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世界の認知症人口は4600万人 2050年に3倍の1億3000万人に増加

 世界の認知症患者の数が、2015年の4,680万人から2050年には約3倍の1億3,150万人に増加するとの予測が発表された。
年間に990万人が認知症を発症 3.2秒に1人が発症
 国際アルツハイマー病協会(ADI)は、9月21日の「世界アルツハイマー・デー」に先立ち、「世界アルツハイマー病 レポート 2015」を発表した。このレポートは、英国のキングス カレッジ ロンドン国際高齢者・認知症ケア研究所のマーティン プリンス教授らがまとめたものだ。

 現在、世界で年間に990万人が認知症を発症しており、3.2秒に1人が発症している計算になる。世界の認知症人口は、2015年は4,680万人と推定されているが、2030年までに7,470万人に増加し、2050年までに1億3,150万人に増加すると予測されている。

 新たに認知症と診断される患者数は、日本を含むアジア地域が490万人で全体の49%を占め、もっとも多い。次いで、欧州の250万人(25%)、北米の170万人(18%)、アフリカ地域が80万人(8%)と続く。2012年の予測に比べ、アジア地域では大幅に増えている。

 世界の認知症の医療コストは、2015年は98兆円(8,180億ドル)と推定されているが、2018年までに120兆円(1兆ドル)を超え、2030年までに240兆円(2兆ドル)を超えると推定されている。

 ADIによると認知症の医療コストは、アップル社(7,420億ドル)、グーグル社(3,680億ドル)、エクソン(3,570億ドル)などの世界的な企業の収益よりも多く、企業にたとえてみると、世界で第18番目に多い規模になるという。

 認知症の中でもっとも多いアルツハイマー病は、運動・睡眠・メンタルケアなどの生活習慣の改善である程度が予防できることが分かってきた。アルツハイマー病の治療薬も増えており、新たな治療薬の開発も進められている。

 先進国ではそうした医療の進歩の恩恵を受けやすいが、先進国でアルツハイマー病が減っているという報告はない。アルツハイマー病の治療法や効果的な予防法はいまだに発見されていない。

 特に中・低所得の国で認知症による損失や負担は深刻で、認知症患者をサポートする社会保障制度は整備されておらず、94%は家族が患者をケアしているとみられており、ケアする人が周囲にいない場合も多い。

 主要7ヵ国(G7)を中心に、認知症やその予備群となった人をどう支えるか、効果的な対策を探る国際会議が開催され、世界保健機構(WHO)や世界認知症評議会(WDC)も本格的な対策に乗り出している。

 世界の認知症関連の学会が参加している国際アルツハイマー病協会(ADI)は、2016年に認知症に関する研究に360億円(3億ドル)以上の研究費を投入している。

 大規模な追跡調査によって、アルツハイマー病を発症するまでに、25年もの年月がかかることが分かってきた。発症の初期段階、あるいは症状が出始める前から薬を投与して予防するための新薬の開発に期待がかかっている。

World Alzheimer Report 2015: The Global Impact of Dementia(国際アルツハイマー病協会 2015年8月25日)
[Terahata]
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