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なぜ漢方便秘薬は効くのか 腸の水分分泌メカニズムを解明 便秘以外にも応用
2019年11月20日

京都府立医科大学は、漢方便秘薬に含まれる主要な生薬が、腸の水分分泌を増やすメカニズムを発見したと発表した。これまで漢方便秘薬の作用は経験的に知られていたが、科学的な機序はよく分かっていなかった。
漢方便秘薬の生薬成分を評価
慢性的な便秘は一般的な胃腸障がいであり、日々の生活に深刻なストレスをもらたす。高齢者の10%が便秘と感じているとされ、超高齢社会を迎えた日本で、慢性便秘症患者の増加が予想されている。そのため、便秘を解消する便通改善成分をもつ薬の開発が望まれている。
日本で広く用いられている漢方便秘薬は、便通効果があり、副作用も少ないことが経験的に知られている。しかし、腸の細胞での水分分泌調節のメカニズムは詳しくは分かっていなかった。
そこで研究グループは、漢方便秘薬に含まれる主要な生薬成分の水分分泌能の機能を評価し、新たなイオン流出路を発見した。また、漢方便秘薬の潤腸湯や麻子仁丸に含まれるマシニン、キョウニン、トウニン、ダイオウといった生薬成分が、単独でも大腸上皮で水分分泌を引き起こすことも確認した。
漢方便秘薬の水分分泌作用を科学的に実証

便秘以外の疾患にも応用できる
漢方便秘薬の作用を科学的で客観的に解明することは、便秘以外にも多くの疾患の治療・予防に応用できると考えられる。カリウムイオンチャネル活性化を促す生薬は、高血圧症、気道過敏症、勃起不全、てんかんの治療薬として、クロライドイオンチャネル活性化を促す生薬は、心筋梗塞、気管支炎、肺炎の治療薬としても期待できる。
「新たな生薬の組み合わせによるより新しい効果的な漢方薬の開発や、生薬成分の分析結果をもととした創薬の開発が期待される」と、研究グループは述べている。
研究は、福岡大学医学部の沼田朋大講師、京都府立医科大学の岡田泰伸特任教授らの研究グループによるもので、研究成果は英科学雑誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
福岡大学医学部生理学Herbal components of Japanese Kampo medicines exert laxative actions in colonic epithelium cells via activation of BK and CFTR channels(Scientific Reports 2019年10月29日)
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