ニュース

通勤時にしっかり歩けば糖尿病と高血圧のリスクは低下

 通勤時のウォーキングは立派な"健康運動"だ。車を使わず徒歩で通勤すれば、糖尿病や高血圧のリスクを低減できることが科学的に解明された。
徒歩で通勤している人は糖尿病リスクが40%低下
 運動が健康増進のために不可欠であることは、多くの人が認知している。ウォーキングや水泳、ランニング、筋トレ、ダンベル体操、――。それぞれの効能は科学で解明されており、効果的な取組み方を解説した実践書もたくさんある。しかし実際に、一念発起して運動をはじめても、それを習慣として続けていくのは思った以上に難しい。

 しかし、誰でも簡単に毎日の習慣にできる運動がある。通勤時の"ウォーキング"だ。通勤時に自宅から駅まで歩く、駅からオフィスまで歩く。この時間を上手に活用すれば、非常に効果的な"健康運動"にすることができる。

 最近の研究でも、毎日の通勤で、徒歩や自転車の移動時間が長い人は、それ以外の人に比べて、あきらかに糖尿病や高血圧症を発症しにくいことが示された。

 英ロンドン大学などの研究チームは、2万458人の英国人を対象に、通勤時のウォーキングや自転車での移動と、生活習慣病の発症との関連を調査した。

 車で通勤している人に比べ、地下鉄やバスを使い徒歩で通勤している人では、あきらかに肥満が少なく、2型糖尿病や高血圧症の発症も少ないことが分かった。

 徒歩で通勤している人は、肥満の割合が20%少ないことが示された。糖尿病の発症は40%、高血圧症の発症数は17%少なかった。

 自転車で通勤している人では、さらに大きな差が出た。肥満は31%、糖尿病は50%、高血圧症は24%、それぞれ発症数が減っていた。

 「通勤の手段として、なるべく車を使わず、徒歩や自転車などを使うことで、肥満や高血圧、2型糖尿病を発症する危険性を減らせることが実証されました。自家用車で通勤している人は車を降りて、なるべく歩く時間を増やした方が良いのです」と、インペリアルカレッジロンドンのアンソニー ラバティ氏(公衆衛生学)は強調する。

1日30分のウォーキングで体は変わる
 自宅から駅までバイクで行くのをやめて歩く、次のバス停まで歩いて行きバスに乗る、オフィスの最寄りより地下鉄駅のひとつ手前の駅で下車して歩く――など、ちょっと工夫すれば、ウォーキング時間を増やすのは難しくない。そうすれば、毎日続けられる"健康運動"として、効果は確実にあらわれてくるはずだ。

 ちなみに、厚生労働省の健康増進計画である「健康日本21(第2次)」では、日常生活での身体活動・運動を推進する目標のひとつに「日常生活における歩数の増加」を掲げている。

 日本人が1日に歩く歩数の平均は、男性7,841歩、女性6,883歩(2010年度国民栄養調査)。自動車移動やデスクワークが多い人だと、この平均よりずっと少なくなり5,000歩前後しか歩いていない人も多い。

 「健康日本21」では、2022年までの目標として、男性9,000歩、女性8,500歩を目指している。これは、スポーツ医学などの研究から割り出された数値で、体重60キロの人が、分速70メートルで10分間歩くと、約30キロカロリーのエネルギーを消費量する計算になる。1日30分のウォーキングを毎日続ければ、1週間のエネルギー消費は630キロカロリーになる。

 通勤時にしっかり歩くようにすれば、1日30分のウォーキングはさほど難しい目標ではない。

Walking to work cuts risk of diabetes and high blood pressure(インペリアル カレッジ ロンドン 2013年8月6日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「運動」に関するニュース

2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年02月04日
ラジオ体操などにより要介護や認知症のリスクが低下 高齢化社会の健康施策に体操を活用
2025年02月03日
良い睡眠は肥満や高血圧のリスクを減らす 日本人の睡眠は足りていない 3つの方法で改善
2025年02月03日
運動とメンタルヘルスの深い関係 コロナ禍に活動的だった人はポジティブな感情を維持 運動は楽しく続けられることも大切
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶