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長引く体の不調は「歯周病」が原因かもしれない 全身の病気にも影響
2014年10月17日

歯周病は「もの言わぬ病」と呼ばれ、症状がかなり進行するまで自覚症状はないことが多いが、放っておくと全身の病気にも影響する恐い病気だ。適切に対象すれば予防と治療が可能だ。
歯周病の兆候は80%以上の人にみられる
日本人にもっとも多い病気は、歯周病かもしれない。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、45~54歳の中年層の80%以上で、25~29歳でも70%以上で歯周病の兆候がみられる。
これほど歯周病の人が多いのに、それがどんな病気なのかはあまり知られていない。これは歯周病の初期の段階では痛みがなく、歯肉(歯茎)がはれたり、歯磨きのときに出血する程度なので、そのまま放置している人が多いからだ。
歯周病は、歯を支える歯肉やその周辺組織が炎症を起こし、悪化すると歯槽骨(しそうこつ)が溶け、歯を失うことにもなる病気だ。その原因となるのが、歯垢(プラーク)だ。歯垢というと、食べカスのことだと思っている人が多いが、実は歯周病菌という細菌のかたまりだ。
歯磨きが十分に行われずプラークが残っていると、その中にいる歯周病菌が増えて、歯肉に炎症が起きてはれてくる(歯肉炎の段階)。
歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)で歯周病菌が繁殖を続けると、歯磨きではプラークを取り除けなくなり炎症も拡大する(歯周炎の段階)。この状態を放っておくと、歯がぐらつき、やがて抜け落ちてしまう。
歯周病があると心筋梗塞リスクが2倍に上昇

歯周病は自覚症状はわかりにくい

2 歯を磨いたときに出血する
3 冷たい飲み物や冷たい空気が、歯肉にしみる
4 歯肉がはれ、うずくことがある
5 食べ物が歯のあいだによくはさまる
6 口臭がする(歯垢は口臭の原因となる)
7 歯が長くなったように見える
8 固いものを噛むと出血する
9 歯肉が赤黒くなり、固いものが噛みにくい
10 ぐらぐらしている歯がある
プラークコントロールで重要なこと
歯周病は、予防と治療が可能な病気だ。歯周治療は急速に進歩しており、現在では進行を阻止することが可能となっている。
歯周病予防で最も大切なのは、歯周病の原因である細菌すなわちプラークの量を減らすことだ。これを「プラークコントロール」と言う。プラークコントロールには、歯科医師や衛生士がおこなうプロフェッショナルなもの、そして自分でできる歯みがきなどのセルフケアの2つがある。
プラークコントロールで重要なことは次の4点だ――
1 正しい歯ブラシの方法で毎日実行する。歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておくことが大切となる。2 歯肉の中まで入っている歯石を取り除き、炎症を引き起こす細菌を除去する。
3 傷んだ歯肉、骨を治療して健康に近い歯肉にする。
4 健康の保持のため歯科医師や衛生士によるクリーニングなどのメインテナンスを定期的に受ける。 東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野
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