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厚生労働省「がん対策加速化プラン」 精密検査受診率にも目標値
2016年01月06日
厚生労働省のがん対策推進協議会は、日本人の死因の第1位になっているがんによる死亡数を減らすための「がん対策加速化プラン」をまとめた。市町村で実施されるがん検診受診率の公表や、精密検査受診率の目標値設定のほか、受動喫煙防止対策強化などを盛り込んだ。
がん検診の受診率向上に向けた施策は遅れている
がんは、日本で1981年より死因の第1位であり、2014年には年間約37万人が亡くなり、生涯のうちに約2人に1人がんにかかると推計されている。
日本のがん対策は、1984年以降、「対がん10カ年総合戦略」「がん克服新10か年戦略」「第3次対がん10か年総合戦略」と10年毎に戦略の改訂を行い、施策を実施してきた。さらに、2007年には「がん対策基本法」が施行され、「がん対策推進基本計画」が策定された。
しかし、2015年に公開された「基本計画中間評価報告書」では、がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少という目標の達成が難しいと予測された。がん検診の受診率向上に向けた施策が遅れていることが理由だ。
「がん対策加速化プラン」の3つの柱
こうした状況を踏まえ、2015年に「がんサミット」が開催され、次の3項目を柱とした「がん対策加速化プラン」を政府として策定し、がん対策を加速するとした。
(1)がんの予防予防や早期発見を進め、「避けられるがんを防ぐ」こと (2)がんの治療・研究
治療や研究を推進し、「がんによる死亡者数の減少」につなげていくこと (3)がんとの共生
就労支援や緩和ケアなどを含む包括的な支援により、「がんと共に生きる」ことを可能にする社会を構築すること 「がん対策加速化プラン」では具体的な項目として――
▽市町村で実施されるがん検診の受診率だけでなく精密検査受診率にも目標値を設定する
▽市町村ごとのがん検診受診率や受診率向上に向けた取り組みなどを公表する
▽職場ごとにがん検診のガイドラインを早急に策定する
▽がん治療研究のためのゲノム(全遺伝情報)医療の国内外実態調査を実施する
▽患者が医療機関情報を検索し比較できるシステムを構築する
▽がん罹患により患者が辞職したり解雇されないよう企業向けのガイドラインをつくる
などを盛り込んだ。 このほか、がん予防を進める上で喫煙対策は不可避との考え方から、「2019年のラグビー・ワールドカップや20年の東京五輪・パラリンピック開催までに受動喫煙の防止対策を強化する」「(厚労省として)たばこ税の税率引き上げを継続して要望する」ことも目標に加えた。 たばこ税については「がん対策推進協議会」による原案提言で「たばこ税の税率を引き上げる」と明示されていたが、最終的に「継続して要望する」という表現に修正された。 基本計画では受診率50%(胃、肺、大腸は当面の間40%)を目標に掲げ、その達成に向けての取組を進めている。具体的には、がん検診を無料で受けられるクーポン券の配布や、国民1人ひとりへの受診勧奨(個別受診勧奨)が行われている。 また、がん検診の精度管理や、「がん対策推進企業等連携事業(がん対策推進企業アクション)」を通じた企業に対する普及啓発等が行われている。
がん受診率は目標の50%には達していない
このような取組により、受診率は上昇傾向であるが、胃がん39.6%、肺がん42.3%、大腸がん37.9%、子宮頸がん42.1%、乳がん43.4%となっており、目標の50%には達していない。国際的にみても先進国が50~85%であるのに対して低い水準だ。
また、市町村が実施するがん検診の精密検査の受診率は、胃がん79.8%、肺がん78.6%、大腸がん64.4%、子宮頸がん69.6%、乳がん84.6%となっており、十分な水準に達していない。
がん対策加速化プランへの提言について(厚生労働省 2015年12月3日)
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