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週1回のセックスが脳の老化を防止 50歳以降の性生活が健康に関与

 高齢者の認知機能の衰えを食い止めるには、活発な社会生活をもち、身体的に活発であることが効果的とされているが、50歳代以降に定期的な性交渉をもつことにも同様の効果が期待できるという最新の研究結果が発表された。
セックスの頻度を増やすと認知力を高められる
 英国のコベントリー大学とオックスフォード大学の研究チームは、「性交渉の頻度を増やすことが、認知力を高めることにつながる可能性がある」という研究を発表した。

 研究では、性交渉の回数を増やすことが精神の鋭敏さを全般的に向上させることが示唆された。

 研究チームは、ドーパミンやオキシトシンなどの化学物質の生物学的要素が性行動と脳機能との関係にどのように影響しているかを調べることも視野に入れて、研究を続けるという。
50~83歳の男女に認知能力テストを実施
 研究チームは、50歳から83歳までの男性28人女性45人を対象に認知能力のテストを実施。

 その中で、「週1回」「月1回」「全くしない」など、どのくらいの頻度でセックスを行っているかを質問した。男性の35%、女性の65%が毎月、性行為を行っていると回答した。

 セックスを週1回以上行っている参加者グループは、ある条件に合致する単語などを特定の時間内にどれだけ話したり書くことができるかを調べる「言語流暢性」テストと、ものの距離感や奥行き、空間の位置関係などを正しく認識する「視空間認知能力」テストの点数が高かった。

 流暢性テストでは、参加者に特定のアルファベットで始まる単語を分単位で発声してもらい、できるだけ多くの動物に名前を挙げるよう求められた。

 空間認識テストでは、参加者は正方形、三角形、立方体、ピラミッドなどの画像を描き、記憶により時計の面を描いてもらった。

 これらは、脳機能を測定する標準的なテストである認知機能検査「ACE-III」試験の一部だ。
性生活の維持が脳の能力を向上させる
 積極的な性生活をおくっている回答者は、両種類のテストで高い得点を挙げた。一方で、セックスの頻度が多いほど、注意力や記憶力、言語能力の得点が高いわけではなかった。

 性行為の頻度に関係なく、性生活を維持していることが脳の能力を向上させるために必要のようだ。

 「定期的な性行為に行う高齢の男女は、そうでない高齢者に比べ、認知機能が優れている傾向があることが実証されました。年を重ねても男女が親密な関係を維持することついて、今回の研究結果は重要な示唆をもたらしています」と、オックスフォード大学実験心理学部のネーレ デメッツ氏は述べている。

 デメッツ氏らは、セックスのような身体活動によって、脳内の情報を伝達する化学物質であるドーパミンや、下垂体後葉から分泌されるホルモンで神経伝達に関わるオキシトシンなどの放出が増える可能性があると指摘している。
50歳以上のセクシュアリティが健康に影響
 ただし、セックスが脳の機能を良好に保つのか、あるいは認知機能が良好な人がセックスを続ける可能性が高いのかとった関連については十分に解明されてはいない。

 「セックスが脳を健康に保つための万能薬であることを意味するものではないので注意が必要です」と、デメッツ氏は付け加えている。

 「多くの人は高齢者がセックスをするとは考えていません。社会レベルでこうした規制概念に挑戦し、50歳以上のセクシュアリティが健康やウェルビーイング全般にも影響することに配慮していく必要があります」と、コベントリー大学心理学研究センターのヘイリー ライト氏は指摘している。

 この研究は、科学誌「老人学ジャーナル シリーズB:心理社会科学」に発表された。

An active sex life improves brain power in older adults(オックスフォード大学 2017年6月23日)
Sex link to older people's brain power, says study(NHS 2017年6月22日)
Frequent Sexual Activity Predicts Specific Cognitive Abilities in Older Adults(老人学ジャーナル シリーズB:心理社会科学 2017年6月21日)
[Terahata]

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