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家族の愛がメンタルヘルスを改善 ストレスに対して強くなる

 配偶者や親から受ける愛情が豊かであると、ストレスに対して強くなり、性格も安定することが、研究で明らかになった。愛情がストレスマネージメントにおいて果たす役割が大きいことがあらためて示された。
カップル同士の愛情が人生に自信をもたらす
 カップル同士の愛情が、若年者の人格形成にプラスの効果があるということが、ドイツのイエナ大学とカッセル大学の研究により明らかにされた。

 街のいたるところで、信号待ちしているときなどに、手をつないで愛情を確かめあっているカップルを見かける。数週間後には気持ちの高ぶりは静まっていくかもしれないが、愛情は長い間、影響をもたらし続ける。

 神経症は、仕事や人間関係などの過剰なストレスが原因となって起こりやすい。主として身体症状が前面に現われる。完璧主義の傾向が強く、無理をしたり、何かにつけ頑張りすぎるくらい頑張ってしまう人がなりやすい。

 「神経症の人々は心配性で、不安になったりイライラしやすいのが特徴的です。うつになりやすかったり、自分の生活に満足していない傾向があります。しかし今回の研究では、愛情の豊かな対人関係によって症状がやわらぎ、性格も安定してくることが示されました」と、イエナ大学のクリスティン フィン博士は言う。

 研究チームは18~30歳の245組のカップルを9ヵ月間追跡調査し、3ヵ月毎に個別にインタビューをした。参加者の神経症の程度を分析し、配偶者に対する満足度などとの関連を調べた。

 神経症の人は、外部からの刺激に過敏になっていている場合が多い。例えば、ネガティブな出来事に強く反応したり、あいまいな事をポジティブまたは中立的に受けとることができずにいる傾向がある。

 しかし、恋人や配偶者がいて良好な関係を保っている人では、こうした傾向は時間とともに徐々に減少いくことがわかった。

 「パートナーができたことによるポジティブな経験や感情が、その人の個性を間接的に変えていきます。物事を悲観的にみるネガティブな思考や認識パターンが後退し、前向きに取り組もうという気持ちが引き出されます。いってみると、愛は人生に自信をもって取り組む手助けとなります」と、フィン博士は説明している。

 この効果は男性だけでなく女性にもみられた。神経症的傾向のある人だけでなく、うつ病や不安障害に苦しむ人でも、愛情の豊かな配偶者がいると、症状をやわらげる可能性があるという。

 「もちろん効果には個人差があり、全人格を変えるのは困難であるには変わりません。しかし、マイナス思考からは何も生まれないと言うことはできるでしょう」と、フィン博士は述べている。

母親の愛情が成人してからのメンタルヘルスに影響
 発育期においても、愛情が果たす役割は大きい。乳児期に受ける母親からの愛情が、成人後の人生に大きな影響をもたらすことが、米デューク大学の研究で明らかになった。

 生後1年未満の乳児期に、母親から受けた愛情が多ければ多いほど、成人後ストレス耐性がより強くなり、情緒不安定に陥りにくくなるという。

 デューク大学のジョアンナ マセルコ氏らは、ロードアイランド州のデータをもとに、乳児期(8ヵ月頃)から成年期(平均34歳)の482人を対象に調査した。

 研究チームは、母親と子供の相互作用に着目し、母親が子供の感情と要求にどのくらい上手に応じるかを判定して、「愛情スコア」としてカウントした。さらに成人してからのメンタルヘルスとの関連を総合的に評価した。被験者の幼少期と青年期の記憶と情報について、90項目からなる質問をした。その結果、乳児期に母親から受けた愛情や関心は、その後の人生において、多大な影響をもたらすことが判明した。

 母親の愛情を十分に受けた子供は、成人になったとき、積極的な人生観をもつようになり、情緒が安定し、社交上手な人間になる傾向がみられた。すべてのタイプのストレスに上手に対処でき、ストレスのレベルが有意に低くなるという。

 「乳児期に温かな愛情をもって子育てをすることが、その人が成人後してからも、良好なメンタルヘルスに影響するこは明白です」と、マセルコ氏は述べている。

Love makes you strong(イエナ大学 2014年5月9日)
Study Finds Mother's Affection at Infancy Predicts Emotional Distress in Adulthood(デューク大学 2010年7月27日)

[Terahata]
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