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大規模災害時の保健活動　「保健医療調整本部」を設置し連携強化

2017年08月23日

　厚生労働省は、大規模災害時の保健医療活動に関する体制を整備する際の留意事項をまとめた。被災した都道府県に対し、災害対策本部の下に「保健医療調整本部」を設置することを求めており、被災地で保健医療活動を展開する保健師チームと、災害医療を担う医療チームの連携強化につなげたい考えだ。

大規模災害時には「保健医療調整本部」を設置　厚労省が都道府県に要望

　2016年の熊本地震で、医療チーム、保健師チームの間における情報共有に関する課題が浮かび上がり、「被災地に派遣される医療チームや保健師チームを全体としてマネジメントする機能を構築する」必要性が指摘された。

　こうした点をふまえ、各都道府県における大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備にあたり、厚生労働省は、保健医療活動チームの派遣調整、保健医療活動に関する情報の連携、整理および分析等の保健医療活動の総合調整を行う保健医療調整本部を設置することを求めている。

　被災都道府県は、当該都道府県に係る大規模災害が発生した場合には、速やかに、都道府県災害対策本部の下に、その災害対策に係る保健医療活動の総合調整を行うための本部(保健医療調整本部)を設置する。なお、保健医療調整本部の設置に代えて、既存の組織に本部機能を持たせても差支えない。

　また、これまで救護班(医療チーム)の派遣調整については派遣調整本部が行い、被災都道府県における保健衛生活動を行う保健師チームの派遣調整については各都道府県の担当課が行ってきたが、今後は保健医療活動チームが派遣調整、情報連携、情報の整理および分析などの保健医療活動の総合調整を行うことになる。

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保健医療活動を行うチームと連携するための窓口に

　保健医療調整本部には、被災都道府県の医務主管課、保健衛生主管課、薬務主管課、精神保健主管課等の関係課および保健所の職員、災害医療コーディネーターなどの関係者が参画し、相互に連携して作業を行う。

　保健医療調整本部は、保健所、保健医療活動チーム(災害派遣医療チーム(DMAT)、日本医師会災害医療チーム(JMAT)、日本赤十字社の救護班、国立病院機構の医療班、歯科医師チーム、薬剤師チーム、看護師チーム、保健師チーム、管理栄養士チーム、災害派遣精神医療チーム(DPAT)、その他の災害対策に係る保健医療活動を行うチーム)などの連絡および情報連携を行うための窓口を設置する。

　保健医療調整本部は、保健医療活動の総合調整を円滑に行うために必要があると認めるときは、被災都道府県以外の都道府県に対し、災害対策基本法にもとづき、保健医療調整本部における業務を補助するための人的支援を求めることが望ましい。

　保健医療調整本部は、被災都道府県内で活動を行う保健医療活動チームに対し、保健医療活動に係る指揮または連絡を行うとともに、保健医療活動チームの保健所への派遣の調整を行う。

保健医療活動の記録・報告の様式を統一

　保健医療調整本部および保健所に、保健医療活動チームに対し、避難所などでの保健医療活動の記録および報告のための統一的な様式を示すことも求めている。保健師らのチームの活動内容や収集した被害情報、保健医療へのニーズなどを同本部に集めて活用する方向性を示している。

　被災者の診療録の様式については、「災害診療記録報告書」を、避難所の状況などに関する記録の様式については「大規模災害における保健師の活動マニュアル」を参考とすることが望ましい。

大規模災害における保健師の活動マニュアル(全国保健師長会)
災害診療記録報告書(日本救急医学会)
防災情報のページ(内閣府)
2016年熊本地震に係る初動対応検証チーム(内閣府)

［Terahata］

日本医療・健康情報研究所