オピニオン/保健指導あれこれ
乳がん発見から治療・生活・食事・仕事まで

No.3 検診で乳がんを疑ったらどのような検査をするのでしょうか?

かまくら乳がんセンター センター長
土井 卓子

 まず、問診、視触診を行います。マンモグラフィ、エコーで確認し、病変があれば細胞診、組織診で診断を確定します。

 問診

 いつから、どんな症状があるのか、月経と関連があるのか、妊娠、出産、授乳歴はどうなのかを伺います。閉経前か後か、診察時が月経周期のどこに該当するのか、ホルモン補充療法を行っているかどうかは乳がんの診察にとって大切な情報です。

 月経前は乳房が張って硬く、月経開始後は軟らかくなります。妊娠中、授乳中は乳房が緊満し普段とは全く状態が異なります。もしこの時期に針生検や細胞診を行うと、採取される組織は活動性が高く、がんと見間違うような形態になっている場合もあります。組織を診断する病理医にこの妊娠や授乳中という情報が伝わってないと、良性病変を乳がんと間違う場合もあり、大切な問診内容です。

 また、乳がんの家族の家族歴も大切な問診内容です。お母様やお姉さまが乳がんの場合は乳がん発生リスクは2倍ほどに、何人もの家族歴、多発乳がんや両側乳がん、卵巣癌の合併がある場合は遺伝性家族性乳がん卵巣癌症候群を疑います。遺伝性乳がんではそのことを考慮して治療方法を決める必要があります。

視触診

 最初に乳房を観察します。皮膚に赤くなっている部分がないか、盛り上がりや陥凹部分がないか、乳頭が変異していないかを観察します。次に医師が手指で乳房と腋窩に触れて腫瘤の有無、リンパ節腫大の有無を確認します。乳頭からの異常分泌や出血の有無も確認します。

マンモグラフィ

 2方向撮影を行います。必要時は病変部分をスポットで圧迫して撮影します。最近はマンモグラフィの断層撮影が可能になり、若いデンスブレストでも明確に病変を確認できるようになりました。

エコー

 2方向撮影に加えて3次元撮影、病変部の血流の多寡を確認するドップラー法、病変部の硬さを確認するエラストグラフィなどの多くの機能が使用できるようになりました。エコーガイド下に生検をするインターベンショナルな使用も普及しています。

 良悪の確定診断方法:画像で腫瘤がある場合、注射針を乳房内に刺して腫瘤中の細胞を吸い上げて採取し良悪を確認する細胞診、局所麻酔下に生検針を刺入し、組織を採取して良悪、組織像、がんの性格(サブタイプ)を診断する(吸引式)組織診を行います。どの方法を選択するかは、病変の状態によって決めます。

 麻酔の痛みはありますが、つらい検査ではありません。こわがって悩んでいるより、良悪を確認して安心する方が良いでしょう。

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