No.3 治療中の人に行ってほしい口腔ケア
今の自分にできるケアを行っていきましょう
がん治療には、手術、抗がん剤、放射線など、さまざまな治療がありますが、すべて口の中の環境に悪影響を与えます。治療の内容によって、口に現れる副作用の症状や度合いも変わってきます。
口の痛みや炎症が起こり、歯みがきが難しいときもがありますが、状態に合わせて、できることを行っていきましょう。
・可能な限り歯みがきを続ける ・歯みがきができないときはうがいだけでもOK ・痛みがあるときには頑張らずに、できる範囲のケアにとどめる ・口の中がしみるときには、低刺激のケアグッズなどを活用する
口の中の清潔とうるおいを保ちましょう
いますぐできる6つのセルフケアをまとめました。がん治療中の口腔ケアは、「感染を予防する」「痛みを軽くする」ために行います。痛みを我慢しないことも大切です。
1. 歯みがき(口の中を清潔に保つ)
治療中は、口の中は汚れやすく、刺激に弱くなってしまいます。治療によっては、飲食ができなくなることもありますが、絶食中でも口の中は汚れます。可能な限り歯みがきを続けましょう(できないときは、うがいで対処)。毎食後、歯を磨くのが基本ですが、体調によっては1回でも構わないそうです。
・歯ブラシは、ヘッドが小さいもの、平らにカットされたものを選ぶ ・口内炎や痛いがあるときには、刺激が少ない歯みがき剤を選ぶ、または水だけでみがく ・洗口液はノンアルコール・低刺激の物を選ぶ ・炎症部分を避けてみがく
歯をきれいにするために役立つアイテムと選び方
参考資料: 「口腔ケアでがん治療はグッと楽になる (健康ライブラリー)」 (百合草健圭志著/講談社)
2. うがい(汚れを洗い流す・潤す)
抗がん剤の治療中は、唾液が出にくくなり、口の中が乾燥しやすくなります。口の中が乾燥すると、雑菌が繁殖しやすくなり、口の中が汚れます。また、吐き気や倦怠感で歯みがきが難しいときもあります。
積極的にうがいを行いましょう。
場合によっては、起床時、食後、就寝前と、日中は2時間おきぐらいにうがいをして、口の中を洗い流しておきましょう。
・口の各所にまんべんなくいきわたるように、ブクブクうがいをする ・通常は水道水で充分。しみるときは生理食塩水(水500mlに食塩4.5g)や医師の処方したうがい薬、市販の保湿剤(スプレー式・ジェルタイプ・洗口液)を使う
3. 唇のケア(保湿)
口が渇き気味になったら、まず保湿。唇にも、リップクリームや軟膏を塗っておくと、口の乾燥を和らげることができます。
4. 義歯の清掃(口の中を清潔に保つ) ※義歯の方のみ
歯だけでなく、義歯にも汚れがつきやすいため、しっかり管理しましょう。義歯洗浄剤を使う前に、ブラシ(義歯専用あり)で表面の汚れを落としましょう。その後、義歯洗浄剤に浸けることで、義歯の奥の汚れや細菌・カビまでしっかりと薬品の効果が届きます。
・義歯は割れやすいので、お手入れをするときは水を張った洗面器の上などで行いましょう。 ・必ず義歯専用のケアグッズを使ってお手入れをしましょう。
5. 粘膜の清掃(口の中を清潔に保つ、唾液を出しやすくする)
がん治療中は、口の中が乾燥しやすいため、歯だけでなく舌や上あごなどの粘膜の清掃も必須です。ガーゼや市販のスポンジブラシに水や保湿剤を含ませて、歯や歯肉、舌、ほおの粘膜などを軽く擦って、汚れを拭き取ります。
スポンジブラシは、入れ歯で歯がない方のケアにも使えますし、口の渇きが強い場合には、マッサージ効果で唾液の分泌を促進します。
スポンジブラシ バトラー (サンスター株式会社)
スポンジブラシ ハミングッド(株式会社モルテン)
6. 痛みを我慢しない
「痛みは気力や体力を奪います。特に、口の痛みは食事だけでなく、会話などの周りの人とのコミュニケーションにも影響します。食欲がなくなったり、うつっぽくなったり、不安でさらに痛みを感じやすくなったりと、我慢してもいいことは何もありません。痛みによって、がんの治療が続けられなくなる可能性もあります」(百合草先生)
・医師に相談して、原因を見つけ、痛みを取り除くことを考えましょう ・我慢せずに、痛み止めの薬を処方してもらいましょう ・顎や歯の痛みなどが続く場合、合併症が起きている可能性もあるので、放っておかないこと。主治医やかかりつけの歯科医に相談しましょう ・口腔ケアをこまめに行うことで、痛みがやわらぐこともあります
「がん治療を楽にする口腔ケア」もくじ
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