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運動はメンタルヘルスにも効果的 運動が不安やうつ状態を改善

 運動をすると「気分がスッキリする」「楽観的になれる」という感覚を味わったことはないだろうか。運動をすると、気が晴れて視野が広がり、憂鬱に感じていた出来事も気にならなくなる。つまり、自分の身の回りにあるものへの見方が変わる。
運動には不安感を取り除く効果がある
 適度な運動は筋肉の緊張をほぐし、心拍数を減少させ、血糖値や血圧値を下げるといった効果に加えて、メンタル面でもとても重要な役割を果たす。運動がストレス解消にどのような効果的をもたらすか、少しずつ解明されてきた。

 カナダのクイーンズ大学のアダム ヒーナン氏(臨床心理学)は、「運動することで、物の見方や感じ方が前向きになり、楽観的になれる」という実験結果を発表した。

 ヒーナン氏らは、66人の学生を2つのグループに分け、片方にはウォーキングやジョギング、トレッドミルによる運動を10分間行ってもらい、もう片方には座ったまま過ごしてもらった。続いて、コンピュータの画面に3D動画を表示し、その動きを観察してもらう心理テストを行った。

 3D動画は、15の点を人間の体を思わせる形に配置し、動かすというもの。このキャラクターの動きは非常にあいまいで、こちらへ向かって歩いてくる、あるいは離れていくように見える仕掛けになっていた。

 ストレスや不安を感じている人がこの動画をみると、キャラクターが近づいてきているように見える傾向があるという。

 運動を行った群では、「キャラクターが離れていくように見える」と答えた人が多かった。逆に運動をしなかった群では、「近づいてくるように見える」と答えた人が多かった。

 「物の見方や感じ方は、心理状態に大きく左右されます。不安を抱えている人は脅威を敏感に感じとり、世界をより危険なものと認識してしまう傾向があります。運動にはストレスを解消し、不安感を取り除く効果があります」と、ヒーナン氏は述べている。

運動はうつ病の治療にも効果的
 運動とストレスの関連について、デューク大学が興味深い実験を行っている。156人うつ病患者を対象に、薬物と運動がそれぞれどのような効果を上げるかを調べた。

 うつ病の薬物療法を受けている患者を、運動をまったくしない群と、トレッドミルによる運動をする群に分け、どのような変化が起こるかを観察した。

 運動に取り組む群は、トレッドミルによる1日30分の運動を週に3回行った。実験は16週間続けられた。

 その結果、うつ病の治療効果はどの群でもみられたが、うつ病の症状の発現率は、薬物療法を行った群では38%だったのに対し、運動を行った群では8%にまで減少していた。

 「運動はうつ病の治療にも効果的で、効果が長続きすることが分かりました。運動を続けた人では、うつ病の症状を再発する割合も低かったのです。メンタルヘルスには、運動を取り入れるべきでしょう」と、デューク大学のジェームズ ブルメンソール氏(心理学)は述べている。

運動をすると脳のストレスへの反応を抑えられる
 運動をすることで、脳のストレスへの反応が弱まり、不安を感じにくくなることは、動物実験でも確認されている。

 プリンストン大学の研究チームはマウスを使った実験で、運動によって、不安を制御する脳の領域が変化し、興奮を防ぐメカニズムが強化されることを突き止めた。

 マウスを運動をする群としない群に分け、不安を制御する脳領域である腹側海馬にどのような変化が起こるかを調べた。

 運動したマウスでは、興奮すると活発化するニューロンの反応が抑えられていた。さらにに、脳内の興奮性の神経伝達をコントロールする「GABA」(ガンマアミノ酪酸)がより多く放出されていることが判明した。

 「生活スタイルや環境に合わせて、脳は柔軟に対応しています」と、研究者は説明している。不安という感情は、危険な状況を事前に避ける行動につながるが、過剰に働くと、現代人にとってメンタル面の健康を妨げる要因になる。

 「運動は、脳が不安を引き起こす行動をコントロールする手助けになります。不安障害を抱える人にとっても、運動が効果的である可能性があります」と強調している。

A new view of the world(クイーンズ大学 2014年7月17日)
How Exercise Benefits More Than Your Muscles(デューク大学 2014年3月12日)
Exercise reorganizes the brain to be more resilient to stress(プリンストン大学 2013年7月3日)

[Terahata]

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