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糖尿病リスクは飽和脂肪酸の種類によって上昇 ヨーグルトは体に良い
2014年08月08日

飽和脂肪酸の種類によって、糖尿病の発症リスクを上げたり、下げるものがあることが、8ヵ国の国際研究で明らかになった。
低脂肪の牛乳やヨーグルトに含まれる飽和脂肪酸には、2型糖尿病のリスクを下げる効果を期待できるが、逆に赤身肉や、油で炒めた食品、アルコール類は、体に良くない飽和脂肪酸を増やすおそれのある食品だ。 これらの飽和脂肪酸の種類によって、2型糖尿病の発症リスクに与える影響が異なるという研究を、英ケンブリッジ大学が発表した。研究は医学誌「ランセット 糖尿病・内分泌学」に発表された。
低脂肪の牛乳やヨーグルトの飽和脂肪酸は糖尿病リスクを下げる
研究では、欧州8ヵ国の34万234人を対象に調査した。うち2型糖尿病を発症したのは1万2,403人だった。
研究チームは、被験者の血液サンプルに含まれる9種類の脂肪酸の比率を計測し、のちに2型糖尿病になった人の割合と照らし合わせた。
その結果、脂肪酸鎖の炭素原子の数が偶数(14、16、18)の飽和脂肪酸の血中比率が高かったグループで、2型糖尿病を発症するリスクが高いことが判明した。
一方、飽和脂肪酸でも炭素原子が奇数(15、17)のものの血中比率が高かったグループでは、糖尿病のリスクは低かった。
奇数の飽和脂肪酸は低脂肪の牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれている。低脂肪の牛乳やヨーグルトに含まれる飽和脂肪酸には、2型糖尿病のリスクを下げる効果を期待できる。
一方で、赤身肉や、油で炒めた食品は、炭素数が偶数の飽和脂肪酸を増やす原因になり、食べ過ぎると体に良くない食品だという。アルコール類も、これらの脂肪酸を増やす。
最近の研究によると、ヨーグルトや乳製品を週に4~5回食べると、2型糖尿病を発症するリスクが24%低下するという。
赤身肉やアルコールをとりすぎると糖尿病リスクが上昇
一方、赤身肉に含まれる飽和脂肪酸には、炭素数16の「パルミチン酸」や、炭素数18の「ステアリン酸」などがある。これらの飽和脂肪酸をとりすぎると、悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪が増え、心筋梗塞などの心疾患のリスクが高まることが知られている。
さらに、アルコールの飲み過ぎも危険を高めることが判明した。炭素原子が16個、18個の飽和脂肪酸は、食品から摂取するものだけでなく、体内で作られるものもある。炭水化物やアルコールの過剰摂取によって、これらの脂肪酸の血中濃度は上昇するという。
過度のアルコール摂取は、脂肪組織からの脂肪酸の放出を促す。さらに、肝臓のアルコール代謝が亢進し、それに伴って酸化されない脂肪酸を増加させる。
「お酒の飲む過ぎが脂質異常症や肥満を引き起こすのは、体内の脂肪のバランスが崩れやすいからです」と、研究者は説明している。
オリーブオイルは心臓病のリスクを低減
オリーブオイルや、果物や野菜、全穀粒、魚を多くとる「地中海ダイエット」を続けている人では、摂取カロリー量の制限や運動の推奨を行わなくても、2型糖尿病の発症リスクを低下することが知られている。
オリーブオイルに含まれる飽和脂肪酸は主にパルミチン酸だ。ただし、オリーブオイルには「オレイン酸」という一価不飽和脂肪酸も多く含まれている。
オレイン酸には、血圧を下げる効果や、悪玉のLDLコレステロールを減らす効果がある。1日の摂取カロリーを変えずに、大さじ2杯(23g)の飽和脂肪酸をオリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸に置き換えると、心臓病のリスクが低減する。
「今回の研究で、飽和脂肪酸はどれも同じではないことが示されました。食品によって血中の脂肪酸レベルの上昇は異なります。どのような食事をすれば良いのかを解明することが、今後の課題です」と、ケンブリッジ大学の栄養疫学プログラムを主導するニタ フォロウヒ博士は述べている。
Some saturated fatty acids may present a bigger risk to diabetes than others(ケンブリッジ大学 2014年8月6日)
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