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朝食は「1日でもっとも重要な食事」 朝8時30分までに食べると糖尿病リスクは低下 朝食を改善する4つの方法
2021年04月05日

忙しい毎日を過ごしている現代人のなかには、朝食を食べずに済ませたり、遅い時間に食べるという人が少なくない。
しかしこれは、「1日でもっとも重要な食事」をないがしろにすることになり、肥満や2型糖尿病、心臓病の発症リスクの増加につながる。
「朝食は1日の中でとくに大切な食事です。朝食をしっかり食べましょう」と、専門家はアドバイスしている。
しかしこれは、「1日でもっとも重要な食事」をないがしろにすることになり、肥満や2型糖尿病、心臓病の発症リスクの増加につながる。
「朝食は1日の中でとくに大切な食事です。朝食をしっかり食べましょう」と、専門家はアドバイスしている。
朝食には1日のはじまりを知らせる目覚まし時計のような役割が
誰もが忙しい朝の時間。朝食を簡単に済ませている人が多いが、実は朝食にはとても大切な意味がある。朝食には、体にとって1日のはじまりを知らせる目覚まし時計のような役割がある。
朝・昼・夕の3食を食べることに気を付けているという人が多いが、朝の出勤前に時間を十分にとれないことが多く、朝食を簡単に済ませたり、スキップしてしまう人が多い。
実際に日本でも、朝食を欠食する人は男性の14.3%、女性の10.2%に上るという調査結果がある。とくに、男性の40代が28.5%、女性の30代が22.4%、それぞれ朝食を欠食している(2019年国民健康・栄養調査)。
「1日3食をしっかりとり、それぞれがバランスの良い食事」というのが理想的だが、続けていくのはなかなか難しい。できることからはじめていくことが重要だ。
朝食を抜くと健康を損ないやすい
「朝食は、その日の最初の食事であるというだけでなく、とくに重要な食事とみるべきです。朝食を抜くことの多い人は、全般に生活スタイルが不健康であることも多いのです」と、米国のマウントサイナイ医科大学心臓血管研究所のバレンティン フステル氏は言う。
朝食を抜くことで健康を損ないやすいことが、成人を対象とした調査で確かめられている。米国心臓病学会(ACC)の発表によると、朝食をスキップすると心臓病による死亡リスクが上昇する。ACCは「朝食を毎日食べることが重要です」と提言している。
研究チームは、1988~1994年の米国民健康・栄養調査の平均18年間の追跡調査で得られたデータから、40~75歳の6,550人の男女の食事摂取状況を解析した。朝食を「まったく食べない」人が5.1%、「ほとんど食べない」人が10.9%、「毎日食べている」人が59%だった。
その結果、心血管疾患による死亡リスクは、朝食を食べない人では毎日食べている人に比べ87%上昇した。朝食をスキップすることは、食欲の不安定化、満腹感の低下、血圧の上昇、および脂質値の上昇などと関連していた。
関連情報
朝食をしっかり食べると糖尿病や脂質異常症のリスクが低下
朝食をしっかり食べると、体重コントロールに有利なだけでなく、2型糖尿病や脂質異常症の発症リスクも低くなることが、別の研究で明らかになっている。
朝食を抜き、その日の最初の食事が昼食で、夕食を食べる時刻も遅い――こうした生活スタイルは、覚醒と睡眠のサイクルを狂わせるおそれがあるという。
「食事スタイルが夜型になるのは、考えられている以上に危険なことです。朝食を抜くことは、睡眠・起床・食事という体の24時間周期の自然なリズムを乱し、体重増加をまねき、脂質の代謝にも悪影響を及ぼします」と、ペンシルベニア大学体重・摂食障害センターのケリー アリソン氏は言う。
研究には9人の健康な成人が参加し、クロスオーバー試験として実施された。(1)食事時間が早め(午前8時から午後7時までに3回の食事と2回の軽食をとる)と、(2)食事時間が遅め(昼の12時から午後11時までに3回の食事と2回の軽食をとる)の2つの条件を設け、参加者に(1)か(2)のどちらかの食事法を8週間続けてもらい、2週間のウォッシュアウト期間を挟んで、食事法を交換してまた8週間続けてもらった。
その結果、食事の時間が遅いと体重が増加しやすく、インスリン、空腹時血糖、コレステロール、中性脂肪などの値が上昇することが分かった。とくに夜遅くに食事をすると食欲が亢進しやすく、睡眠時間が短くなりやすいことが明らかになった。
朝食を早い時間に食べると糖尿病リスクが低下

朝食を食べるメリットはたくさんある
米国の「栄養と食事のアカデミー」(Academy of Nutrition and Dietetics)は、朝食を食べるメリットとして、次のことをアドバイスしている。
朝食には1日をスタートさせる目覚まし時計のような役割が
成人の平均睡眠時間は約6~7時間程度。朝起きたときには7~8時間は食事をしていないことになる、夕食を夕方に食べた場合は、食べていない時間は半日近くになる。
睡眠中にも体はエネルギーを使っている。朝起きたときには必要な栄養素が少なくなり、体は飢餓状態になっている。朝食をとらなかった場合は、昼食まで飢餓状態がさらに5時間程度続くことになる。
朝食により、就寝中に使われたエネルギーや栄養素と、午前中に使うためのエネルギーや栄養素を補充することができる。
朝食を食べることで食べ過ぎを防げ、肥満を予防できる
朝食を食べずに空腹の状態で昼食を食べると、空腹感が強まり「ドカ食い」をしがちになったり、3食以外の「間食」が増える原因になる。
これまでの研究で、1日に食べる量が同じ場合でも、朝食抜きの2食よりも、朝食を含めて3食の方が肥満になりにくいことが明らかになっている。
朝食をとらないと、高血圧や糖尿病、高コレステロールのリスクが高まることも指摘されている。ダイエット目的で朝食をとらない人もいるが、これはむしろ逆効果だ。
朝食をとるとエネルギーを消費しやすい体になる
食事をとると体内に吸収された栄養素の一部が体熱となって消費される。このため、食事をした後は安静にしていても代謝量が増える。この代謝の増加を「食事誘発性熱産生」という。朝食をとる人では食事誘発性熱産生が向上しており、肥満になりにくい傾向があるという研究が発表されている。
身体のリズムを崩さないことに加えて、エネルギーを消費しやすい体をつくるためにも、朝食を食べることが重要だ。
朝食に良いのは「腹持ち」の良い食品
朝食はエネルギーと、タンパク質、炭水化物、ビタミンとミネラルなどの栄養素を補充する効果的な方法となる。朝食で野菜、果物、全粒粉、低脂肪の乳製品、卵などのさまざまな食物をとることが勧められる。
全粒粉や、ヨーグルトなどの乳製品、卵などの質の良いタンパク質を含む食品は、時間をかけてゆっくりと消化・吸収され、「腹持ち」が良くなる。腹持ちが良ければ、余計な間食をすることも少なくなり、ダイエットにも効果的だ。
「野菜スープなど温かい汁物を組み合わせる」「全粒粉のシリアルやオーツミールを中心にする」「牛乳やヨーグルトなどの乳製品をストックしておく」「糖質の多いバナナや果物を添える」といった工夫が役立つ。
Skipping breakfast associated with increased risk of cardiovascular death(米国心臓病学会 2019年4月22日)Skipping Breakfast Associated with Hardening of the Arteries(米国心臓病学会 2017年10月2日)
Association of Skipping Breakfast With Cardiovascular and All-Cause Mortality(Journal of the American College of Cardiology 2019年4月30日)
Timing Meals Later at Night Can Cause Weight Gain and Impair Fat Metabolism(ペンシルベニア大学 2017年6月2日)
Penn Researchers Awarded $3.75 Million to Study How Mealtimes Influence Human Health(ペンシルベニア大学 2017年10月26日)
Eating before 8:30 a.m. could reduce risk factors for type 2 diabetes(米国内分泌学会 2021年3月17日)
6 Tips for Better Breakfasts(栄養と食事のアカデミー 2020年9月2日)
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