ニュース

子供の脳の言語機能や発達に「親子と一緒に過ごす時間」が影響

 東北大学加齢医学研究所の研究グループは、親子で過ごす時間が長いほど、言語的理解や非言語的コミュニケーションの理解などに関わる脳の「右上側頭回」の発達性変化や言語理解機能に好ましい影響を与えることを確認したと発表した。

 研究成果は、東北大学加齢医学研究所の竹内光准教授、川島隆太教授らの研究チームによるもの。詳細は米国神経科学雑誌「The Journal of Neuroscience」に発表された。
親子でともに過ごす時間が子供の脳の発達を促す
 日々の生活で、親子でどのくらいの時間をともに過ごすかが、数年後の言語理解機能や脳形態の変化に大きく影響すると考えられている。

 親が乳幼児に話しかけ、親子が相互に反応することが、言語のスキルや知識といった言語発達指標を長期的に上昇させることが数多くの研究で明らかになっている。

 今回の研究は、脳画像解析や大規模なデータ、数年の期間をおいた縦断解析といった手法を用いて、発達期の子供の言語機能などへの影響を神経メカニズムの観点から明らかにしたものだ。

 研究チームは、5~18歳の262人の小児を対象に、生活習慣に関する質問、知能検査、MRI撮像などの検査を実施。3年後に208人に再び知能検査とMRI撮像を受けてもらい、データを組み合わせて解析した。

 その結果、親子で長時間ともに過ごすと、高い言語理解指数を示すことが判明。さらに最初の調査から数年後の2回目には、言語理解指数がより増大していることを確認した。

 特に親子で会話をもつことで、脳の言語機能に関わる領域が影響を受け、言語機能発達の増加することが分かったという。
テレビの視聴時間が長いと子供の脳に悪い影響が
 研究チームが以前に行った研究では、小児期にテレビを長時間視聴していると、脳の高次認知機能に関わる領域が影響を受け、言語能力が低下することが明らかになっている。

 長時間のテレビ視聴は、初回調査からから数年後の2回目調査において、前頭極領域、運動感覚領域、視床下部周辺領域の発達性変化に負の影響(灰白質体積の減少が少ないこと)をもたらすという。

 今回の研究で、親子で長時間一緒に過ごし、特に会話をすると、脳の言語機能の発達が促されることが明らかになった。ただし、テレビを長時間視聴すると、子供の脳に悪い影響が出てくる

 「就学期前だけでなくそれ以降の発達期においても、親子で多くの時間を過ごすこと、会話をもつことが言語に関連する脳神経機能の良好な発達に大きく影響する」と、研究チームは述べている。
東北大学加齢医学研究所
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶