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骨粗鬆症の予防に必要な食事を知らない? 女性だけではない身近な病気
2016年06月23日

骨粗鬆症は、骨質や骨量が低下して骨折リスクが高まる病気。中高年になると多発し、閉経後の女性には身近な病気だが、最近では50歳代の男性でも増えているという。骨を強くする栄養素としてカルシウム以外の、ビタミンD・K2の認知などは進んでいないことが、「コツコツ骨ラボ」の調査で明らかになった。
骨粗鬆症 女性は40歳代から、男性は50歳代から発症している
「コツコツ骨ラボ」(代表:田中清・京都女子大学家政学部食物栄養学科教授)は、医学・栄養学などの有識者らを中心メンバーに、健康な骨を作るための食生活を中心とした正しい情報の発信や調査・研究などを推進する目的で5月27日に設立された。
高齢化に伴い骨粗鬆症は増えている。日本骨粗鬆症学会の2015年の発表によると、日本人の骨粗鬆症の患者数は約1,300万人で、今後さらに増えると予測されている。
「骨粗鬆症は、シニアや女性特有の病気と思われがちだが、高齢化や食生活・生活習慣の変化に伴い、女性は40歳代から、男性も50歳代から発現しはじめている。日頃の運動・日光浴・栄養という生活習慣を見直すことはその予防につながる」と、林泰史・原宿リハビリテーション病院名誉院長は言う。
「栄養摂取と骨折発生率や筋力増加との関係を示した調査からは、栄養素はカルシウムだけでなく、カルシウムの腸管からの吸収を助けるビタミンDや、カルシウムの骨への沈着を助けるビタミンK2も必要であることが示されている。中高年以降の人はこの三大栄養素を摂って、骨粗鬆症による骨折後の要支援・要介護のリスクを防ぐことが大切だ」と指摘する。
カルシウム、ビタミンD、ビタミンK2は「骨のゴールデン・トライアングル」
「骨づくりに重要なカルシウム、ビタミンD、ビタミンK2は、"骨のゴールデン・トライアングル"と言える。この三大栄養素が十分に摂れていない人が多く、高齢者だけではなく若い世代でも不足している人が多い」と、佐藤秀美・日本獣医生命科学大学客員教授は言う。
「カルシウムは、乳製品や小魚、水菜や木綿豆腐などに豊富に含まれ、乳製品のカルシウムは魚や野菜よりも吸収効率が高いことが明らかにされている。また、大豆食品中のカルシウムの吸収率は乳製品とほぼ同じ。乳製品や大豆食品を一緒に摂ると、食品中のカルシウムの吸収率アップに役立つ。野菜のように吸収率の低い食品は乳製品や大豆食品と一緒に摂ると良い」と、佐藤氏は指摘する。
「ビタミンDはシラス干し、サケ・サンマなどの魚に豊富に含まれる。また、日光(紫外線)を浴びると皮膚でビタミンDが合成される。日照時間の短い冬場や、屋内で過ごす時間が長い高齢者などは、ビタミンDを食事から積極的に取り入れる必要がある。また、ビタミンKは緑葉野菜、納豆などに多く含まれており、丈夫な骨づくりに欠かせない栄養素として注目されている」としている。
ビタミンKは骨の健康維持に欠かせない栄養素で、中でもビタミンK2は血中濃度が安定するため、ビタミンK1に比べ、より高い効果が見込める。しかし、ビタミンKはまず肝臓で凝固因子の活性化に利用された後に骨で作用するため、骨では不足しやすくなる。
「日本人の食事摂取基準における目安量は、健康な人の摂取中央値を基準にしており、骨折予防の効果を考慮したものではない。骨のもとになる栄養を毎日しっかり補えるよう、食生活に気を配り骨折や骨粗鬆症を防ぐことが、質の高い生活を続けるための鍵となる」と指摘している。
「骨」の対策を行っている人は10人に1人に満たない

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