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くるみで生活習慣病対策 高血圧や糖尿病、脂質異常症を改善
2011年01月12日
くるみは、不飽和脂肪酸が豊富に含む健康的な自然食品。毎日食べると体に良い影響が出てくることが、さまざまな研究で確かめられている。
くるみに多く含まれる脂肪酸は"体内で合成できない必須脂肪酸"
脂質は、体の細胞膜をつくる材料になり、エネルギー源にもなる大切な栄養素。しかし、生活習慣病を予防・改善するために、食事でとる脂肪は量だけでなく質にも注意することが大切だ。
ひとくちに脂肪といっても、「飽和脂肪酸」「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」「コレステロール」などさまざまな種類の脂肪がある。脂肪を構成している要素である脂肪酸は、分子の構造的な違いから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられるが、そのうちくるみなどナッツ類や青魚に多く含まれるものを不飽和脂肪酸という。
不飽和脂肪酸のうち、n-6系とn-3系の脂肪酸は体内で合成できず、不足すると皮膚炎などの不調の原因となる必須脂肪酸なので、食事で十分な量をとりたい。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、増やすべき栄養素として「食物繊維」「n-3系脂肪酸」「カルシウム」「カリウム」、減らすべき栄養素として「コレステロール」、「ナトリウム(食塩)」が挙げられている。

くるみは高血圧、糖尿病、メタボの予防・改善にも有用
米国やカナダの食事摂取基準では、多くの研究結果をもとに、脂質と炭水化物のエネルギー比率、コレステロールや中性脂肪のバランスなどを解析し、食事でとる脂肪のエネルギー比率は20%以上が良いとしている。米メリーランド大学医療センターは、n-3系脂肪酸は特に体にとって必要であると発表している。*1
【 n-3系脂肪酸を十分にとり生活習慣病を予防・改善 】
高血圧
高血圧は脳卒中や心臓病のリスクを高めるが、n-3系脂肪酸をとっていると高血圧を改善できるという研究が報告されている。米メイヨークリニックによると、くるみなどに含まれるオレイン酸やDHAにより、血圧を下げる効果を期待できるという。n-3系脂肪酸には、善玉のHDLコレステロールを下げずに悪玉のLDLコレステロールを減らす働きもがある。*2 糖尿病
糖尿病のある人では、高中性脂肪や低HDLコレステロールなどの脂質異常を伴っていることが多い。しかし、n-3系脂肪酸をよくとっている人では、中性脂肪値が低下し、善玉のHDLコレステロール値は上昇することが多い。n-3系脂肪酸の豊富なくるみは、糖尿病の人にも便益をもたらす可能性がある。 脂質異常を伴う過体重・肥満
肥満と高コレステロールは、いずれも脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患や、メタボリックシンドロームの危険因子となる。これらの要因に糖尿病や高血圧症などの疾病が重なると危険性はより高まる。n-3系脂肪酸が悪玉のコレステロールを低下させるなど有用な働きをすることが、メイヨークリニックの研究でも確かめられている。 (以上、メリーランド大学医療センター、メイヨークリニックが公表している資料より)*1*2
高血圧は脳卒中や心臓病のリスクを高めるが、n-3系脂肪酸をとっていると高血圧を改善できるという研究が報告されている。米メイヨークリニックによると、くるみなどに含まれるオレイン酸やDHAにより、血圧を下げる効果を期待できるという。n-3系脂肪酸には、善玉のHDLコレステロールを下げずに悪玉のLDLコレステロールを減らす働きもがある。*2 糖尿病
糖尿病のある人では、高中性脂肪や低HDLコレステロールなどの脂質異常を伴っていることが多い。しかし、n-3系脂肪酸をよくとっている人では、中性脂肪値が低下し、善玉のHDLコレステロール値は上昇することが多い。n-3系脂肪酸の豊富なくるみは、糖尿病の人にも便益をもたらす可能性がある。 脂質異常を伴う過体重・肥満
肥満と高コレステロールは、いずれも脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患や、メタボリックシンドロームの危険因子となる。これらの要因に糖尿病や高血圧症などの疾病が重なると危険性はより高まる。n-3系脂肪酸が悪玉のコレステロールを低下させるなど有用な働きをすることが、メイヨークリニックの研究でも確かめられている。 (以上、メリーランド大学医療センター、メイヨークリニックが公表している資料より)*1*2
地中海食 くるみを加えることで改善効果が高まる

くるみは健康的な自然食品
くるみは栄養的にとてもバランスのとれたヘルシーな自然食品であることが、世界中で行われたさまざまな研究で確かめられている。くるみの栄養素を摂取するためには、1日あたり約42-57g(2つ割りを8個)をとるのが効果的。毎日の食生活にくるみを取り入れ、くるみの健康効果を試してみてはいかがだろうか。
(Archives of Internal Medicine, Arch Intern Med. 2008;168(22):2449-2458)
(Archives of Internal Medicine, July 4 2006, vol. 145 no. 1 1-11)
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