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日本高血圧学会が「台風19号により被害を受けられた皆さまへ」を公表 災害時の血圧コントロールで注意すること

 日本高血圧学会は、10月に東京で開催された第42回日本高血圧学会総会に先立ち、プレスセミナーを開催した。同学会の理事長の伊藤裕氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授)は、台風19号による甚大な被害をふまえ、学会としての対応を発表した。
日本高血圧学会、被災者向けのQ&Aを発表
 「被災によるストレスや、血圧の管理が不十分になることで、いわゆる"災害高血圧"が生じやすくなります。適切な血圧管理を行わないと、脳卒中や心臓血管症の引き起こす原因になります」と、同学会では述べている。

 甚大な被害が広範囲に広がり、避難生活が長引く被災者も多くなると考えられる。「被災地での高血圧診療を含めた脳卒中・心臓血管病の医療が円滑に行われるよう、現地の医療機関や関連する施設と協力して支援を行ってまいります」と、同学会は協調。

 最初の対応として、被災地の高血圧患者から多く寄せられる質問と回答をまとめ「台風19号により被害を受けられた皆さまへ」と題して学会サイトで発表した。

 同学会は「被災後もできるだけ適切な血圧管理をしてほしい。避難所に送られる支援物資は調理の簡単なカップラーメンやパンが多い。塩分が多い食事になり、血圧が上がる人もいる。送る方は減塩食品を選ぶなどの配慮をして欲しい」と話している。

関連情報
被災して薬がない場合には?
 Q&A形式でまとめられた文書では、災害時の血圧管理で注意すべき点がまとめられている。

 被災して薬がない場合は、血圧を上げる食塩の摂取量を減らすようにすることがもっとも重要だ。適度に全身運動をすることを心がける必要もある。寒さや睡眠不足でも血圧は上がるため、できるだけ体を温めて睡眠確保を心がける。

 薬があっても、飲む時間が不規則になり、頭痛になる人もいる。高血圧だけでなくストレスでも頭痛は起こる。もし収縮期血圧が150mmHgを超えたときには、医療関係者に相談する。頭痛には危険なものとそうでないものがあるので注意する。

 薬を飲んでも血圧が下がらないケースもある。睡眠不足や不安感など、精神状態や環境の変化で血圧は上がることがある。一次的な上昇なら心配はないが、寒さで血圧が上がる場合は、下半身を中心に体を温める。

 収縮期血圧が120mmHgを下回ったり、いつもより血圧が低い気がする場合は、十分な食事がとれていなかったり、熱の後の脱水が関係している場合がある。薬の中断や、脱水の治療が必要な場合があるので医療機関に相談する。

 薬が足りなくなり、ふだんと違う種類の血圧降下薬を飲むように医師にいわれた場合は、指示通りにに飲む。頭痛、ふらつき、むくみなどが出てくるようなら医師などに相談する。
被災した家屋から薬が出てきた場合
 血圧降下薬は必ずしも食後服用でなくても良いお薬がほとんどだ。1日1回の内服薬であれば、食後に限らずどの時間でも飲んでよい。飲み忘れた時に、別の時間帯に飲むのもよい。1日2回に分かれている薬は、8時間以上間隔をあけて飲む。

 被災した家屋から薬が出てきた場合には、浸水していなく、シートに破損がない場合には飲んでも大丈夫だ。しかしシートが浸水している場合やシートに破損がある場合には、水分その他の物質により薬の成分が変わっている可能性もあので、飲まない方が無難だ。

 夫婦など高血圧で治療中の他の方から薬をもらう場合は、同じ名前の薬であれば飲んでも大丈夫。ただし、1錠の用量が違うことがあるので、用量(mg)を確認する。

 夫婦など2人のうちどちらか一方に大きな合併症(腎臓病・心臓病・脳卒中・喘息など)がある場合には、互いの薬を飲まない方が安全だ。

特定非営利活動法人 日本高血圧学会
被災された皆様へ:災害時の血圧管理で注意すべき点をまとめました(日本高血圧学会)
大地震をはじめとする自然災害で被災された皆様へ 各種関連ガイドライン(日本高血圧学会)
[Terahata]
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