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親が喫煙すると子どもの肥満が増える 厚労省が13歳2.5万人を調査
2017年04月05日

小児期に親が喫煙する子どもでは、親が喫煙しない子どもに比べ、過体重・肥満率が高いことが、厚生労働省の調査結果で明らかになった。親が室内で喫煙する家庭の子どもは、室内で吸わない場合よりも過体重・肥満率が高かった。
親が喫煙していると子どもは肥満になりやすい
「21世紀出世児縦断調査」は、厚生労働省が、2001年に全国で出生した子を対象に、長年にわたって追跡している縦断調査。対象児が中学生になったことから、子どもの成長や健康、将来に対する意識などに与えた影響についてまとめた。
親の喫煙状況別に、子どもの過体重・肥満率を調べる項目では、子どもが2歳6ヵ月~13歳時の期間、計10回にわたり、各回2万5,454名~3万3,532名から有効回答を得た。
親の喫煙状況については、たばこを室内でも室外でも吸う場合は「喫煙群」(子の受動喫煙あり)、たばこは吸うが室内では吸わない場合は「喫煙群」(子の受動喫煙なし)、たばこを吸わない場合は「非喫煙群」の3つに分類した。
分析した結果、男児・女児ともに「非喫煙群」に比べ、「喫煙群(子の受動喫煙あり)」と「喫煙群(子の受動喫煙なし)」の過体重・肥満率が高く、特に「喫煙群(子の受動喫煙あり)」の過体重・肥満率は、すべての月齢において高いことが判明した。
受動喫煙のある男児の過体重・肥満の割合は10~14%
男児の場合、過体重・肥満の割合は第6回調査以降、「非喫煙群」が5~10%で推移しているのに比べ、「喫煙群」(子の受動喫煙なし)では7~12%で推移し、「喫煙群」(子の受動喫煙あり)では10~14%で推移した。
また、女児の場合、過体重・肥満の割合は第6回調査以降、「非喫煙群」が5~7%で推移しているのに比べ、「喫煙群」(子の受動喫煙なし)では6~8%で推移し、「喫煙群」(子の受動喫煙あり)では8~10%で推移した。
これらの傾向は、親の特徴や家族構成等の生活環境、生活習慣などの要因を考慮すると縮小するものの、統計的に有意であることも分かっている。
子どもの受動喫煙は、呼吸機能の低下、せきやぜんそくなどの症状との関係が深いとされている。また、「国民健康・栄養調査」などでは、低所得者層は喫煙率が高い傾向にあり、食事の栄養バランスに偏りがみられるという分析結果がある。
「家庭内で喫煙状況と子どもの発育については、今回の調査では明らかにされていないが、一定の関連がある可能性がある」と、厚労省では述べている。
「アトピー性皮膚炎」「ぜんそく」「食物アレルギー」は親にとっても負担に
「21世紀出世児縦断調査」では、子どもの健康状態別にみた保護者の育児負担感の比較についても調査された。
小学校入学前後に「アトピー性皮膚炎」「ぜんそく」「食物アレルギー」、「発達と行動面の相談」「先天性の病気」での通院経験がある場合、保護者の育児負担感が強い傾向がみられた。
「アトピー性皮膚炎」「ぜんそく」では「子育ての出費がかさむ」、「食物アレルギー」では「子育てによる身体の疲れが大きい」、「発達と行動面の相談」では「子どもについてまわりの目や評価が気になる」、「先天性の病気」では「仕事や家事が十分にできない」といった負担感が強かった。
21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)特別報告の概況(厚生労働省 2017年3月28日)
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