No.3-1 これからの保健指導ー行動科学を搭載したIoTを用いた保健指導の可能性と期待ー(提供:田辺三菱製薬(株))
また、「No2.行動科学を搭載したIoT有効活用のすすめ」では、そのような取り組みを支援するためのアプリの活用についても紹介しました。
最終回(No.3)では、保健指導でアプリを用いることで、どのようなことが期待できそうか?を、実際の取り組みに基づいて紹介したいと思います。
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企業健保のアプリによる保健指導の取り組み
はじめに、A社の健康保険組合の保健指導で、No.2の記事で紹介したアプリ『TOMOCO』を用いたアプローチの結果を交え、IoTを用いた保健指導の可能性について考えたいと思います。
A社では、特定健診の結果に基づく保健指導を数社に委託しており、動機づけ支援、または、積極的支援に該当した従業員は、いずれか一社の保健指導を選択して支援を受ける体制がとられています。2020年度の特定健診・保健指導では、一部の保健指導委託先と連携し、『TOMOCO』を用いたアプローチを実施しました。
今回は、2021年7月までに、1ヶ月以上アプリを使用して、動機付け/積極的支援を受けた198人の「体重変化」に着目し、「アプリ使用状況」や「目標設定」との関連を検討しました。
対象者の特徴~どのような人がアプリ『TOMOCO』による保健指導を受けていた?~
また、肥満(25≦BMI)の該当者も半数以上(56.1%)いた。指導期間が1ヶ月以上の人のアプリ平均起動割合は20.5%で、3ヶ月以上の人では22.5%だった。
【性別】男性181人(91.4%)、女性17人(8.6%) 【平均年齢(標準偏差)】50.3(5.5)歳 【BMI平均(標準偏差)】25.7(2.7)kg/㎡ 【BMI区分】図1のとおり
アプリ『TOMOCO』による保健指導の結果~減量に成功した人の特徴は?~
アプリによる保健指導の最終目的は、やはり「メタボリックシンドロームの改善」になります。
『TOMOCO』では、指導者からの指示ではなく、対象者自らが「目標設定」を行い、「行動変容」できることで、身体状況(メタボリックシンドローム)の改善につながることを目指しています。
今回は、メタボリックシンドロームの判定に用いられる項目全てではありませんが、指導期間を通して必ず評価を行う「体重(BMI)」に焦点をあて、「目標設定」を支援するアプリを使った指導を受けることで、本当に体重(BMI)に改善が見られるか?そして改善が見られた場合、どのような対象者において改善されたか?を検証しました。
1ヶ月以上アプリによる保健指導を受けた人のうち、開始時のBMIが標準体重以上(BMI>22)であった189人を対象に、「体重変化(減量の成功)」をアウトカムとして、以下を検討しました。
どのくらいの人が、減量に成功していた?
アプリを用いた保健指導では、指導期間中の「体重」の評価も、対象者自身(自己申告)となります。そこでまず、どの程度の人が、アプリで体重記録をつけていたかを評価したところ、1ヶ月後(開始4~5週間後)に体重記録をつけていた人が、46人(24.3%)と全体の1/4程度、1ヶ月後、3ヶ月後ともに体重記録をつけていた人が、23人(12.2%)と1割強程度でした。
一方、体重記録をつけていた人では、1ヶ月後、その8割以上(39人(84.8%))が減量できており、3ヶ月後まで記録をつけていた人では、その9割程度(20人,87.0%)が、1ヶ月後と3ヶ月後の両時点で、開始時からの減量に成功していました(全体の1割程度(10.6%))。
つまり、体重記録をつけようとするレベルの行動変容ステージにある人が、アプリ(TOMOCO)を使用し、体重を記録すること(セルフモニタリング)は、「減量の成功」とも関連する可能性がうかがえました。
では、減量に成功した人はどのような人だったのでしょうか?次回、No.3-2では、<実際に減量に成功した人は、なぜ成功したのか?>を考えていきます。
「行動科学に基づいた保健指導スキルアップ~対象者の行動変容を促すには?~(提供:田辺三菱製薬(株))」もくじ
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