ニュース

3分でわかる「デング熱対策」 厚労省が蚊対策を全国に通知

 厚生労働省は、感染者が増えているデング熱への自治体向けの対応マニュアルとして「デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き」を公表した。

 東京の代々木公園周辺などでデング熱の感染が相次いでおり、これまでに100人を超える人の感染が確認されている。厚労省は、感染の拡大を防ぐためのマニュアルを見直し、公園や緑地などでは細かい区画ごとに蚊の調査や駆除を行うよう全国の自治体に求めている。
蚊の駆除を行う範囲を半径100メートルに拡大
 マニュアルは、国立感染症研究所ウイルス第1部の高崎智彦室長が代表を務める研究グループが、厚生労働科学研究の一環としてまとめたもので、デング熱の患者が発生した際の臨床対応などが記載されている。

 その中で、公園や緑地で感染が確認された場合はおよそ50メートル四方の区画ごとに分割し、区画ごとに蚊が大量に生息している場所がないか調査した上で、蚊が多い区画を中心に駆除を行うことを求めている。

 また、以前のマニュアルでは、蚊の駆除を行う範囲を半径50メートルとしていたのを、半径100メートルに改めた。東京都は都立代々木公園で半径75メートルの範囲で殺虫剤を散布したが、9月4日に公園内でウイルスを保有する蚊が確認され、都は公園の大部分を閉鎖した。

 薬剤散布から約1週間で感染した患者が10人以上確認され、初期対応のまずさが指摘されていた。そこで、新しいマニュアル、蚊が移動する距離に合わせて半径100メートル程度とするのが望ましいとした。

 東京都・代々木公園でデングウイルスを保有していたことが確認されたのはヒトスジシマカだ。ヒトスジシマカの活動期間は5月中旬から10月下旬とされているため、これらの対策を終える時期は「10月下旬頃までがひとつの目安」になるという。

家庭や個人でもできるデング熱対策
 マニュアルには、家庭や個人でもできるデング熱対策も記されている。その主な内容は次の通り――

・ 蚊の発生源をなくす
 ヒトスジシマカの幼虫は、「ベランダにある植木鉢の受け皿や空き缶・ペットボトルに溜まった水、放置されたブルーシートや古タイヤに溜まった水」など、比較的小さい容器に発生する。
 住宅周辺に多数存在する幼虫発生源をなくすためには、「1週間に1度は、住宅周辺に散乱している雨水が溜まった容器を逆さにして水をなくすこと、人工容器などに水がたまらないよう整頓すること」が重要と指摘している。

・ 忌避剤はむらなく・こまめに塗る
 蚊などを寄せ付けないようにする忌避剤は、体に直接塗らないといけないタイプのものが多い。「吸血昆虫が非常に近くまで寄らないと効果を発揮しないことから、皮膚の露出部にむらなく塗布する必要がある」、さらに、忌避剤の効果は雨や汗、蒸発などによって失われやすくなるため、「屋外で長時間活動する際は、定期的に再塗布することが望ましい」としている。

・ 服の上から刺させることもある
 ヒトスジシマカから刺されないようにするためには、「皮膚が露出しないように、長袖シャツ、長ズボンを着用し、裸足でのサンダル履きを避ける」ことが大切となる。
 「薄手の繊維の場合には服の上から吸血されることもあり、足首、首筋、手の甲などの小さな露出面でも吸血されることがある。このような場合でも、忌避剤の利用は効果的」としている。

・ 屋内への蚊の侵入を防ぎ、殺虫剤を使い防除を行う
 網戸や扉の開閉を極力減らし、屋内への蚊の侵入を防ぐ。もし侵入を許した場合は、捕殺するか、家庭用殺虫剤を使い防除を行う。室内の家具の裏側などに潜んだ場合は、ピレスロイド系のスプレータイプの殺虫剤で追い出したうえで殺虫する。
 「夜間使用されている蚊取り線香、蚊取りマット、液体蚊取りなどの殺虫剤は、殺虫効果の他に、蚊を屋内に侵入させない忌避効果も期待されるため、昼間からこれらの殺虫剤を使用する方法も効果的。薬剤の使用以外には、蚊帳の利用も効果が期待できる」としている。

・ 殺虫剤は風上から散布する
 屋外の植物の茂みは、ヒトスジシマカの成虫の潜伏場所になりやすい。そのため、殺虫剤の散布が有効手段となる。
 同手引きは「微風で風向きが一定した時を狙い、風上から防除エリアを包括するようにして薬剤を散布すること」が好ましいとしている。学校や公園などの広い敷地内で作業を行う際には特に注意が必要だ。

デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き(国立感染症研究所)
デング熱について(厚生労働省)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月10日
緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶