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長時間労働がアルコール乱用の原因に 週に48時間以上働く人は要注意
2015年01月16日

長時間労働に従事する人たちは多量飲酒になりやすいという、日本を含む14ヵ国で行われた調査結果が発表された。
労働時間とアルコール摂取の関連を調査
週48時間を超えて働く人は、「危険な量」のアルコールを飲むようになる可能性が高いという研究結果を、ハーバード公衆衛生大学院が発表した。週に48時間以上働く人は、多量飲酒を行う割合が13%高くなるという。
研究対象となったのは、米国、英国、ドイツ、フランス、日本、オーストラリアなど14ヵ国の33万3,693人。
解析した結果、長時間労働をする人は、アルコール摂取量が増加する傾向が11%高いことが判明した。また、「危険なアルコール摂取」の習慣がつく可能性は、週35~40時間働く人に比べ、週49~54時間働く人では13%高く、週55時間以上働く人だと12%高かった。
欧州労働時間策定連合(EUWT)は、労働者の健康と安全性を確保するために、労働時間は時間外労働を含め週48時間を超えないのが望ましいとしている。
アルコールには、長時間労働によるストレスをやわらげる作用がある。その一方で、過剰に摂取すると欠勤や労働効率の低下、労働災害などさまざまな障害をもたらす。
また、アルコールの過剰摂取は、肝臓病、がん、脳卒中、心筋梗塞、うつ病、睡眠障害などの健康上の障害を引き起こす。
週に男性では21ドリンク、女性では14ドリンクを超えると、多量飲酒に相当し危険と考えられている。1ドリンクは純アルコールに換算して10gで、ビール中ビン(500mL)は2ドリンクに相当する。
「長時間労働に従事する人たちは、アルコールにより仕事のストレスを解消し、仕事から家庭生活への移行をスムーズに行おうとしていると考えられます。今回の調査は多量飲酒に焦点をあてたものですが、アルコールの推奨量を超えて飲む人はさらに多い可能性があります」と、ハーバード公衆衛生大学院のカサンドラ オケチュク氏は言う。
「保健指導を行うときは、労働時間をチェックするとともに、アルコール摂取の状況にも注意する必要あります」と、オケチュク氏は指摘する。過剰な飲酒は危険を伴うことを認知させるべきだとしている。
Long working hours are linked to risky alcohol consumption(British Medical Journal 2015年1月13日)
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