オピニオン/保健指導あれこれ
がん治療を楽にする口腔ケア
No.2 がん治療開始前に行ってほしい口腔ケア
静岡県立がんセンター 歯科口腔外科部長
2018年03月26日
ケアその① 歯科医院を受診しよう
歯科医院で行うことは?
・歯や歯肉など口の状態をチェックする(スクリーニング) ・歯石の除去(クリーニング) ・虫歯や歯周病はできる範囲で治療する(必要があれば) ・ブラッシング指導を受ける などで、「スクリーニングとクリーニングが、特に重要です」(百合草先生)。
受診するときのポイントは?
歯科医院は、かかりつけ医がベスト。なぜなら、「あなたの口の中のことを一番よく診ているため、小さな変化にも気づくことができるからです」(百合草先生)。 かかりつけがない場合は、がん治療をする病院の歯科口腔外科や、専門の研修を受けたがん連携登録歯科医などに相談するのがベターです。がん連携登録歯科医について、詳しくはこちら を参考にしてください。
歯科医にがんの病名や治療の内容を伝えましょう。
「かかりつけの歯科医院がある方は、がん治療に入ることをあらかじめ歯科医に伝えておくとよいでしょう。がん治療の担当医から診療情報提供書をもらっておけば、必要十分な医療情報が伝わり、より安心安全です。がん治療の内容がわかれば、治療中の口腔トラブルを予想して、抗生物質や痛み止めなどの薬を処方してもらうこともできますし、がん治療中、歯や歯茎が痛くなったときなどにも、体調や病歴などを考慮した上で、治療やアドバイスをしてもらえます」(百合草先生)
歯科医に伝えることリスト
□がん治療を控えている、または治療中であること
□がんの正しい名称と治療の内容(手術か抗がん剤治療か放射線治療か、使う薬、治療スケジュールなど)
□飲んでいる薬や持病(糖尿病など)の有無
□がん治療の担当医から診療情報提供書、最新の血液データを預かり、渡す
ケアその② 歯みがきをきちんと続ける
がん治療中は、口の中の環境は汚れやすく変わっています。さらに抗がん剤治療中には、口内炎などができて十分に歯が磨けないことが出てくるかもしれません。ですから、治療前から、歯みがきやうがいの方法を確認し、普段よりしっかりと継続し、口の中がきれいな状態で治療にのぞむことが大切だそうです。口内炎を起こしやすい抗がん剤があります
乳がんの治療に用いられることがある「エベロリムス(商品名:アフィニトール)」という分子標的薬(抗がん剤)は、自宅で内服できる利点がありますが、口内炎ができやすいという副作用が特徴です。この口内炎は、飲み始めの1ヵ月以内にできやすく、ほとんどがその後は落ち着き、発生は少なくなります。この治療でできた口内炎には、ステロイド軟膏での治療が効果的とされています。口内炎がつらいときには、主治医やかかりつけの歯科医に相談してみましょう。
「がん治療を楽にする口腔ケア」もくじ
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