ニュース

長時間労働がアルコール乱用の原因に 週に48時間以上働く人は要注意

 長時間労働に従事する人たちは多量飲酒になりやすいという、日本を含む14ヵ国で行われた調査結果が発表された。
労働時間とアルコール摂取の関連を調査
 週48時間を超えて働く人は、「危険な量」のアルコールを飲むようになる可能性が高いという研究結果を、ハーバード公衆衛生大学院が発表した。週に48時間以上働く人は、多量飲酒を行う割合が13%高くなるという。

 研究対象となったのは、米国、英国、ドイツ、フランス、日本、オーストラリアなど14ヵ国の33万3,693人。

 解析した結果、長時間労働をする人は、アルコール摂取量が増加する傾向が11%高いことが判明した。また、「危険なアルコール摂取」の習慣がつく可能性は、週35~40時間働く人に比べ、週49~54時間働く人では13%高く、週55時間以上働く人だと12%高かった。

 欧州労働時間策定連合(EUWT)は、労働者の健康と安全性を確保するために、労働時間は時間外労働を含め週48時間を超えないのが望ましいとしている。

 アルコールには、長時間労働によるストレスをやわらげる作用がある。その一方で、過剰に摂取すると欠勤や労働効率の低下、労働災害などさまざまな障害をもたらす。

 また、アルコールの過剰摂取は、肝臓病、がん、脳卒中、心筋梗塞、うつ病、睡眠障害などの健康上の障害を引き起こす。

 週に男性では21ドリンク、女性では14ドリンクを超えると、多量飲酒に相当し危険と考えられている。1ドリンクは純アルコールに換算して10gで、ビール中ビン(500mL)は2ドリンクに相当する。

 「長時間労働に従事する人たちは、アルコールにより仕事のストレスを解消し、仕事から家庭生活への移行をスムーズに行おうとしていると考えられます。今回の調査は多量飲酒に焦点をあてたものですが、アルコールの推奨量を超えて飲む人はさらに多い可能性があります」と、ハーバード公衆衛生大学院のカサンドラ オケチュク氏は言う。

 「保健指導を行うときは、労働時間をチェックするとともに、アルコール摂取の状況にも注意する必要あります」と、オケチュク氏は指摘する。過剰な飲酒は危険を伴うことを認知させるべきだとしている。

Long working hours are linked to risky alcohol consumption(British Medical Journal 2015年1月13日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「アルコール」に関するニュース

2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月27日
「孤独」と「社会的孤立」は心臓病・脳卒中・感染症などのリスクを高める 人との交流は健康を維持するために必要
2025年01月23日
1月23日は「一無、二少、三多の日」
2月1日より「全国生活習慣病予防月間2025 」がスタート!
2025年01月06日
アルコールを適量飲んでいる人は肥満リスクが減少 ただし少しでも飲みすぎると健康は悪化 アルコールによる健康障害は深刻な問題に
2024年12月25日
過去最少の野菜不足でも「改善するつもりはない」 睡眠不足も慢性的
―令和5年「国民健康・栄養調査」より
2024年12月23日
高齢者の食事と運動をどう指導・支援する? フレイル・サルコペニアに対策 「食育健康サミット2024」をオンライン配信
2024年12月19日
2024年度版【保健指導アトラス】を公開!保健指導に携わる人が知っておきたい法律・制度
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶