ニュース

腕帯の要らない「カフレス」血圧測定を開発 血圧変化を「見える化」

 名古屋大学は、腕帯(カフ)を必要としない新しい血圧測定の技術を開発したと発表した。
腕帯を巻く必要のある測定には限界が
 血圧変化は脳心血管病発症の大きな原因となることが知られており、とくに家庭での自己測定血圧は重要視されている。

 およそ120年前に血圧という概念が発見されて以来、血圧測定は診察室で行われている聴診法や、現在の家庭血圧計に応用されているオシロメトリック法により行われてきた。

 従来の方法は、腕に帯状のカフを巻くことが血圧の測定の必要条件となるため、たとえば入浴や運動などの生活シーンでの測定が難しく、カフ締め付けによる睡眠中の不快感や測定誤差の発生などの限界がある。

 カフのない方法での血圧測定が可能になれば、今まで測定困難であった測定条件下で、血圧変化の「見える化」が可能となると期待されている。
患者の負担がなく簡易に血圧を計測できる仕組みを確立
 今回の研究では、脈波から血圧を測定する技術である「カフレス血圧測定技術」が、実際に臨床応用可能な精度を有するかを検証した。

 開発したのは、カフで上腕を締め付けることなく、心電図波形のR波(上向きの幅の狭い波)と、掌や指先で計測した脈波を使って血圧を連続的に推定する方法だ。

 LEDの光を皮膚の表面にある毛細血管に当て、脈波(心拍動に伴う末梢血管系内の血圧・容積変化)をセンサーで感知する。

 開発した血圧測定法であれば、患者への負担が少なく、睡眠時の測定や連続計測などもでき、慢性腎臓病(CKD)での血圧の日内変動の計測も可能になると期待されている。
入眠時のカフによる不快感を有意に軽減
 研究チームは、健常者ならびに循環器内科へ通院中、あるいは入院中の患者を対象に、従来のカフ式ならびにカフレス式により血圧を同時測定する実証実験を行った。

 データ収集を行い、カフレス血圧値が血圧測定の世界標準規格であるIEEE標準規格(IEEE1708-2014)の要求する「安静試験」「血圧変動試験(上昇・低下)」「長期再現性試験」で精度を満たすかどうかを評価した。

 この試験条件の設定方法には先例がないことから、研究ではIEEE1708-2014に準拠する、新たな評価方法を作成。

 検討した結果、カフレス血圧値は要求された全ての試験における精度要求を達成しただけでなく、入眠時のカフによる不快感を有意に軽減することが明らかになった。
血圧のさまざまなシーンでの「見える化」が可能に
 カフレス血圧計の開発は、ウェアラブルデバイスの開発に直結するため、重要な健康指標である血圧のさまざまなシーンでの「見える化」が可能となる。

 開発中の新しい血圧計は、たとえば腕時計のように身に付け、データをスマートフォンに送って、「きょうは血圧が高い」などというときは食事や運動、睡眠に気を付けるなど、患者が自身で健康管理することを促す仕組みも考えられているという。

 現在、日本に2,000万人以上いるという高血圧患者の脳心血管病の予防だけでなく、血圧の自己測定が難しい被介護者の診察室外の血圧測定が可能となり、遠隔医療システムの実現による予防医療への貢献なども期待される。

 研究は、名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学の室原豊明教授、坂東泰子講師、渡邊直樹大学院生による研究チームによるもの。研究成果は「Journal of the American College of Cardiology(JACC): Basic to Translational Science」電子版に発表された。

名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学
Development and validation of a novel cuff-less blood pressure monitoring device(Journal of the American College of Cardiology(JACC):Basic to Translational Science 2017年12月25日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2022年10月25日
【特定健診】健診結果から糖尿病リスクを予測するAIを開発 スマホアプリに搭載し生活改善を促す 大阪大学
2022年10月24日
「フレイル」をわずか5つの質問で簡便に判定 フレイル予備群も分かる 保健指導でも活用
2022年10月11日
高齢者の半数以上は「フレイルが心配」 フレイル健診を受診したのは23%と少数 データを活用した「対策モデル事業」も
2022年10月03日
【がん検診】胃カメラ検査は本当に効果がある? 胃内視鏡検査はX線検査よりも効果が高いことを確認
2022年09月27日
有害業務に伴う歯科健康診断の報告
―10月1日から規模にかかわらず、すべての事業場に義務化
2022年09月21日
がん検診受診率の目標を60%へ
職域のがん検診受診「個人単位」での把握検討を―「がん検診のあり方検討会」より
2022年07月26日
2021年度版「健診・検診/保健指導実施機関」状況報告 10年間の推移についてまとめ
2022年07月11日
動脈硬化学会が「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」を発表 特定健診・保健指導にも影響
2022年06月10日
【レポート】日本保健師活動研究会「20周年記念シンポジウム」
保健師の実践活動から、強みと意義を考える
2022年05月23日
【新型コロナ】保健師がコロナ禍の拡大を食い止めている 保健師の活動が活発な地域では罹患率は減少
DASHプログラム

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶