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すべての年代の人は運動により脳の健康を高められる あらゆる運動がメンタルヘルスを高めるのに効果的

 朝や夜のウォーキング、ジョギング、ちょっとした太極拳やヨガ、テレビの画面を見ながら行うエクサーゲームなど、あらゆる運動は若年者、中高年、高齢者などすべての年代の人の脳機能と記憶力を大幅に高めるのに効果的であることが、25万人超を対象とした調査で明らかになった。

 運動を習慣として続けている人は、メンタルヘルスが良好で、認知症、脳卒中、不安障害、うつ病、睡眠障害などを発症するリスクが低い傾向があることも、7万人超を対象とした調査で分かった。

すべての年代の人が運動により脳の健康を高められる

 朝や夜のウォーキング、ジョギング、ちょっとした太極拳やヨガ、テレビの画面を見ながら行うエクサーゲームなど、あらゆる運動は若年者、中高年、高齢者などすべての年代の人の脳機能と記憶力を大幅に高めるのに効果的であることが、南オーストラリア大学による新しい研究で明らかになった。

 「運動を習慣として行うことで、健康な人でも、糖尿病や高血圧などの疾患のある人でも、脳の健康を高め、認知機能、記憶力、実行機能を向上させることを期待できることが分かりました」と、同大学栄養・運動・活動研究所のベン シン氏は言う。研究成果は、「British Journal of Sports Medicine」に掲載された。

 「軽めのウォーキングやヨガといった低強度の運動でも、認知能力を向上させることができます。あらゆる年齢や能力の人にとって、運動は実践可能であり効果が高いことが示されました」としている。

あらゆる運動に脳機能と記憶力を高める効果がある

 研究グループは今回、2,724件のランダム化比較試験と、25万8,279人を対象とした133件のシステマティックレビューを統合して解析した。

 その結果、若者から高齢者まですべての年代の人にとって、どんな運動であっても、また低~中程度の運動であっても、運動には脳機能と記憶力を高める効果があり、はじめてから1~3ヵ月以内に明らかな効果があらわれはじめることなどが分かった。

 「1日のなかで空いた時間をみつけて、体を動かしてちょっとした運動を行うだけでも、続けていれば大きな違いを生む可能性があります」と、シン氏は述べている。

 「運動を行う習慣のない人は、ご自分のできる運動をみつけてはじめてみることをお勧めします。新たに運動や身体活動に取り組むことは、脳を活性化し、それを維持するために役立ちます」としている。

運動が認知症・脳卒中・不安障害・うつ病・睡眠障害のリスクを低下

 活発なウォーキングなど、中強度から高強度の運動を習慣として続けている人は、メンタルヘルスが良好で、認知症、脳卒中、不安障害、うつ病、睡眠障害などを発症するリスクが低いことが、別の新しい明らかになった。

 逆に、座ったまま体を動かさない時間が長い人は、メンタルヘルス不調になりやすく、これらの病気のいずれかを発症する可能性が高くなることも示された。

 研究は、中国の復旦大学などによるもの。研究成果は、4月に開催された米国神経学会第77回年次総会で発表された。

 「運動や身体活動を行うことで、体だけでなく脳の健康も高められ、糖尿病や肥満症など、さまざまな疾患のリスクが低下し、その負担を軽減できる可能性があります。運動を含めたライフスタイルの改善は、誰でもすぐに取り組めます」と、同大学で運動と神経科学について研究しているジア-イー ウー教授は言う。

運動時間の長い人の脳は健康 座ったままの時間が長い人は高リスク

 研究グループは、英国の大規模データベースに登録された、平均年齢56歳の7万3,411人の成人のデータを解析した。対象者は、活動量計を7日間連続して身に着け、身体活動量や時間などが測定された。

 身体活動の強さと量を表す単位として「メッツ」を用いた。座って安静にしている状態は1メッツで、通常の歩行は3メッツに相当する。

 軽いウォーキングや自転車こぎ、掃除などの家事は3メッツに相当する中強度の運動で、活発なウォーキングやサイクリング、ジョギングとの組み合わせ、筋トレ、水泳などは6メッツに相当する高強度の運動だ。

 その結果、中強度から高強度の運動を行う習慣があり、その時間が長い人は、座ったままの時間が長い人に比べて、糖尿病や肥満症だけでなく、認知症、脳卒中、不安症、うつ病、睡眠障害を発症するリスクが14%から40%低いことが明らかになった。

 逆には、座ったまま過ごす時間が長くなるほど、いずれかの病気を発症するリスクは高くなり、座っている時間が短い人に比べて、発症リスクは5%~54%増加した。

 「多くの国で、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活や生活の質に影響を与える精神的および行動上の問題が懸念されています」と、ウー教授は言う。

 「多くの人に、ライフスタイルを見直して、運動を行う時間を取り入れてもらうことで、認知症やうつ病などを予防・改善し、将来的にさまざまな疾患の負担を軽減できるようになる可能性があります」としている。

Exercise of any kind boosts brainpower at any age (南オーストラリア大学 2025年3月25日)
Effectiveness of exercise for improving cognition, memory and executive function: a systematic umbrella review and meta-meta-analysis (British Journal of Sports Medicine 2025年3月6日)
Physical activity linked to lower risk of dementia, sleep disorders, other diseases (米国神経学会 2025年2月27日)

[Terahata]
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