ニュース
睡眠不足は肥満のもと 睡眠をとれないと食べ過ぎに
2013年08月22日

仕事が忙しかったり、寝苦しい熱帯夜が続くと、ついつい睡眠不足になりがちだ。寝不足が続くと、高カロリーの「ジャンクフード」を食べたくなることはないだろうか。睡眠不足は脳に負担をかけ、食欲にも悪影響をもたらすことが、最新の脳科学の研究であきらかになった。
寝不足が続くと、健康に良い全粒粉を使ったパンや緑黄色野菜を見ても食欲がわかず、ついつい高カロリーのドーナツやピザに手を伸びてしまいがちだ。これは、睡眠不足が続くと、脳の「前頭葉」の活動が損なわれるからだという。 複雑な意志決定をするときに、前頭葉の活動は活発になる。食欲が満たされると、前頭葉の「報酬系」と呼ばれる部分が活性化して快感がもたらされるが、睡眠不足が続くとその反応が鈍くなるという。 米カリフォルニア州立大学バークレー校の研究チームは、23名の被験者を対象に、睡眠時間の違いが食欲にどのような影響を与えるかを調査した。 正常な睡眠をとった後と、睡眠不足の状態の2度にわたって、「機能的磁気共鳴画像装置」(fMRI)を使って脳をスキャンした。 fMRI検査を行いながら、低カロリーの野菜や果物などの健康的な食品や、ドーナツやパンケーキなどの高カロリーのジャンクフードまで、80種類の食品の写真を見せた。 その結果、寝不足状態の被験者は、ジャンクフードを欲しがる傾向が強くなった。脳スキャンで確かめたところ、脂肪や塩分の多く味付けの濃い高カロリーの食品を見たときに、前頭葉の活動がより活発になった。 「睡眠不足が続くと、動機付けや欲求をコントロールしている前頭葉の働きが不安定になり、結果として食欲が増したり、高カロリーの食品を求めるようになります」と、カリフォルニア大学のマシュー ウォーカー教授(脳神経科学)は説明する。 寝不足や睡眠障害が続いている人は肥満になりやすいことは、過去の研究でもあきらかになっている。つまり「睡眠不足になる → 食欲を抑えられなくなる → 食べ過ぎてしまう」という負のプロセスに陥ってしまう危険性があるという。 逆に言えば、睡眠をしっかりとれば、食欲をコントロールしやすくなるということだ。「十分な睡眠をとることで、適切な食品を選択する脳の働きを促すことができ、体重をコントロールしやすくなります」と、ウォーカー教授は言う。 ジャンクフードへの欲求を抑えて、食べ過ぎを抑えるためにも、睡眠をしっかりとるように心がけたいものだ。 Sleep deprivation linked to junk food cravings(カリフォルニア大学 2013年8月6日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「栄養」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 【コーヒーと健康の最新情報】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクが低い 女性では健康的な老化につながる
- 2025年07月08日
- 「大人の食育」を強化 人生100年時代の食育には地域や職場との連携も必要-令和6年度「食育白書」より
- 2025年07月07日
- 日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市