ニュース
清涼飲料や菓子に含まれる「果糖」が糖尿病や心臓病のリスクを高める
2015年10月14日
清涼飲料や菓子類などに含まれる「果糖」(フルクトース)が、食品のカロリーを高めるだけでなく、2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクも高めているという研究結果を、ハーバード大学の研究チームが発表した。
加工食品のカロリーは一見しても分からない
ジュースやコーラなど清涼飲料や菓子類などの甘味の強い加工食品の多くに「果糖ブドウ糖液糖」が甘味料として使われている。コーンスターチ(トウモロコシから作られたデンプン)などから製造される「果糖ブドウ糖液糖」は、果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)を主成分とする異性化糖。工業的に安定して生産でき、価格が安いので、米国で多くの食品に広く用いられている。
ごはんやパン、穀類、いも、カボチャなどの野菜に含まれる炭水化物が複合糖質であるのに対し、フルクトースやグルコースは吸収されやすい単糖類だ。フルクトースは糖の中ではもっとも甘味が強く、多量を摂り続けると体重増加や肥満につながりやすいと懸念されている。
「フルクトースは高カロリーの清涼飲料などの加工食品に多く含まれています。ジュースや菓子などに含まれるコーンシロップ(果糖ブドウ糖液糖)が主な摂取源で、フルクトースを単体で摂取することはほとんどありません。消費者は栄養成分表示を見ないと、どの食品に果糖ブドウ糖液糖が含まれているかを知ることができません」と、ハーバード大学公衆衛生学部のフランク フー教授は述べている。
最近の10年間で果糖ブドウ糖液糖の摂取量は減少してきたが、いまだに甘味料としてもっとも多く使われている。米国人の半分が毎日摂取しており、4人に1人は1日に200kcal以上を摂取しており、5%は500kcal以上を摂取しているという。これは角砂糖(4g)に換算すると13~32個分に相当する。
高カロリー飲料を摂取すると糖尿病リスクが26%増加
「果糖ブドウ糖液糖などの糖類が含まれるコーラなどの清涼飲料を1日1回以上摂取すると、体重増加や肥満につながりやすいことが、多くの研究で確かめられています。高カロリーの清涼飲料は、それ自体が満腹感をもたらすことはなく、食事のカロリー摂取量が減ることはありません。結果として体重増加を引き起こしやすいのです」と、フー教授は指摘している。
研究チームは、過去に発表された疫学研究のレビューとメタ解析を行った。その結果、高カロリーの清涼飲料を摂取すると、2型糖尿病や心血管疾患、脳卒中などのリスクが増加することが判明した。
高カロリーの清涼飲料を1日に1~2回摂取した人では、摂取しなかった人に比べ、次のような変化が起こることが明らかになった。・ 2型糖尿病の発症リスクが26%増加する
・ 心血管疾患の発症リスクが35%増加する
・ 脳卒中の発症リスクが16%増加する 12万人の成人男女を20年間追跡して調査した研究では、高カロリーの清涼飲料を1日に350mL飲み続けると、4年間で体重が約2kgずつ増加することが判明した。
高カロリーの清涼飲料や菓子類を避けると良い理由
Fructose and Cardiometabolic Health : What the Evidence From Sugar-Sweetened Beverages Tells Us(Journal of the American College of Cardiology 2015年10月6日)
Sugary Drinks and Obesity Fact Sheet(ハーバード大学公衆衛生学部)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要