がんのスクリーニング検査と大腸内視鏡検査を受けないでいると、この数字は大幅に膨れ上がります」。

 「症状があらわれる前に、大腸内視鏡検査を受ける回数を増やすと、大腸がんによるリスクは段階的に減少し、死亡率は17~45%も減少することが示されました」としている。

Younger adults respond to colorectal cancer screening outreach (カイザーパーマネンテ 2024年10月21日)
Colorectal Cancer Screening Completion and Yield in Patients Aged 45 to 50 Years: An Observational Study (Annals of Internal Medicine 2024年10月22日)
Scientific proof that bowel cancer screening reduces deaths (南オーストラリア大学 2019年9月20日)
Pre-diagnostic colonoscopies reduce cancer mortality - results from linked population-based data in South Australia (BMC Cancer 2019年8月29日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
2025年01月14日
特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
2025年01月06日
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」
2024年12月24日
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~
2024年12月17日
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶