ニュース
野菜3皿、果物2皿を毎日食べるともっとも健康的 食べ過ぎに注意が必要な野菜も判明 10万人を調査
2021年03月09日

野菜3皿、果物2皿を毎日食べると、健康に長生きできることが、米ハーバード大学などによる10万人の米国の成人を最大30年間追跡した大規模調査と、190万人を対象としたメタ分析研究で明らかになった。
ただし、野菜や果物はなにを食べても健康上のメリットを得られるわけではなく、ジャガイモなどのデンプン質を多く含む野菜、フルーツジュースなどは効果を期待できないという。
勧められるのは、ホウレン草、レタス、ケールなどの緑色の葉物野菜や、ベリー、ニンジンなど、ベータカロチンやビタミンCを多く含む野菜だ。
ただし、野菜や果物はなにを食べても健康上のメリットを得られるわけではなく、ジャガイモなどのデンプン質を多く含む野菜、フルーツジュースなどは効果を期待できないという。
勧められるのは、ホウレン草、レタス、ケールなどの緑色の葉物野菜や、ベリー、ニンジンなど、ベータカロチンやビタミンCを多く含む野菜だ。
野菜3皿、果物2皿を毎日食べると健康長寿に
野菜を3サービング、果物を2サービング、毎日食べることが、健康に長生きするために最適であることが、米ハーバード大学などによる大規模疫学研究で明らかになった。
サービングは、食事の提供量の単位を示している。食事で皿などに盛られた1回の食べる量が1サービングとなる。
米国では、不足しがちな野菜を積極的に摂ることを啓発する活動として、「1日に5サービングの野菜を食べよう=5 A DAY(ファイブ ア デイ)」というキャンペーンが1990年代に開始された。
米国心臓協会(AHA)によると、野菜の1サービングの量は、レタスは1カップ、ブロッコリーは小粒が5~8個、ピーマンは大きめが1/2個、人参は中サイズが1本、ジャガイモは中サイズが1/2個、カボチャは小さめが1/2個、ズッキーニは大きめが1/2本がそれぞれ目安になるという。
FIVE A DAY - Kind of day
英国の国民保健サービス(NHS)が公開しているビデオ
英国の国民保健サービス(NHS)が公開しているビデオ
過去最大規模の調査を実施
今回の研究は、米国立衛生研究所(NIH)、米国心臓協会(AHA)、国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)による資金提供を受けて行われた。
研究グループは、米国で実施されている大規模研究である「看護師健康調査」(Nurses' Health Study)と「医療従事者フォローアップ調査」(Health Professionals Follow-Up Study)のデータを解析。
10万人の成人を最大30年間追跡して調査しており、どちらの調査も2~4年ごとに繰り返し調査され、詳細な食事アンケートのデータが含まれていた。
研究グループはさらに、南北アメリカ、欧州、アジア、アフリカ、豪州の29の国と地域で実施された26件の研究から、約190万人を対象に、野菜と果物の摂取についてのメタ分析した。
関連情報
勧められる野菜とそうでない野菜がある フルーツジュースやジャガイモはNG
研究では、野菜と果物の摂取と健康との関連について、以下のことが明らかになった――。
- 毎日約5サービングの野菜と果物を摂取すると、死亡リスクがもっとも低くなった。5サービング以上食べても、効果はそれほど上がらなかった。
- 野菜を1日に3サービング、果物を1日に2サービング食べると、寿命はもっとも長くなった。
- 野菜と果物を毎日5サービング食べていた人は、2サービングしか食べなかった人に比べ、全死因による死亡リスクが13%低く、心臓病や脳卒中などの心血管系疾患による死亡リスクは12%低かった。さらに、がんによる死亡リスクは10%、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患による死亡リスクは35%、それぞれ低かった。
- 野菜や果物はなにを食べても健康上のメリットを得られるわけではなく、たとえばトウモロコシなどの高デンプン質の野菜、ジャガイモ、フルーツジュースなどは、死亡リスクの低下と関連していなかった。
- 一方で、ホウレン草、レタス、ケールなどの緑色の葉物野菜や、柑橘系の果物、ベリー、ニンジンなど、ベータカロチンやビタミンCが豊富に含まれる野菜や果物は効果が高かった。ベータカロチンやビタミンCには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化を抑制する効果を期待できる。
野菜や果物を十分に食べているのは10人に1人

野菜や果物は必要な栄養素が自然にパッケージされている
ワン氏は、食べる量を増やした方が良い食品、減らした方が良い食品について、消費者が一貫性のあるメッセージを受け取れるようにした方が良いことも指摘している。
「すべての野菜と果物が同じくらいの利益をもたらすわけではないことも示されました。高デンプン質の野菜、ジャガイモ、フルーツジュースなどは、期待している健康効果をもたらさない可能性があります」。
「野菜や果物を毎日食べることは、生涯にわたり多くのベネフィットをもたらします。野菜や果物は、体にとって必要な栄養素が自然にパッケージされた供給源であり、私たちの心と体を健康に保つために不可欠です」と、米国心臓協会の栄養委員会委員長であり、ハーバード大学医学部の准教授であるアン ソーンダイク氏は強調している。
なお研究グループ、今回の研究にも限界があり、基本的に観察研究であり、野菜と果物の摂取と死亡リスクの直接的な因果関係を示したものではないことも付け加えている。野菜や果物に含まれる個々の栄養については、より詳細な研究が必要だという。
The right "5-a-day" mix is 2 fruit and 3 vegetable servings for longer life(米国心臓協会 2021年3月1日)Fruit and Vegetable Intake and Mortality: Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies(Circulation 2021年3月1日)
Why 5 A Day?(米国立衛生研究所(NIH) 2018年10月8日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2023年08月09日
-
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より - 2023年08月08日
- 若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
- 2023年07月28日
- 2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
- 2023年07月24日
- 標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
- 2023年07月11日
- 自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
- 2023年06月20日
- 肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
- 2023年06月12日
- 自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
- 2023年06月05日
- 要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
- 2023年05月19日
- 令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
- 2023年05月18日
-
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-