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「粗食が大切」は寿命の短縮をまねく 高齢者の2人に1人が「フレイル」の疑いあり

 後期高齢者で「フレイル」が増えている一因は、「粗食が大切」という認識が浸透していることかもしれない。専門家は「高齢者にはとくにタンパク質とエネルギーを十分に摂取してほしい」と強調している。
「粗食が大切」と考えている高齢者は76%
 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニーは、「後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査」を実施した。75歳以上の男女(500人)、75歳以上の同居家族を介護・支援する男女(500人)、管理栄養士(200人)が回答した。

 その結果、高齢者の2人に1人が「フレイル(加齢による心身の衰弱)」の疑いありと判定され、うち7割が食事量を減らしていていて、8割が「粗食が大切」と考えていることが分かった。

 さらに多くの高齢者が、必要な食事量が摂れていない現状が示された。「健康のために粗食が大切」と考えている高齢者は76%に上り、多くが自ら健康のために食事量を減らしている現状が示された。

 一方、「粗食が大切だと思う」との回答は、介護・支援者では51%、管理栄養士では20%にとどまった。

関連情報
管理栄養士は高齢者の栄養は足りていないと実感
 現在の食事量・内容で必要な栄養素が摂れていると思うかを尋ねた質問では、足りていると「思う」「まあまあ思う」との回答が計90%に達しており、高齢者の多くが今の食事量で十分と考えていている。

 一方で、管理栄養士で「足りてている」と考える割合は29%にとどまり、栄養のプロからみると高齢者の栄養は足りていない実態が浮き彫りになった。

 フレイルの疑いがあるかどうかを確認するため、生活や健康状態をチェックする「基本チェックリスト(厚生労働省作成)」に回答してもらったところ、フレイルが疑われる人が59%、非フレイル(フレイルの疑いがない人)が41%という結果になり、75歳以上の約2人に1人がフレイルの疑いがあることが示された。

 フレイルいがある高齢者は疑いのない高齢者に比べ、食事についての悩みをもっている割合が1.5倍に上った。

 具体的な悩みとしては、「メニューを考えるのが面倒」、「特定の食材ばかりを食べてしまう」といった食事の準備が億劫になる傾向があるほか、「食事をするときにむせることがある」「食事量が減って空腹を感じにくくなった」などが挙げられた。
高齢者の低栄養はホットな話題
 「現在、世界で最もホットな話題のひとつは、"高齢者の低栄養"です。高齢者の低栄養は、全身が衰弱して生活力が損なわれるフレイルの大きな原因といわれています。また、生活の質が低下し、要介護度が増し、疾病からの回復が遅延することによって、寿命の短縮をまねいてしまいます」と、一般社団法人「WAVES Japan」の理事長を務める東口髙志氏(藤田医科大学医学部外科・緩和医療学講座主任教授)は警鐘を鳴らしている。

 「高齢者には、とくにタンパク質とエネルギーを十分に摂取して楽しい老後をお過ごしいただきたいです」。

 「過度の痩せや高齢者の低栄養は、逆に生活の質を低下させ、要介護度を増し、疾病からの回復遅延さらには寿命の短縮につながってしまいます」と、東口氏は指摘している。

 「WAVES Japan」は、栄養を専門にする医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、歯科衛生士、介護・福祉職などが集まり、低栄養のリスクとその回避方法を各地で啓蒙し、"元気に食べてますか?運動"を実施している。

ネスレ ヘルスサイエンス

一般社団法人WAVES Japan
[Terahata]
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