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日本初の「心房細動リスクスコア」を開発 検診項目からリスクが分かる
2017年06月15日
国立循環器病研究センター(国循)は、大阪府吹田市の市民を対象としたコホート研究のデータから、地域住民を対象とした「心房細動リスクスコア」を日本ではじめて開発したと発表した。
特定健診で心電図が外れ、心房細動の早期発見は難しくなっている
医療の進歩で寿命は延び、日本の65歳以上人口の割合(高齢化率)は4分の1を超えているが、健康寿命との乖離は広がっている。循環器病は国民医療費と要介護原因の1位であり、特に脳卒中と認知症を総合した脳血管疾患は要介護原因の4割を超えることから、超高齢社会を迎え健康寿命の延伸のためには循環器病の予防が不可欠だ。
一方、2008年から開始された特定健診で健診項目から心電図が外れたため、高齢者の脳梗塞の大きな危険因子である心房細動の早期発見が難しくなり、潜在的な心房細動患者の増加が懸念されている。
また、日本国内には心房細動のリスクスコアがなく、国際的にもその数は極めて少ないのが現状だ。今後、急速に高齢化が進展する日本においては、日本人の実態に則した心房細動リスクスコアの作成が必要となっている。
そこで国循は、健診の項目を利用し、健診時にスコアが高い場合に追加で心電図を実施することや、一般外来でも高スコアの患者に心電図検査を実施することで、早い段階で心房細動の予防を行うことを可能とする「心房細動リスクスコア」を開発した。
加えて、個人でも健診の結果を入力することで10年後の心房細動の予測確率を求めるスコアファイルも作成。これにより、個別にどの項目に気を付け改善したらよいかが分かるという。
健診時にスコアが高い場合に追加で心電図検査を実施
今回のリスクスコアは「吹田研究」のデータにもとづき開発された。吹田研究は、国循が1989年より実施している、吹田市民を対象としたコホート研究。日本のコホート研究の中でも、特に全国民の3分の2を占めている都市部住民を対象としていることに特徴があり、より国民の生活習慣に合致した研究とされている。
リスクスコアは健診の項目から検証できるので、健診時にスコアが高い場合に追加で心電図を実施することや、一般外来でも高スコアの患者に心電図検査を実施することで、早い段階で心房細動の予防を行うことが可能になると期待される。
スコアの合計が13点に該当する心房細動予測確率は16%となる。循環器リスクの中で、過体重を改善すれば2ポイント下がり、16%から9%になる。生活習慣・血清脂質の中で、適正飲酒にすれば2ポイント下がり、16%から9%になる。両方を改善すると7%になり、16%から7%と心房細動の予測確率が半減以上に低い値になる。
このようにどの項目を改善すれば予測確率がどれだけになるかが具体的に分かるのがこのリスクスコアの特徴だ。
この研究は、国循予防健診部の小久保喜弘医長らの研究チームによるもの。研究成果は、日本循環器学会の専門誌「Circulation Journal」に掲載された。
今後は、他の地域集団での妥当性や他のリスク要因の検討も行い、心房細動になる予測能を高め、健診や疾患ガイドラインの策定などに寄与できることを目標にするという。
国立循環器病研究センター
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