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味噌汁や納豆など発酵食品を食べていた女性は早産リスクが3~4割低下 約8万人の女性を調査「エコチル調査」
2019年12月17日
妊娠前に、味噌汁、ヨーグルト、納豆といった発酵食品をよく食べていた女性は、妊娠34週までに生まれてしまう「早期早産」の発生が3~4割少なくなるという研究結果を、富山大学が発表した。子供の健康と成長を主に環境面から明らかにすることを目的に実施されている「エコチル調査」の成果。
味噌汁・納豆などの発酵食品が早産リスクを減らす
妊娠37週未満の出産は「早産」と呼ばれており、日本の早産率は約5%とみられている。中でも、34週未満の出産を「早期早産」と呼び、生まれた赤ちゃんが小さいと後遺症が残る可能性もある。
早期早産の主要な原因のひとつとされているのが細菌感染だ。早期早産となった赤ちゃんの卵膜や胎盤には感染の影響がみられることが多く、細菌性腟炎がある女性は早産のリスクが高いことが分かっている。また、糖尿病の女性や、免疫抑制の治療を受けている女性は感染が起こりやすいため、早産のリスクが高いとされている。
このように、早産には感染とそれに対する免疫が関係している。一方、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は「プロバイオティクス」とも呼ばれ、乳酸菌や納豆菌が腸内細菌を変化させ健康増進にプラスに働くことが報告されている。多数の商品が特定保健用食品の表示を認可されていて、中には免疫力を高め、細菌やウイルスに対する予防効果を示しているものもある。
これまで、欧米の研究ではヨーグルトなどの摂取が早産のリスクを減らす可能性が示されてきたが、味噌汁・納豆といった日本食特有の発酵食品については不明だった。
味噌汁を週1~2日食べる人では早産リスクが4割低下
乳酸菌や納豆菌などが免疫力を高めている可能性
研究チームはこれまでに、早産された女性とされなかった女性で、腸内細菌叢が異なることを報告している。細菌性膣炎のある女性や、早産の経験がある女性で、プロバイオティクスを調べる研究は世界中でいくつか行われているが、いずれも早産率を下げる効果はみられていない。
エコチル調査と同じ観察型の研究では、ノルウェーの国民調査から、「妊娠初期」に発酵乳飲料をたくさん摂取した女性が、後期早産が少なかったとの報告がある。しかし、今回の調査と摂取時期に関する尋ね方が、「妊娠前」や「妊娠後」ではなく、「妊娠初期」だったことや、検討した発酵食品が異なることから、今回の研究とは異なる結果になっている。
今回の研究で分かったことは、妊娠前に味噌汁、ヨーグルト、納豆を食べるように心がけている女性は早期早産のリスクが低いということだ。とくに味噌汁については、週に1日以上のペースで食べる方でリスクが低くなる傾向がみられた。
なお、「味噌汁をたくさん食べるほど効果が上がるわけではなく、食べる頻度が影響しています。妊娠後については、たくさん食べても効果はなく、切迫早産の治療にはならないので注意が必要です。妊娠と出産については医師に相談してほしい」と、研究チームは話している。
富山大学医学部公衆衛生学講座エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査) 富山ユニットセンター
Fermented foods and preterm birth risk from a prospective large cohort study: the Japan Environment and Children's study(Environmental Health and Preventive Medicine 2019年5月1日)
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