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野菜や果物を食べるとストレスを遠ざけられる 認知症リスクも低下

 野菜を毎日食べることで、心理的ストレスを抑え、認知症を予防できることが、オーストラリアと中国の研究で明らかになった。
野菜と果物を1日400g食べると効果が
 米国や英国、オーストリア、ドイツなどの保健省などは、「1日5サービング以上の野菜と果物を食べましょう」というキャンペーン「5 A DAY」(ファイブ ア デイ)を展開している。

 野菜の「1サービング」は、レタス、キャベツ、ホウレンソウ、コマツナなどの生の葉野菜であればカップ1杯分、それ以外のトマト、ニンジン、アスパラガス、ブロッコリー、キノコ類などの野菜はカップ1/2杯分に相当する。

 研究チームは、45歳以上のオーストラリア人6万404人を対象に、2006~2008年から2010年まで追跡して調査した。

 研究は、オーストラリアなどで25万以上の中高年を対象に、加齢と健康の関連について調べているコホート研究「45 アンド アップ」研究の一環として行われた。

 心理的ストレスについて、不安や抑うつを測定する10項目の質問で構成される「ケスラー心理的苦痛尺度」を用いて測定した。

 期間中に5.6%が強い精神的ストレスにさらされていることが判明。研究チームは、対象者の毎日の野菜や果物の摂取量と、ストレスの度合いとの関連を調べた。

野菜を毎日食べると精神的ストレスが低下
 調査の結果、野菜を毎日、推奨量食べている人は、ほとんど食べない人に比べ、ストレスのリスクが12%低いことが判明した。

 特に女性では、野菜を毎日食べている人は、ほとんど食べない人に比べ、ストレスのリスクが18%低いことが判明した。

 さらに、野菜を多く(5~7サービング)食べている女性では、まったく食べない女性に比べストレスのリスクが23%低下した。

 「野菜を毎日十分に摂っていると、精神的ストレスが低下する傾向がみられました。その傾向は女性で特に強くみられました」と、シドニー大学公衆衛生学部のメロディー ディン氏は言う。
野菜には抗酸化作用のある栄養素が含まれる
 研究チームは、精神的なストレスを受けやすい人の共通する特徴として、次のことを挙げている。▽女性であること、▽高齢であること、▽過体重または肥満であること、▽喫煙していること、▽運動不足で身体活動量を少ないこと。

 「これら条件があてはまる、ストレスを受けやすい人は、意識して対策した方が良いでしょう。野菜や果物を十分に食べる事は、そのひとつになる可能性があります」と、ディン氏は言う。

 他の研究では、男女ともに、野菜や果物、いも類、大豆製品、キノコ類、海藻類、魚、緑茶などをよくし接ししていると、精神的ストレスが低い傾向があることが示されている。

 その理由として、こうした食事パターンのスコアが高い人は、抗酸化作用のあるカロテンやビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、葉酸などの摂取量が多いことが考えられるという。
野菜や果物を毎日食べると認知症のリスクも低下
 野菜や果物を毎日食べると、認知症のリスクも低下するという研究も発表された。

 中国の香港中文大学の研究チームは、1万7,700人の中国人の高齢者を6年間追跡する調査を行った。

 認知症のリスクは、野菜を毎日3サービング以上食べている人では12%低下し、果物を2サービング食べている人では14%、それぞれ低下することが明らかになった。

 「果物や野菜を食べるとアルツハイマー病などの認知症のリスクを低下できる可能性があります。どれだけ食べると適正かはいまのところ不明ですが、"5 A DAY"運動の適正さを裏付ける結果になりました」と研究者は述べている。

 「5 A DAY」運動の「1日5サービング以上の野菜と果物」は、量にすると1日400gに相当するという。ストレス対策と認知症対策に、野菜や果物を毎日食べる習慣を身に着けたい。

Veggies each day keep the stress blues away(シドニー大学 2017年3月16日)
Fruit and vegetable consumption and psychological distress: cross-sectional and longitudinal analyses based on a large Australian sample(BMJ Open 2017年3月16日)
Lower risk of incident dementia among Chinese older adults having three servings of vegetables and two servings of fruits a day(Age and Ageing 2017年2月10日)
[Terahata]
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