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脳卒中で失われた運動機能がリハビリで回復 脳の変化を解明
2015年01月07日
脳卒中などで脳の一部が損傷して失われた運動機能がリハビリで回復するのは、損傷した部分が果たしていた役割を別の部分が肩代わりするからだと、産業技術総合研究所などの研究チームが発表した。脳機能の回復メカニズムにもとづき、より効果的なリハビリ手法の開発が期待できるとしている。
脳の回復メカニズムにもとづいたリハビリが注目を集める
日本では脳卒中をはじめとする脳の損傷が深刻な社会問題となっている。脳に損傷を受けると後遺症が残ることが多く、脳卒中は発症後に介護を必要とする疾病原因の第一位となっている。なかでも、手の運動機能の低下は、患者の日常生活を不便にする大きな要因となる。患者や家族の負担を軽減するために、リハビリによる機能回復の効率化が重要な課題となっている。
そうした中で、脳の回復メカニズムにもとづいた新しいリハビリである「ニューロリハビリテーション」が注目を集めている。ニューロリハビリテーションは、脳の機能回復メカニズムを利用し、より完全な機能回復を目指すリハビリ。近年になって脳の神経ネットワークは固定されたものではなく、柔軟に変化しうるものであることが分かってきたので、この柔軟性を生かしたリハビリが模索されている。
研究チームはサルを使って実験。大脳皮質から筋肉へ運動の指令を出す中心領域である「第一次運動野」のうち、手の運動機能を担う部分を薬で損傷させ、指で物をつまむ動きを麻痺させた。直後からリハビリを始めた。
指先で物をつまむというような手先の器用な動作はヒトとサルなどの動物だけがもつ高度な運動機能で、大脳皮質による情報処理が必要なので、第一次運動野が損傷すると回復は難しい考えられていたが、1ヵ月後にサルの手の運動機能は回復していた。
運動機能が回復するまでの脳の働きを、血流変化を測定する「陽電子放射断層撮影装置」(PET)で調べたところ、脳の正常な部分の血流が増え、活発に働いていたことが分かった。損傷から1~2ヵ月後では第一次運動野から離れた場所にある「運動前野腹側部」という領域が、3~4ヵ月後では第一次運動野の損傷部分に近い領域が、それぞれ活発に働いていた。
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