オピニオン/保健指導あれこれ
データヘルス計画の活用で、人々の役に立つ保健活動を

No.1-2 データヘルス計画で「健康づくり」が変わった

生活習慣病予防研究センター 代表、医師
岡山 明
 日本再興戦略の一環であるデータヘルス計画は、医療保険者に医療費データや健診データなどを活用した効果的な保健事業の企画と実施を義務づけ、医療費の適正化を目指すものです。

 データヘルス計画で取り組むべき保健事業は、その基盤となる仕組み、健診をもとにした保健事業、医療保険者固有の保健事業です。保険事業が円滑に運営されている医療保険者の取り組みを見ると、基盤となる仕組みをうまく整備し活用していることが分かります。

1.コラボヘルス・データヘルス推進委員会

 保健事業の成功例を見ると、意思決定や合意の形成とそれに基づく着実な実施が重要であることが分かります。

 長期にわたり継続的な取り組みが可能となるように、事業を推進するための会議体を組織しています。

 委員会の具体的な構成は医療保険者と企業の数だけ存在しますが、円滑に機能している組織には共通性が見られ、委員会が単独で組織されることは少なく、保健事業の企画や実施に関して実際の企画運営を行う下部組織と連携を取りながら実施している場合が多く見られます。

 このような組織では委員会が事業方針との整合性や予算の確保、長期の計画設定と年次評価を行い、実際の事業実施は下部組織にゆだねる方式が一般的です。「職域でうまく機能している例では、10年以上の継続的な取り組みや試行錯誤の結果として機能している組織があります。

 しかしながら、これは市区町村でも同様ですが、円滑に機能している他の保険者のできあがった例を模倣するのは現実的ではありません。まずは委員会の組織と機能の強化に有効だと考えられる保健事業に取り組むことから開始すべきであるといえます。

2.環境整備

 職域では、従業員の生涯生活時間のうち職場で過ごす時間を考慮する必要があります。職場での生活が生活習慣病予防に望ましいか否かにより、生活習慣病の発症リスクが大きく異なる可能性があるからです。

 喫煙環境を制限する、運動環境を整備するなどで、従業員の意識や行動は大きく変わります。我が国の喫煙率が大きく低下した理由の一つが公共の場での喫煙を制限した健康増進法の施行であるとされています。就業の場で具体的な対策を立てることができれば、さらなる効果が期待できます。

 しかし、これは健保組合が単独でできるものではなく、企業とのコラボヘルスの考え方が必須となります。経営トップが明確な指針を出すことで、経営層・従業員全体の意識を大きく変えることができます。

 また肥満や糖尿病が重要な課題となる場合、自動販売機などの中身を見直すことも有効な環境整備です。食堂のメニューや個人の弁当などの見直しにより、生活習慣病予防にとって望ましい食生活を提供することもできます。

 市区町村においても、一般衛生が行う保健事業と連携することで幅広い事業展開が可能になると考えられます。

3.意欲を維持させる仕組み

 保健指導などによって生活習慣の改善が一時的に得られたとしても、意欲が継続する仕組みがなければ徐々に指導前に戻ってしまいます。

 そのため個別の事業の実施とともに、保健事業の基盤の中に意欲が継続する仕組みを作り上げることも重要になります。個人の健康行動を支援する仕組みの一例として、運動施設の利用や保養所の活用、禁煙外来の補助などが挙げられます。

 インセンティブモデルを意欲継続や参加率向上のために用いている医療保険者も見られます。

 インセンティブの付け方には、健診受診するなどの健康行動を取ったときや保健指導で課題を実行したとき、イベントなどへ参加したときなどにポイントを与える方法などがありますが、単にポイントを加えるのではなく、減点することで動機を高めている保険者の例もあります。

 ポイント制の運用での課題としては、一部の対象者がイベントやキャンペーンポイントのほとんどを占めるなど、幅広く活用してもらうことが困難である点が挙げられます。そのため、保健指導のフォローや健診受診など対象に想定される人の多くが参加しやすい仕組みを作ると良いでしょう。

 節目健診や節目人間ドックなどを実施している医療保険者では、対象となる年齢を健康づくりの重点年齢として、様々な保健事業の優先対象者と位置づけることで、対象者の動機付けを図る方法もあります。

 単年度ではカバー範囲が狭くても、数年単位で考えれば幅広い対象者にサービスを提供することが可能となります。

【参考】
生活習慣病予防研究センター

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