ニュース
歳を重ねると「大人むし歯」が増加 49%に「根元むし歯」
2017年11月15日

サンスターグループ オーラルケアカンパニーは、近年増加している大人のう蝕(むし歯)に着目し、「根面う蝕(根元むし歯)」の現状に関する調査結果を発表した。この研究成果は、第147回日本歯科保存学会2017年度秋季学術大会で発表された。
根面う蝕有病率と歯周病の関連を調査
近年、高齢者のう蝕は残存歯数の増加に伴って増加し、歯と歯の間にできるう蝕のほかに、歯の治療を行った詰め物の隙間からう蝕が広がる「2次う蝕(再発むし歯)」や、歯周病や加齢などによって歯肉が退縮し、歯の根面が露出した部分に発生する「根面う蝕」が大きな課題となっている。
年齢を重ねると、むし歯治療後の詰め物などと歯の間に歯垢(プラーク)がたまりやすくなり、「再発むし歯(二次う蝕)」が起こりやすくなる。また、歯周病などで歯茎が下がって露出した歯の根元(象牙質)に歯垢(プラーク)が付着すると「根元むし歯(根面う蝕)」が生じやすくなります。象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、むし歯になりやすいためだ。
これら「再発むし歯(二次う蝕)」と「根元むし歯(根面う蝕)」を、サンスターでは「大人むし歯」と呼んでいる。
今回の研究は、根面う蝕有病率の現状に加え、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査することを目的に実施した。
調査は、2016年11月から2017年1月の2か月間に、サンスター財団附属千里歯科診療所に通院し、カルテデータの使用に同意を得ている20代~80代の男女298名を対象に行われた。
サンスターは、調査対象者のカルテを千里歯科診療所の歯科医師が匿名化したうえでデータ抽出を行った資料の提供を受け、根面う蝕有病率、根面う蝕重症度と歯周病重症度の関連性を調査した。
その結果、根面う蝕有病率は、全体の49.3%であり、30歳代の7.7%から年齢が高くなるにつれ増加し、80歳代が70.0%でもっとも高いという結果になった。また、根面う蝕有病部位の約90%に歯周病、もしくは歯周病既往歴が確認されたことから、歯周病により歯肉退縮が起こり、根面う蝕になるリスクは高いと考えられるという。
その一方で、根面う蝕と歯周病の重症度については、50歳代以外では相関が見られなかったという。これらのことから、根面う蝕や歯周病が発症する前に、根面う蝕予防と歯周病予防を併せて実施することが最も需要であると結論付けている。

「大人むし歯」セルフチェック(サンスター)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
- 2025年02月10日
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 2025年01月23日
- 高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
- 2025年01月14日
- 特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
- 2025年01月06日
-
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」 - 2024年12月24日
-
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~ - 2024年12月17日
-
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ