ニュース

【若い人の脳卒中が増加】ストレスは脳卒中リスクを高める タバコを吸う人はとくに高リスク

 50歳未満の若い人であっても、慢性的なストレスを抱えていると、脳卒中のリスクが上昇するという調査結果が発表された。

 とくに女性では、中程度のストレスは脳卒中リスクの78%の上昇と関連し、高強度のストレスは6%の増加と関連していることが示された。

 別の新しい研究では、45~49歳の若い人でもタバコを吸う習慣があると、とくに男性で原因不明の脳卒中のリスクが上昇することが明らかになった。とくに男性のヘビースモーカーは脳卒中リスクは7倍と、大きく上昇した。

 ストレスに効果的に対策し、禁煙も支援する保健指導が必要とされている。

ストレスは脳卒中リスクを高める

 50歳未満の若い人であっても、慢性的なストレスを抱えていると、脳卒中のリスクが上昇するという新しい調査結果を、米国神経学会(AAN)が発表した。とくに女性はストレスの影響を受けやすいという。研究成果は、「Neurology」に発表された。

 「若い世代の人の多くは、長時間労働や雇用の不安定さ、さらには経済的負担など、仕事にともなう要求やプレッシャーによりストレスを感じています」と、フィンランドのヘルシンキ大学病院神経センターのニコラス マルティネス-マジャンダー氏は言う。

 「これまでの研究で、慢性的なストレスが心身の健康に悪影響を及ぼすことが示されています。今回の研究では、ストレスが脳卒中のリスクを高める可能性が示されました」としている。

関連情報

中程度のストレスは脳卒中リスクの78%の上昇と関連

 研究グループは今回、原因不明の虚血性脳卒中を発症した18~49歳の成人426人と、発症しなかった対照群426人を対象に調査した。

 虚血性脳卒中は、脳の血管の狭窄や閉塞が原因で、脳に血液が供給されなくなり、脳組織が壊死におちいる病気。筋力低下、言語障害、視覚障害などの症状があらわれ、死にいたることもある。脳卒中の多くは、65歳以上の人が発症する。

 対象者に「過去1ヵ月に人生で重要な事柄をコントロールできないと感じた頻度はどのくらいありますか?」といった、ストレスに関する10の質問をしたところ、脳卒中を発症した人の平均スコアは、発症しなかった人に比べて高かった。

 「脳卒中を発症した若い人は、少なくとも中程度のストレスを感じている可能性が高いことが示されました。脳卒中を発症した人のうち、中程度あるいは高強度のストレスを抱えていた人は46%であり、発症しなかった人の33%に比べ、大幅に高かったのです」と、マルティネス-マジャンダー氏は言う。

 とくに女性では、中程度のストレスは脳卒中リスクの78%の上昇と関連し、高強度のストレスは6%の増加と関連していることが示された。

 「今回の研究は、ストレスが脳卒中を引き起こすことを証明するものではなく、関連を示したものに過ぎませんが、ストレスがどのように影響するかをより深く理解することで、脳卒中を予防するより良い方法を開発できる可能性があります」としている。

タバコは若年成人の脳卒中リスクを高める
脳卒中リスクは最大で7倍に
禁煙を支援する保健指導が必要
 米国神経学会の発表した別の新しい研究では、45~49歳の若い人でもタバコを吸う習慣があると、とくに男性で原因不明の脳卒中のリスクが上昇することが明らかになった。研究成果は、「Neurology」に発表された。

 「喫煙習慣は、虚血性脳卒中のリスクを高めます。今回の研究で、50歳未満の比較的若い人でも、喫煙は重要なリスク因子であることが示されました」と、英国のキール大学で老年医学と脳卒中を研究しているフィリップ ファーディナンド氏は言う。

 研究グループは、原因不明の虚血性脳卒中を発症した18~49歳の成人546人と、発症しなかった対照群546人を対象に調査を実施。

 その結果、脳卒中を発症した人の33%が喫煙していたのに対し、発症しなかった人では15%と低いことが分かった。喫煙者は非喫煙者に比べて、脳卒中リスクが2倍以上高いことが明らかになった。

 とくに男性では、喫煙によって脳卒中リスクは3倍以上に上昇し、45~49歳の男性では4倍近くに上昇した。

 さらに、ヘビースモーカーは脳卒中リスクは高く、20Pack-years以上のタバコを吸っている人は、吸わない人に比べて脳卒中を発症するリスクは4倍以上高かった。とくに男性では脳卒中リスクは7倍に、45~49歳の人では5倍に上昇した。

 「原因不明の脳卒中を発症する若年者は増えています。喫煙する習慣のある人、とくにヘビースモーカーに対して、禁煙を支援する保健指導が行うことで、若年者の脳卒中を減らせる可能性があります」と、ファーディナンド氏は述べている。

注:2025年4月24日に更新し、内容を一部修正しました。保健指導リソースガイド事務局

Stressed out? It may increase the risk of stroke (米国神経学会 2025年3月5日)
Association Between Self-Perceived Stress and Cryptogenic Ischemic Stroke in Young Adults: A Case-Control Study (Neurology 2025年3月5日)
Is smoking tied to unexplained stroke in younger adults? (米国神経学会 2025年2月19日)
Association of Smoking and Young Cryptogenic Ischemic Stroke: A Case-Control Study (Neurology 2025年2月19日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月09日
ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
2025年06月05日
【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月30日
都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶