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脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 脂肪肝が筋肉のインスリン抵抗性を引き起こす ウォーキングなど運動が必要
2019年06月18日
日本人では、内臓脂肪がそれほど多くなくとも、脂肪肝があると、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が起こりやすいことが、順天堂大学の研究で明らかになった。
肥満でなくとも、内臓脂肪や肝脂肪の蓄積があると、2型糖尿病などの代謝異常になりやすい。内臓脂肪だけでなく脂肪肝を改善する取り組みが必要であることが示された。
肥満でなくとも、内臓脂肪や肝脂肪の蓄積があると、2型糖尿病などの代謝異常になりやすい。内臓脂肪だけでなく脂肪肝を改善する取り組みが必要であることが示された。
日本人はBMI25未満でも代謝異常が起こりやすい
内臓脂肪が蓄積しておらず肥満でなくとも、脂肪肝があると筋肉のインスリン抵抗性が起こり、2型糖尿病などの代謝異常になりやすいことが、順天堂大学大学の研究で明らかになった。脂肪肝がある人には筋肉のインスリン抵抗性を改善するウォーキングなどの運動が勧められるという。
研究は、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史准教授、河盛隆造特任教授、綿田裕孝教授らの研究グループによるもの。研究成果は米国内分泌学会雑誌「Journal of the Endocrine Society」のオンライン版で公開された。
肥満の人は2型糖尿病やメタボリックシンドロームといった生活習慣病(代謝異常)になりやすいが、日本人を含むアジア人では、体格指数(BMI)が25未満で肥満ではない人でも代謝異常が起こりやすいことが知られている。
その理由として、アジア人では欧米人に比べ、皮下脂肪に脂肪を十分に貯蔵できず、そのため「脂肪細胞」が容易に容量オーバーとなり遊離脂肪酸として溢れだすこと(リピッドスピルオーバー)が考えられる。
関連情報
脂肪肝や脂肪筋がインスリン抵抗性を引き起こす
脂肪は主に中性脂肪として皮下脂肪や内臓脂肪といった脂肪組織に蓄えられるが、主に空腹時などでは脂肪をエネルギーとして利用するために、脂肪組織に蓄えられた中性脂肪が分解され、遊離脂肪酸となって放出される。この放出や貯蔵をコントロールしているホルモンがインスリンだ。
脂肪の多くは皮下脂肪や内臓脂肪といった脂肪組織に蓄えられるが、それ以外の肝臓や骨格筋などの別の場所(異所)にも蓄積される。そうした脂肪を「異所性脂肪」と呼ぶ。脂肪肝や脂肪筋は臓器に異所性脂肪が蓄積した状態で、これがあると溜まった脂肪が毒性を発揮して、血糖値を低下させるインスリンが効きにくくなる。つまり、インスリン抵抗性が生じやすくなる。
このようなメカニズムを背景に、内臓脂肪の蓄積や脂肪肝がインスリン抵抗性の指標となることがこれまで報告されている。しかし、内臓脂肪が溜まっている人では脂肪肝になっていることが多いため、内臓脂肪の蓄積と肝脂肪の蓄積のどちらがより有用なインスリン抵抗性の指標となるかは分かっていなかった。
日本人の内臓脂肪と肝脂肪の蓄積にはさまざまなパターンが
内臓脂肪がなくても脂肪肝があるとインスリン抵抗性が
脂肪肝を改善するために運動と食事が必要
日本では特定健診(メタボ健診)などで内臓脂肪蓄積に着目した介入が進められているが、今回の研究では、脂肪肝がある人は骨格筋や脂肪組織のインスリン抵抗性をもっている可能性が高いことが示された。
脂肪肝を改善するためには、ふだん歩く量(生活活動量)を増やしたり、体力が向上するような活動(ジョギングなど)にも取り組むことが有用と考えられる。同時に、脂肪肝がある人はすでにリピッドスピルオーバーを起こしている可能性が高いので、減量して体脂肪を減らすことも効果的だという。
さらに、最近の研究では、骨格筋に生じたインスリン抵抗性により骨格筋に取り込めなかった糖が肝臓に運ばれ、中性脂肪合成が進んで脂肪肝を形成することが明らかになっている。糖質摂取量を意識したバランスの良い食事を心がけることも必要だという。
順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンター
Fatty liver has stronger association with insulin resistance than visceral fat accumulation in non-obese Japanese men(Journal of the Endocrine Society 2019年5月20日)
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