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「遠隔診療」活用に未治療者の過半数が積極的 「治療の継続が楽に」

 日本医療政策機構は「2016年医療ICTに関する世論調査」の結果を発表した。未治療群の過半数が、予防的な相談や症状が安定している相談の場合、「遠隔診療」の活用について前向きに考えていることが分かった。遠隔診療を活用したい理由は「通院の手間が削減され、治療の継続が楽になるから」(58%)が多かった。
ICTを活用した「遠隔診療」で治療中断を取り除ける
 2型糖尿病などの生活習慣病の治療を中断してしまう理由として多いのは「通院の手間」で、症状が安定している場合にはICT(情報通信技術)技術を活用した「遠隔診療」で治療中断の障壁を取り除ける。ただし、費用負担を原因に治療中断しているケースも少なくないため、「遠隔診療」の個人負担を低く抑える必要もある――こう考える人が多いことが日本医療政策機構の「2016年医療ICTに関する世論調査」で明らかになった。

 調査は、全国20歳以上の男女1,191人を対象に、2016年11~12月にインターネットで実施したもの。

 スマートフォンやパソコンなどの通信機器を活用し、遠隔地にいる医師が診療を行う「遠隔診療」。通院が困難な患者宅に往診する医師の負担を減らすことで、医療格差の是正などが期待されることから、特に医師不足が深刻な過疎地域で活用されはじめている。

 2015年8月に出された厚生労働省の通達により、「遠隔診療」の解釈があらためて明確化され、「診療は医師と患者が直接対面して行われることが基本だが、遠隔診療は直接の対面診療を補完するものとして可能」と適用範囲が広がった。
治療を中断した人の理由の4分の1は「費用負担」
 高血圧や糖尿病などの生活習慣病の治療中断の最大の理由は「通院の手間」で、年収が400~800万未満の世帯では35%に上る。「仕事や環境の変化」(35%)、「費用面の負担」(24%)がそれに続く。ただし、収入が400万円未満の群では「費用面の負担」が34%に上昇する。

 日本医療政策機構は「糖尿病などの未治療群では、その治療開始を妨げている"通院の手間"などの要因を取り除ける遠隔診療が、治療を始めるきっかけとなる可能性がある。遠隔診療に前向きな理由として"通院の手間"を挙げた人の割合が、日本のどの地域でも5割を超えており、遠隔診療は地域に関わらずそれを解消できる可能性がある」と指摘。

 「遠隔診療を活用していても、費用負担を理由に治療を中断する可能性がある。医療の持続可能性を担保しつつ遠隔診療による患者への追加的な費用負担を抑えるためには、サービス提供者の工夫も必要となる」と付け加えている。
新たなコミュニケーション手法を用いた「遠隔診療」
 糖尿病については、「糖尿病受診中断対策包括ガイド」作成ワーキンググループは、受診中断者の特徴として、男性で仕事を持っている人や、高齢者に比べ若年者(50歳未満)で多いことなどを挙げている。受診中断の理由として、治療の優先度の理解(忙しいから、など)や疾患への認識の不足(体調が良いから、など)があり、医療費の経済的な負担も理由として多いという。

 厚生労働省が、日本医師会、日本糖尿病学会などの日本糖尿病対策推進会議とともに策定した「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」では、重症化のリスクが高い患者を見つけだし生活習慣の改善を指導したり、受診を勧めたりする地方自治体の事業を支援することや、かかりつけ医と専門医療機関との連携を重視している。

 重症化を予防し、医療費の高騰を抑えるためには、適切なタイミングで医師の診察につなげる必要がある。その問題解決の手段として注目されているのが「遠隔診療」だ。日本医療政策機構は「遠隔診療は、従来想定されていたような医療資源の乏しい地域の継続治療中の患者対して、電話などで行う診療から、地域を問わず未治療の患者へ、テレビ電話やチャットなどの新たなコミュニケーション手法を複合的に用いた診療へニーズの広がりをみせている」と指摘している。
健康・医療データが誰のものか 世代間で意識にギャップ
 また、「健康・医療データが誰のものか」という点に関しては、世代間で意識にギャップのあることも分かった。

 診察を受けた時に生じる医療データは「国のもの」であると答えたのは39歳以下で17%、60歳以上で5%であり、年齢が低くなるにつれ割合が高くなった。逆に、医療データは「診察を受けた個人のもの」であると答えたのは39歳以下では61%、60歳以上では72%となり、年齢が高くなると増加した。

 プライバシー保護の観点から個人情報が含まれる健康・医療データの慎重な取り扱いを求める一方で、これらを集積・解析することで、「かかりつけ医が病院の検査結果を活用し、病診連携により患者を継続的に診察できる」「患者は状態にあった質の高い医療サービスを効率的に受けられるようになる」「保険者による効果的なデータ活用により、加入者の健康増進をはかれる」と考えられている。

 機構では「次代を担う若い世代の価値観もふまえて、医療データの管理手法を考えていく必要がある」とコメントしている。

 人工知能(AI)の臨床応用については、「診断精度が高ければ人工知能を診断に活用して欲しい」との回答が60%ともっとも高かった。人工知能を活用してほしいのは「病気の診断で医師の補助として使われる場合」(51%)、「治療方針を決める際、最適な方法を医師に提案してくれる場合」(50%)が多かったのに対し、「病気の診断を人工知能が行い、医師が結果を確認」(29%)は少なかった。

 同機構はこの結果について、「人工知能は導入段階ではあくまで医師のサポート役であり、最終的な判断は医師が下すという使われ方の方が受け入れられやすい」と結論づけた。

(調査報告)「2016年医療ICTに関する意識調査」(日本医療政策機構2017年3月28日)
情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について(厚生労働省2015年8月10日)
[Terahata]

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