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女性の就業に関する実態や改善策について幅広く議論 厚労省

 厚生労働省は5月10日、第8回「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会を開催し、女性活用ジャーナリストの中村円佳氏によるプレゼンテーションなどを通して、女性の就業に関する実態や改善策について議論を深めた。

 同懇談会は、グローバル化や少子高齢化の進行、IoTやAI等の技術革新の進展が予想される中で、性別や年齢、経歴、障害の有無などにとらわれず、多様な人材が活躍できる働き方の未来を考えるもの。2035年を見据え、産業構造や就業構造、社会システムの大きな変化を予測しながら、いまから実践すべき社会変革について2016年1月に第一回会合を開いて以来、引き続き議論を進めている。

 第8回となる会合では、まず厚生労働省によるプレゼンテーションが行われ、就業を希望しない女性の年齢別割合や理由について細かく分析。理由については「出産・育児のため」が25~34歳で65%、35~44歳で41%と最も高い割合となった。一方で45~44歳になると「介護・看護のため」が全体の10%を占め、他の年齢層に比べて最も高い割合を占めた。

 このうち、30~39歳で前職が正規の職員・従業員であった女性について見てみると、最も多い離職理由は「出産・育児のため」で24%、続いて「結婚のため」で17%、「労働条件が悪かったため」が10%となった。

離職理由
【前職が正規の職員・従業員であった30?39歳の女性】

出所:総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」第125表
※いずれも平成19年10月から平成24年10月1日までに
前職を辞めた転職就業者及び離職非就業者の数の割合

 また、「副業をしている人は雇用者全体の3.4%」など副業に関する実態についても明らかにされ、働き方の違いに応じた社会保険制度の適用状況なども確認された。

 そのうえで参考資料として「ニッポン一億総活躍プランに向けた基本コンセプト」が提示され、安倍政権で進められてきた「三本の矢」の経済政策を一層強化するものとして、「新第一の矢:希望を生み出す強い経済」、「新第二の矢:夢をつむぐ子育て支援」、「新第三の矢:安心につながる社会保障」の流れが生み出す持続的成長と分配の好循環について説明が行われた。

 続いて懇談会のメンバーで、女性活用ジャーナリスト/研究者の中野円佳氏によるプレゼンテーションが行われた。

 中村氏は『「育休世代」のジレンマ~女性活用はなぜ失敗するのか』の著者であり、自身も2児の子育てをしながらジャーナリスト、民間企業社員、大学の研究者という4足のわらじをはいている。その経験から政府が求める「女性活躍」の方向性と、育休世代(2000年前後の法改正で、育休を取るのが当たり前になった時代に総合職の正社員として就職した世代)の抱えるジレンマやプレッシャーとのギャップなどについて解説した。

 中村氏は長時間労働前提の社会や男性の家事・育児参加が進んでいない点、育児中の女性の処遇引き下げなど「職場と家庭の悪循環が起こっている」と問題点を指摘。ジレンマを脱出するためには、残業の削減など働き改革の実行や、シッターや家事代行などへの補助制度創設、男性の育児休暇義務化などの具体策をあげ、「柔軟な労働市場形成と働き方の多様化に合わせた社会保障」、「保育・教育環境を含む国としての長期設計」などを求めた。

第8回「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会 資料
[yoshioka]
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